2013年11月アーカイブ

 科学的な根拠がなく、臨床的にもリスクが大きいのに、権勢症候群の考え方がなぜにこんなにも蔓延しているのでしょうか。

 その前に。アメリカの獣医師と動物行動学の研究者がつくる学会、American Veterinary Society of Animal Behavior (AVSAB) では、2008年に権勢症候群("Dominance theory")に関する声明文をだしています。
 かつて信じられていたこの理論が間違っていたこと、この理論に基づいた躾や訓練には攻撃行動を増大させるリスクがあること、家庭犬における問題行動のほとんどは誤学習によるものであり、環境設定と報酬(正の強化)を元にした躾や訓練で解決でき、そうすべきであることを主張しています。
 ちなみにこの学会では「罰」を使った躾や訓練に関する声明文もだしていています。
 科学的、臨床的な研究にもとづいて、「罰」には副作用があり、効果も疑問視されるという理由から、「罰」(主に嫌子出現による弱化です)を使った訓練や躾に反対しています。強化や弱化などの随伴性に関する用語解説まで付いていて、より詳細に「正の強化」(好子出現による強化)と「負の弱化」(好子消失による弱化)を使った方法を推奨しています。

 行動分析学の学会ではありません。獣医師会です。

 アメリカの獣医師(veterinarians)と日本の獣医師の資格や育成システムの違いは私にはわかりませんが、少なくとも日本獣医師会のwebサイトにはこうした提言や資料が見つかりません。
 とはいえ、“AVSAB”を日本語で検索すると、たとえば東京大学獣医動物行動学研究室のwebサイトからAVSABへのリンクが見つかります。まったく無関係ということではないのでしょう。

 ここから推察されるのは、アメリカで獣医師になるための教育課程には、強化や弱化などの学習原理を教える科目が含まれているが、日本の教育課程にはそれがないということです(どなたかご存知なら教えて下さい)。

 さらに、日本で家庭犬の躾や訓練に関わっている人たちの多くが、最新の(と言ってももう十年以上も前のことなのですが)研究について不勉強だということです。犬の躾や訓練について、権勢症候群の理論をもとに本を書くのであれば、少なくとも前々回の記事でご紹介した論文は読んでおくべきだと思うのですが、そういう形跡は見当たりません。ここでは具体的なタイトルをあげてそういう本を批判することはしませんが、犬を飼おうと思って私が読み始めたほとんどの本にはアルファシンドロームのことが書かれていて、それでいて、元になる研究についての言及もなければ、参考文献の紹介などもありませんでした。

 専門家なのに、専門書を読まずに本を書いてらっしゃる可能性が高そうな気配です。

 ただ、権勢症候群の理論をもとに訓練を続ける人は、不勉強だからというよりも、その方が仕事がしやすからなのかもしれません。これについては次回に書きます。

 AVSABがこういう声明を出さざるを得なくなった背景には、アメリカで一旦は衰退したようにみえた"Dominance theory"が復活傾向にあるからだという見方もあるそうです。
 その兆候の一つが、テレビ番組『ザ・カリスマドッグトレーナー〜犬の気持ち、わかります〜』(原題:The Dog Whisperer)の好評ぶりです。シーザー・ミランというトレーナーが主人公のこの番組、私はたまたまHuluで観たのですが、かなり笑えました。
 バラエティ番組にありがちな作りなので、どこまでリアルなのかはよくわかりません。視聴者からの依頼で家庭訪問したシーザーが、飼い犬を直接訓練したり(お腹のあたりにチョップを入れたりします)、飼い主を指導したり(「堂々としていなさい」的な助言が中心です)、自分の飼い犬たちに訓練させたり(そのための施設まであります)します。何が笑えるかと言うと、結局飼い犬の行動が変わったかどうかよくわからないケースが多いんですね。依頼した家族から届く後日談のビデオレターは、大抵、「おかげさまで調子いいです。まだまだ完璧ではないですけど」といったコメントがほとんどですし。

 どうやらアメリカではこの番組が人気なようで、飼い主がリーダーとしてしっかりするとか、パック(群れ)に犬を戻して矯正するといった訓練メソッドが再度盛り上がってしまい、たまりかねた獣医師会が立ち上がったという構図もあるようです。
 AVSABのブログにはそのような形跡も見当たります。たとえば、このブログ記事には、Gail Fisherというトレーナーさんの「Millan’s “television program set back dog training by about 50 years.” 」という発言が引用されていたりします。

