2014年4月アーカイブ

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 暖房しているのにドアを閉め忘れて、気がつくと冷え冷えという状況を打開するために、この冬、いろいろ考えていました。

 

市販品もあるみたいだけど、高そうだし。

 

防犯アラームや冷蔵庫アラームを改造して、ドアが開きっぱなしだとブザーがなるようにしてみようかな、とか。

 

ドアが自動で閉まるようにゴムひもでも張ってみようかな、とか。

 こうなったら自分で回路つくっちゃおうかなとか(こんなサイトもあるし)。

 うちの犬は音がなるボールでよく遊ぶのですが、すぐに噛みちぎってしまうので、古い靴下に入れたり、タオルで巻いたりして遊ばせています。

 たまたま犬が放り投げたボールがドアの方に転がったときに閃きました。

 

ゴムボールを靴下に入れ、ドアの内側に置いておけばいいんだ! ボールが転がっていかないように靴下を紐で縛り、壁にフックをつけてそれにひっかける。 ボールの大きさや取り付け位置を調節すれば、開閉には問題なく、ボールの反発力で閉まる半自動ドアの完成です。

  俺って天才かも!」と一人でにんまり。

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 家庭や学校などの場面を問わず、子どもでも大人でも愛犬でも、学び手の学習を口実とした教え手による暴力行為であるすべての「体罰」に反対しています。

 反対するだけではなく、暴力を使わずに教えたいことを教えることを推奨し、その方法についても情報提供しています。行動分析学の本領が発揮されるところです。

 昨年度はこの声明文を策定するタスクフォースの委員長を務めさせていただき、あらためて「体罰」に関連する文献を読み直し、考え、自らの教育行動も振返る、充実した時間を過ごさせていただきました。そのような機会を与えて下さった、園山先生や、一緒に仕事をしたタスクフォースのメンバーにこの場を借りて感謝いたします。

 法務省の「平成25年における「人権侵犯事件」の状況について(概要)」によると、教育職員による体罰に関する新規救済手続開始件数は887件(前年比139.7%)と増加しています。

 体罰はまだまだ頻繁に行われているのです。

 行動分析学やその他の心理学の研究からは「体罰」には百害あって一利なしということがはっきりと示されていますし、もっと有効で安全で健全な教育法や指導法が開発されています。

 すべての教え手がそういうことを学び、学び手が不安や恐怖ではなく、楽しさや面白さ、達成感で学習できるような社会がいち早く訪れますように。

 日本行動分析学会のwebサイトはこちらから。
 日本行動分析学会「体罰」に反対する声明はこちらから。

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 Youtubeで公開されていた「日本社会心理学会 春の方法論セミナー」を観ました(発表資料がダウンロードできる学会のHPはこちら)。


 「再現できない実験」という、時機にかなったテーマについて、3人の研究者が、主に統計的な手法の問題点と改善策について、わかりやすく解説してくれています。

 これは心理学を学んでいる大学院生には必見のコンテンツです。十年以上前に講演やシンポジウムのネット配信をずいぶんとやった経験から、ネット講義には懐疑的なのですが(しっかり最後までみる人は本当に少ないから)、全部で3時間以上ある動画をほぼ"ながら"せず、最後まで見終えました。

 社会心理学ではそもそも追試研究が軽んじられる(投稿してもリジェクトされる)ことや、統計的有意差だけを追い求める傾向(p-hacking)やその背景と、なるほどやっぱりという話もあれば、主要な研究を国際的、大規模に追試しようとするプロジェクト(Reproducibility Project)や帰無仮説の棄却ではなくモデルの適合度によって検定する新しい方向性など、とても勉強になりました。

 私は社会心理学者でもなければ、日本社会心理学会の会員でもないのですが、心理学の実験実習をやっていると、確かに有名な実験でも実験結果が再現できないことがけっこうあります。このセミナーで取り上げられている「再現できない」理由はどちらかというと統計的処理や検定の問題に集中していて、それはそれでどれも妥当な議論だったと思います。

