信頼性と妥当性の概念をダーツで喩える話:なかなかオリジナルに辿り着きません。

Cbt_abstract

 心理学の測定法や研究法の授業で使われることが多い、ダーツの比喩ですが、Twitterで原典を教えていただいたので(これこれ)、調べてみました。

 すると、教えていただいたConrad & Maul (1981)も別の文献を引用していました。それが Kerlinger (1973) の"Foundations of Behavioral Research"です。本学にはこの本の初版らしき1964年版しかないのですが、取り寄せてみると、Chapter 24 Reliability の章に、ダーツのイラストと比喩が確かに掲載されています。ただ、次の章、Chapter 25 Validity の章にはダーツのイラストも比喩も登場しません。

 この本、今でもAmazonで新品が売られていて(最新版は1999年のようです)、ロングセラーのようです。もしかすると1973年の版では、信頼性、妥当性の章の両方でダーツの比喩を使っているのかもしれないし、妥当性の概念にダーツの比喩を拡張したところは、Conrad & Maul (1981)の独自性なのかもしれません。

 こういう調査って難しいですね。

 なお、Kerlinger の本は初めて読みましたが(読んだと言っても、ざっと目次を見て、気になったところ-- 特にChapter 3 Constructs, variables, and Definitions --をささっと読んだだけですが)、とても詳細に、基本の基本をしっかり書いてある本ですね。最近はこういう本を読んでいなかったので、なにかとても新鮮な印象を受けました。

 そして、少し調べたら、なんと!この本は邦訳が出ているではないですか。『行動科学の基礎手法』です。これも本学の図書館に蔵書があったので取り寄せました。ところが、ダーツのイラストがありません。24章さえありません。19章までしかない。

 あれれ?と思ってよく見ると、題目に「上」の文字を発見。なるほど、原著の頁数が多すぎるから上下巻にわけて出版したのかと、再度検索するも、下巻が見つかりません。どうやら出版されていないようです。良本の気配がするのに。残念です。

 こういう調査って、やはり難しいですね。

Conrad, E., & Maul, T.  (1981).   Introduction to Experimental Psychology.  New York: J. Wiley.

Kerlinger, F. N. (1964).  Foundations of Behavioral Research: Educational and Psychological Inquiry.  New York: Holt, Rinehart and Winston.

カーリンジャー F. N.  (1972).  行動科学の基礎手法  上 馬場昌雄・馬場房子・福田周司(訳) 鹿島研究所出版会

アーカイブ

法政心理ネット