 犬の攻撃行動や問題行動の原因や対処法について、科学的な知見とそれにもとづいたしつけや訓練の方法を教えるべき人たちがそういう知見を学ぶ機会が少ない(もしくはない)というのが、我が国で未だに権勢症候群の考え方がはびこっている理由の一つだと思います。

 でも、シーザー・ミランの人気やアメリカにおける権勢症候群の理論のカムバックからすると、それだけでもなさそうです。

 次回、この番外編シリーズの最後には、権勢症候群派だけではなく「正の強化」派でも陥りやすい罠について書いてみます。

 自然界に暮らしている狼の群れに、いわゆるアルファというリーダーはいないことを示した研究を前回の記事でご紹介しました。

 それでも、権勢症候群を信じる飼い主さんは(あるいは訓練士さんは)、狼にはなくても犬にはあると主張されるかもしれません。

 論理が破綻していてあまりに強引な主張ですが、そういう方にはぜひとも『ナショナル ジオグラフィック』を観ていただきたいです。

 野生動物の中には確かに闘いによって「リーダー」の地位を獲得する種が存在します。
 彼らが獲得するのは主に生殖相手であり、食餌の優先権です。闘いは死に物狂いで、当たり前のように負傷もします(殺すまではしないそうですが)。さらに、一度勝てばそれで安泰ということではないらしく、常に下位の個体からの挑戦を受け続けることになるそうです。

 飼い犬と生殖相手や食餌を争う飼い主なんていないですよね。それに、もし犬にもそういう本能があるなら、一度、犬を懲らしめて飼い主が「リーダー」になっても、その後も、ずっと脅して、闘っていかなければなりません。そのような殺伐とした生活を望んでいる飼い主さんがいるとも思えません。

 そもそも犬が吠えたり噛んだりする理由のかなりの部分は、不安や恐怖にあると考えられています。このことは拮抗条件づけが成功する確率が高いことからも裏付けられると思います(たとえば、McConnell 著『The Cautious Canine-How to Help Dogs Conquer Their Fears』などを参照して下さい)。
 そうなると、飼い主が自分がリーダーであると飼い犬にわからせるために苦痛刺激を使うことは、不安や恐怖などの情動反応を引き出し、攻撃行動を誘発したり、その攻撃行動が苦痛刺激からの逃避や回避によって強化され、繰り返される危険をおかしていることになります。

 問題行動への対処法について調査したHerronらの研究では(Herron, Shofer, and Reisner, 2009)、口をおさえたり(“マズルコントロール”)、咥えたものを力ずくて取り出したり、おおいかぶさったり(“アルファロール”)、叩いたり、蹴ったりするといった対応に、最低でも25%以上の飼い犬が攻撃的に反応したことが報告されています。

Herron, M., Shofer, F., & Reisner, I. (2009) Survey of the use and outcome of confrontational and non-confrontational training methods in client-owned dogs showing undesired behaviors. Applied Animal Behaviour Science, 117(1-2), 47-54.

 すべての飼い主や飼い犬でそうなるわけではなさそうですが、少なくとも問題行動に対して苦痛刺激を使うことには、問題を悪化させる大きなリスクが潜んでいることになります。
 そして、苦痛刺激を使ったそのときに攻撃的にならなくても、問題行動が繰り返されるたびに苦痛刺激を使うことになれば、果たしてそれが望ましい関係なのでしょうか?ということになります。

 つまり、権勢症候群の考え方にもとづいた躾や訓練方法は、科学的根拠がないだけではなく、問題行動を悪化させたり、人と犬の関係性を劣化させるリスクの高い方法だということになるのです。

 権勢症候群(アルファシンドローム)とは、飼い犬の問題行動(吠えたり、噛んだり、リードを引っぱったり、部屋のあちこちにおしっこしたり、などなど)の原因を、犬が自分をリーダーだと認識している、もしくはリーダーとしての地位を獲得、維持しようとする本能によるものとみなす考え方です。
 犬の先祖が狼であり、狼の群れは、闘いに勝つことで決まったリーダーに率いられているという研究がその根拠とされています。
 権勢症候群の考え方にもとづいて、吠えたり、噛んだりする問題行動を修正しようとすると、飼い主がリーダーであることを犬に教えて、服従させればよいということになります。そして、多くの場合(専門家であるトレーナーや訓練士さん、権勢症候群の考え方に基づいて書かれた本を読んだ一般の飼い主さん)は、リーダーであることを示すために、犬に苦痛刺激を与えることになります(リードをひっぱって首をしめたり、叩いたり、蹴ったり、おさえつけたり、口を塞いだり)。
 野生の動物たちの生活をドキュメントしたテレビ番組などで、私もそうした行動を観たことがあります。群れで暮らしているバイソンのような野牛の雄同士が闘い、気に入った雌と生殖する権利や、食べ物を先に食べる権利を獲得するというやつです。確かに、種によってはこうした行動パターンがあるそうです。