 群間比較ではなくシングルケースデザインを用いる行動分析学からすると、他にも原因がみえてくるように思います。詳しく書くには時間的余裕がありませんが、たとえば、以下のような問題が思いつきました。

  1. そもそも論になってしまいますが、グループ比較デザインを用いるなら例数設計をする前に、母集団を想定し(特性や条件を明記し)、母集団からの無作為抽出と無作為割当が必須なのに、ほとんどの研究は無作為割当しかしていないのではないか?
  2. 個人差を相殺するのが群間比較の基本論理なので、実は多くの実験で、群間の差を生みだしている真の要因や条件が特定できておらず、だから参加者の特性が変わるとそれによって実験結果が異なるのではないか?(これは1)とも関連していますし、次の3) とも関連します)。
  3. 群間で差があったとして、その原因を帰属させる条件の記述や分析が、実験や研究者によって異なり、統一できていないのではないか? そのため間違った帰属をしてしまい(実験者が考える群間の差の原因と真の原因が異なる)、再現できる確率が下がるのではないか?

そして対岸の火(?)をみながら振り返ると、再現こそ命であるシングルケースデザインを用いた行動分析学の研究では、

  1. 一つの実験で行動の制御変数を特定することが欠かせず(いわゆる失敗研究というのは成り立たない)、
  2. 制御変数を、他の研究と同じ分析・記述単位を用いて記述する(行動分析学の場合、強化、弱化、弁別、般化などの基本原理のみを用いて)ことが大切で、
  3. 直接的再現でも系統的再現でも、その研究がどの研究のどの部分の再現あるいは拡張なのかを必ず明記すべき

ということがあらためてわかります(意外にできていないものです)。

 また、学術雑誌の編集方針としても、再現研究の投稿を(も)推奨し、どんどん遠慮なく掲載して行くことが必要だということも再確認できます。

 ほんと、勉強になりました。日本社会心理学会新規事業委員会の皆さまに感謝です。

 この時期大学のキャンパスは新入生と新入生を勧誘する上級生でいっぱいで、広場を通り抜けるのが大変なくらいです。

 部活やサークルにとって新入生勧誘は組織の存続に影響する一大事だということはわかるのですが、地面に落ちているビラを拾って読むと、そこには代表者の名前や電話番号、メルアドとかがばっちり書かれていたりします。

 最近は、小中学校で個人情報保護のためにクラス名簿さえ作らないなんてことをしているのにも関わらず、結局、こんなもんです。

 学生に、個人情報を明かすことになる人は嫌がらないの? せめてすぐに破棄できる無料メルアドを勧誘用に作ればいいんじゃない? とか聞いてみても、反応は薄いです。そんなに気にしてはいないか、もしくは、係になったらそれどこじゃないようですね。

 小中での行き過ぎた管理や施策(運動会で競争させないとか、男女でランドセルの色を分けないとか)に若干の憤りを感じている私にとっては、「ホラミロ」、「ザマミロ」と妙に納得してしまう現象だったりします。
"What kinds of creatures we are"

 これがチョムスキー先生の興味の源泉だそうです。

 3/6に上智大学で開催された「ノーム・チョムスキー教授講演会」がネットで公開されていたので聞いてみました。なにしろ、チョムスキーといえば、スキナーの Verbal Behavior に対する批判論文を書き(Chomsky, 1959)、当時、原著よりもその批判論文の方がよく読まれ、それによって、スキナーの言語行動論の誤解も広がったというように、行動分析学とはただらなぬ(?)歴史のある言語学の大家です。

 実は以前にもチョムスキー先生の講演ビデオを観たことがあります。1978年(だと思う)に、彼が Western Michigan University 心理学部のコロキュアム(毎月、外部講師を招いて行こなう講演会)に招待され、話をしたときの録画ビデオです。ところが、講演も、Jack Michaelとの質疑応答も、何を言っているのかよくわからなくて、不完全燃焼感が残りました(確かVHSのコピーがどこかにあったはずなのだけれど....)

