畿央大学の大久保賢一先生による『3ステップで行動問題を解決するハンドブック』。4/25(木)に刊行予定ですが,さきほどAmazonをのぞいたら「Amazon 売れ筋ランキング: 本 - 1,357位」となっていました。なかなかの注目が集まっています(笑)。
本書では,応用行動分析学の研究で効果が確認されているシェイピングやチェイニングなどの技法が,学校ですぐに使える手順として解説されています。単なるハウツー本ではありません。なぜ,どういうときに,どの技法を使うべきかを判断するための課題分析やABC分析の方法も,イラストやダイアグラムを交えて,わかりやすく示されています。
小中学校(だけではなく,幼稚園や高校でも)で働く先生方が,子どもや親を責めず,そして自分も責めず(つまり,個人攻撃の罠から抜け出て),指導方法を見直し,改善していくのに便利そうです。
それにしても行動分析学関係の出版が続いていますね。Amazon(日本)で「行動分析学」を検索すると,509件がヒットします(もちろん内容がかけはなれた本もひっかかってきます)。これは Amazon.comで "applied behavior analysis"を検索したときの807件にはかないませんが("behavior analysis"だと色々ひっかかりすぎて "over 3,000 results"),Amazon(ブラジル)で"Análise do Comportamento"を検索したときの171件を凌駕します。
英語以外の言語で,しかも翻訳ではなく原著として出版されている文献の件数は,日本語がトップなのではないでしょうか(根拠はないです。誰かスペイン語とかノルウェー語とかで調べたら結果を教えて下さい)。
著者の大久保先生ですが,ここ数年の間に,徳島県やその他の地域でスクールワイドPBSを普及させてきた立役者のうちの一人です。子どもたちの学習と成長を重んじ,現場の先生たちと一緒に汗を流し,苦労と喜びを分かち合うことができ,かつ,研究もしっかりできる,頼りがいのある仲間です。学校に違いをつくる仕事は簡単ではありませんが,あきらめず,少しずつでも前に進むことができることを身をもって示されています。そういう建設的な取り組みがさらに広がるのに本書もきっと役立つことでしょう。