 犬の先祖が狼であることは、近年の分子生物学的研究からも確認されています。多くはDNAの類似性による研究です(たとえば『The behavioural biology of dogs』Jensen (Ed). 2007など)。
 ところが、狼のリーダーシップ論(アルファ説)は間違いであったことが、すでに1999年に判明しています。もう十年以上も前の話です。

 アルファ説の元になったのは『Expression studies on wolves:  Captivity observations』というSchenkelの論文ですが、この研究の観察対象は、野生の狼ではなく、捕獲され、人による飼育下にある狼だったのです。
 Schenkel(1947)は、ここからダウンロードして読むことができます。

 この研究を反証したのが、イエローストーン公園に生息する野生の狼の群れを観察したMech (1999)の研究です。
 彼によると、野生の狼の群れは、基本的には夫婦とその子どもが一つの単位で、バイソンのような大きな集団を作ることは珍しく(全くないということではないようです)、そして元々夫婦と親子ですから、リーダーという役割があるとすれば、それはお父さんであり、闘いによって決まるものではないし、お父さんは狩りから持ち帰った獲物を自分が食べるより先に子どもに与えることもあるそうです。すでに夫婦になっていますから、家族という集団で配偶相手を決める闘いも発生しません。
 元々は Canadian Journal of Zoology に掲載されたMechの論文は、今では下記のサイトからダウンロードして読むことができます。

Mech, L. David.  1999.  Alpha status, dominance, and division of labor in wolf packs.  Canadian Journal of Zoology 77:1196-1203.  Jamestown, ND: Northern Prairie Wildlife Research Center Online.  http://www.npwrc.usgs.gov/resource/mammals/alstat/index.htm  (Version 16MAY2000).

 捕獲され、本来は一緒に暮らすことがない、血縁関係にない狼の集団を、餌の量や摂食機会が制限された飼育環境におけば、自然環境には起こらない行動が自発されたり、その結果、そうした行動が学習される可能性があることは今から考えると自明の理のようでもあります。しかし、狼の場合、とにかく個体数が少なく、行動観察をすることすら難しいため、なかなか研究が進まなかったようです。

 MechがSchenkelの研究も引用して書いた一般向けの本『Wolf: The Ecology and Behavior of an Endangered Species』がとても売れ(12万部以上)、他に狼に関する図書もなかったことから、狼の群れは闘いに勝ったリーダー(アルファ)が率いるのだという誤解が広まり、いまだにその誤解が解けていないというのが現状なのです。このあたりの事情は、Mechによる以下の記事にとてもわかりやすく書かれています。

Mech, L. David.  (2008, Winter).  Whatever Happened to The Term Alpha Wolf.  International Wolf Magazine, 4-8.(この号はここからダウンロードできます)。

 「ボスざる」なるものが自然界には存在せず、動物園などの猿山でそのような振る舞いが観察されるのは、餌の量や摂食機会の制限という特殊事情によるものであるという話と近似してますね。野生猿の場合も、自然界には餌が豊富にあるので、そもそも奪合いをする必要がないそうです。詳しくは立花隆『サル学の現在』(平凡社)などをご参照下さい。

 とうわけで、権勢症候群の考え方の拠り所となる狼のアルファ説が、科学的な研究によってすでに訂正されているということが、まずはおさえておくべきポイントだと思います。

 ところで、今回、エソロジーの原著論文を初めて読んでみましたが、心理学の観察研究に近く、しかも説明概念がほとんどないぶん読みやすかったです。ただ、信頼性確保の手続き(例:観察者間の一致率)がなかったり、観察対象に選んだ群れがどの程度、狼全体の母集団を代表しているのか疑問になったり、そもそも自然場面で観察しているからそれが生得的な行動とは言えないわけで、やはりnature vs nurture(氏か育ちか)の問題は残るなと考えさせられたりはしました。
 そもそも視点や興味が異なるのだろうとは思いますが、動物生態学者の人たちが個体の動物の学習に関することも詳しく知っていたら(たとえば行動随伴性について深く理解したら)、きっととんでもなく面白いことが次々とわかってくるのはないだろうかとも思いました。