 昔に比べて英語のリスニング力は減衰しているものの、日本での講演ということで、もしかしたらわかりやすく話をされているのではないかと期待して聞きました。

 事前に原稿をしっかり書かれているようで、でも、ずっと原稿を読むというわけではなく、語りかけるように話す英語はかなり聞きとりやすかったのですが、残念なことに内容はよくわかりませんでした。

  • 人と動物は明らかに違い、それは言語、認知である。
  • 人の言語の複雑さや創造性は、それを生む生得的なメカニズムがあることを示している。
という主張は伝わるのですが、それ以上はよくわかりませんでした(根拠とか、だから何ができるのかとか)。

 その日にJapan Times で読んだらしい記事を引用し、東大の受験に合格するプログラムはすごいけど、入学後は何も学ばないですよねと揶揄してたりするところは(確かにそうだけど)、ちゃちゃいれ行動の自発頻度の高さの顕われなのかもしれません。

 Verbal Behavior をめぐる論争と、その後の経緯(The Behavior Analyst に掲載されたチョムスキーへのインタビュー記事など)は、以下の論文にわかりやすく書かれています。ご参考までに。


 「先生があれだけ批判したスキナーの言語行動論を元に、ことばの獲得が遅れた子どもたちへの効果的な教育プログラムがたくさん開発され、その恩恵を受けた子どもが増えていることについて、どうお考えになりますか?」

 私ならそう伺ってみたいところです。
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 4/7(月)に書店に並ぶ予定の新刊です。

 セルフマネジメントの本、というより自分にあったセルフマネジメントをみつける方法についてまとめました。

 私の授業では受講生が自分で自分の行動を変えるプロジェクトに取り組みます(私も一緒に取り組みます)。本書にはそうした学生の取り組みを掲載しました(私の取り組みもいくつか紹介しました)。片づけ、ダイエット、勉強、早起き、スポーツ、音楽など、様々なテーマのじぶん実験の実例を読むことができます。

 標的行動の決め方、測定方法、行動の原因推定、グラフの作成方法、解決策(介入)の立案方法など、これまでに出版された同じような本に比べると、細かすぎるほどの細部にまで突っ込んで書きました。

 行動分析学について本で読んだり、授業をとって勉強しても、いざ行動を変えようとすると何をどうしていいかわからなかったり、うまくいかなかったりするという声はよく聞きます。なので、本書では、受講生の皆さんがつまづきやすいところとか、犯しやすい間違いとか、よくある疑問や勘違いなどに、できる限り対応しました。

 「じぶん実験」と銘打っていますが、応用行動分析学、シングルケースデザインの基本をおさえていますから、「たにん実験」をする人にも役に立つと思います。

 内容的には大人向けですが、よく本を読み、勉強している高校生なら十分に理解できるように書きました。高校で心理学を教えている学校はまだまだ少ないようですが、じぶん実験を一学期やる授業なんて、きっと面白いと思いますよ。

 光文社の「人は、なぜ約束の時間に遅れるのか」では、「心」を行動随伴性として見える化する方法について書きました。あの本で予告したように、行動分析学の見える化は、視考したダイアグラムに基づき、行動随伴性を変え、それで行動が変わるかどうかをグラフにして判断することで完結します。本書には、行動を見える化したグラフもたくさん掲載しました。

 行動科学を象牙の塔の外に出すという野望が見え隠れする本ですが、それを自分で行ってしまっては身も蓋もないか。

 ぜひとも、お召し上がり下さい。

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いい天気ですね。桜も満開。

本日、法政大学は入学式です訂正:今日、新入生オリエンテーションがあったので、てっきり入学式の後だろうと思い込んでいましたが、間違いでした。入学式は4/3です。すみません)。新入生のみなさま、ご入学おめでとうございます。

オリエンテーションでお会いしましょう。

と、同時に、サバティカル終了です。

サバイバルじゃないですよ、天国のようなサバティカル(研究休暇)。

あっという間の充実した一年でした。

天国から地上に降りる日です。

しばらくは浦島太郎状態に違いありません。

再び竜宮城に戻る日を楽しみにしながら、教育研究に邁進です(委員会や会議は....)

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