『ポテンシャル学習心理学』ー学習心理学の基礎を学ぶ--

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 今月は行動分析学関係の出版が続いています。日本大学の眞邊一近先生による『ポテンシャル学習心理学』は,学習心理学の基礎をまとめた教科書です。同じサイエンス社からは,恩師である実森正子先生と,同窓の中島定彦先生の共著『学習の心理』が出版されていて,私も自著でよく引用,参照させていただいています。そちらも改訂版がそろそろ出るという嬉しい噂を聞いています。
 本書は図表が多く,色使いがシンプルかつ明瞭で,とても見やすいです。図だけを眺めていても楽しく学べそうなくらいです。学習心理学の基礎を,授業でいえば導入のための概論から,実験計画を立てるための発展的科目まで使えるくらい,広く,丁寧に網羅されています。
 「はしがき」にもうたわれているように,もうすぐ刊行される『行動分析学事典』で整理された専門用語に準拠していて,"提示型強化"や"除去型強化"という表記が使われています。ちなみに,自著『WM(ワードマップ):応用行動分析学』でも『行動分析学事典』の推奨用語のいくつかは採用させていただきました(索引では複数の訳語を相互参照できるようにしました)。が,"提示型強化"や"除去型強化"は個人的には非採用です。理由はおいおい。なお,WMでは,こういう手続きの違いの記述より,手続きにどのような作用があるかを記述することに注力すべきと考え,そのような枠組みを提案させていただいています。
 本書を読んで最も驚いたのが学習の種類の分類です(図1.6, p. 11)。この図がそのまま章立てになっているのですが,この分類は眞邊先生オリジナルでしょうか。少なくとも私にとっては初見。詳しくは本書をお読みください。
 "連合学習"の位置づけについて,たとえば澤先生なんかはどう反応するだろうと興味津々だし,個人的には「観察学習やルール支配行動もオペラントではないのですか?」と眞邊先生にツッコミたいところです(笑)。

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