Iphoto

なんだ、こうすればよかったんだ。

スマートアルバムを「写真が」「ムービー」「である」で作成。

写真がムービーという発想がなくて、四苦八苦していました。

ライブラリのカテゴリとしてデフォルトであっても良さそうなものだけれども。

いやぁ、参りました。のっけから降参宣言みたいですけど。

先月、区の保健所が主催した「犬のしつけ教室」にまたまた参加してきました。

4月にも「犬のしつけ教室」に参加し、このブログで苦言を述べ、提案させていただきました。そして8月にはそのことを保健所の担当者にお伝えしました

そうした一市民としての動きが果たしてどのような影響力を持つのかを検証するために(も)、同じ保健所が開催する、今年度2回目の教室に参加してきました。

ですが、がび〜ん。

以下、その報告です。

まずは改善されたところから。

前回は2時間枠の前半が講義で後半が相談というふれこみだったのに、最後の最後まで講義でした。保健所の担当者さんにはそのことも指摘させていただきました。

今回は、後半が丸々相談の時間にあてられていていました。前半も約20名の参加者から積極的に手があがり、講師の方もそれに答えていました。

質問された方々は、それぞれご家庭で飼い犬の問題行動に困っておられる様子で、質問からはそれがひしひしと伝わってきました。

質疑応答の時間が十分にとれていたところは大きな改善点です!素晴らしい!!(拍手)

でも残念ながら、それが唯一の改善点でした。

講義の内容、そして相談に対する助言は、はっきり言って、めちゃくちゃでした。

前回とは違う講師の方でしたが、やはり東京都の愛護協会に所属されているらしく、地域で散歩中にポイ捨てされた犬の糞を拾うボランティア活動をされているそうです。それはそれで尊敬できることだと思うのですが、お話は、逐次、こんな感じです。

Qは参加者からの質問、Aは講師の回答、Lは講師の講義からの抜粋(私がメモをとったところ)、()内は私のつぶやきです。

Q: 犬が散歩中、リードをひっぱらないようにするには?
A: 頼りがいのあるリーダーになって下さい。
(これには柴内さんとかいう獣医さんのビデオ教材を使って解説していました。フードを犬の目の前につきだして追っかけさせ、あげくの果てにフードはあげないという驚きのトレーニングビデオでした)

Q: 頼りがいのあるリーダーとは?
A: 胸を張って、威厳のある態度をとって下さい。
(あんたはシーザー・ミランか!←これについてはまたいつか書きます)

L:犬は高いところに登ると自分がえらくなったと思って吠えますから、自転車のかごとかにはのせない方がいいです。
(そんなことより落下の方が危険なのでは?)

Q: 飼い主を噛んだら?
A:「痛い!」と大きな声で言ってびびらせて下さい。そのあと声のトーンを落として脅して下さい。
(ぎょぎょぎょ、こわいよぉ)

Q: <柴犬の飼い主さんが>おすわりもなかなかできません。
A: 柴犬はたいへんです。自分の思うままに生きていたい犬です。
(こんなふうにして風評被害が広がっちゃ、柴犬もたいへんだぁ)

L:  おやつが効かない犬もいます。
(フードは食べるんですよね)

Q: <コーギーの飼い主さんが>散歩にいくと、バイクとか自転車とかに吠えまくります。
A: コーギーの雄はたいへんです。吠えます。
(コーギーもたいへんだぁ)

Q: 吠えるのをやめさせるには?
A: リードをつけて、吠えたら首をぎゅっとひっぱり、「いけない」と叱って下さい。
(確かに絞めつければそんときは吠えたくても吠えられないかもしれませんが、ずっと絞めつけ続けないとならなくなるのでは?)

Q: バイクに向かって行くのですが?
A: もっと強くリードをひっぱりましょう。

Q: あまがみをしたら?
A: 口をおさえて下さい。マズルコントロールっていいます。
A: でも、マズルコントロールは素人さんには難しいので、上からやさしくおおいかぶさって、おさえつけて下さい。

Q: 来客に吠えるのが止まりません。
A: ペットボトルに水をいれて、顔にぶつけて下さい。
(まじすか? 愛護協会の人なんですよね??)

Q: 自分のうんちを食べてしまうのですが。
A: 嫌がらせでやっているのかもしれませんから、叱って下さい。そして「まったく、もー」と言いながら、不機嫌そうに始末して下さい。
(擬人化による弊害ですね)

L:社会性がある犬は他の犬と仲良しになります。社会性がないと喧嘩します。
(循環論、ここに極まる)

L:犬は5文字くらいの日本語なら習慣づけでわかります。
(も、文字数でくるとは)

Q: 散歩中、他の犬とすれ違うときに怖がります。
A: 飼い主の不安がリードを通して伝わります。「大丈夫だよ」って言ってあげて下さい。
(「だいじょうぶだよ」って、おい5文字越えてるぞ。あ、漢字仮名まじりで5文字までってこと?)

L:犬はオーラをだしています。若い犬とか年寄りとかオーラでわかります。
(えはらさんですか)

L:犬にもプライドがあります。階段を登ろうとして滑って転んだのを笑われたらプライドが傷ついて登らなくなります。
(プライドあるなしにかかわらず、ひどく転んだらしばらく同じことはしないんじゃないでしょうか、あなただって)

Q: 子犬を飼い始めたんですが、家のあちこちでおしっこやうんちをしてしまいます。キッチンにも入ってきてしまいます。
A: 生後5−6ヶ月は仕方ないです。
(フェンスやサークルで制限してあげればいいのに)

最後に、この講師が配付した資料から。

犬をほめよう!犬のしつけでしかってばかりで褒めることを忘れていませんか?犬の性格にもより(ママ)、おびえるようになってしまいます。しつけやトレーニングでも

 ほめるを8割
 しかるを2割

と書いてあるのですが、話の内容からすると「ほめる:しかる」が「1:9」くらいの印象でした。

それがこの資料の最後の頁ではっきりします。

しつけ 快をあたえるもの → おやつ、なでる
 不快なもの
  ◎視覚的 → いきなり布や上着などを犬の視界にかぶせる(ママ)
  ◎聴覚的 → 石を入れた空き缶を落とす、投げる
  ◎嗅覚的 → 酢をうすめたスプレーをかける
  ◎味覚的 → かみつき防止剤
  ◎触覚的 → リードで首輪をぎゅっと引く

一目でわかるように、不快なもののオンパレードです。

「なでる」は犬にとって好子にならないことも多いように思います。逆にやり方によっては(頭の上からいきなりなでようとしたり)不安喚起にさえなるでしょう。

この講師本人のことばにもあるように「おやつ」が使えないようにみえるときもあるかもしれません。というか、場合によっては、嗜好の問題(好きなものをみつける)、確立操作(遮断化)、拮抗反応(不安で食べるどころではないときにはそちらの解消が必要)などをクリアしないとならず、この講師のようにその方法を知らない人にとっては「おやつは使えない」となってしまうのかもしれません。

「いいこね」「かわいいわ」「賢いね」なんて、5文字以内でいくら褒めても、それが犬の行動にとって好子になってなければ、しつけてることにはならないですし。

だからこそ「ほめる:しかる」を「8:2」とかなんとか美辞麗句を並べておきながら、実際にはその逆か、もっとひどいことになっているのではないでしょうか。

来客に吠えて困っていると相談していたあの老夫婦、この講師の助言に従って、ペットボトル投げてないといいんですけど。

甘噛みの対応に戸惑っていたあの若夫婦。この講師の助言に従って、子犬におおいかぶさっていないといいんですけど。

あまりに酷い、今回の「犬のしつけ教室」。こういうことがまかり通ってしまうのにはいくつかの原因があると思います。

権勢症候群(アルファシンドローム)信仰はその一つですし、犬の擬人化もその一つだと思います。

こうやって人前に立って話をする自称専門家があまりに勉強不足ということも問題だと思います。

怒りの冷却期間をおいてからブログに書こうと思っていたのですが、書いているうちに沸々と怒りが再燃してきてしまいました。

というわけで降参宣言するつもりはありませんが、区の「犬のしつけ教室」はこれでおしまい。

権勢症候群については別途記事を書こうと思います。

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 今年は竜巻や台風、大雨などの天災が続きました。被災された皆さま方に、心からお見舞い申し上げます。

 上の画面は台風26号接近中のカーナビ画面です。車の外は大雨でしたが、いきなり何本も点線が点滅し始め、壊れてしまったかと驚きました。

 大雨を知らせる仕組みなのだとすぐに気づきましたが、必要ないですよね。本物の雨が降っているわけですから。

 画面はちかちかするし、地図は見えにくくなるしで、散々でした。

 親切心からのシステム設計なのでしょうが、これは《情報技術の罠》の典型です。

 ユーザーのニーズや使い勝手という視点からではなく、これができる、あれもできる、だから組み込もうというSE視点だけでシステムをつくると、大抵はうまくいきません。

 インストラクショナルデザインには"リーン"(lean)という概念があります。目的の行動を引き出すのに、最低限必要なインストラクションにおさえられればおさえられるほど、すぐれているという主旨です。

 50年代にプログラム学習が流行していたときには「black out」テクニックという技が使われていました。これは、たとえばマニュアルや教科書のうち、不必要と思われる箇所を、まるで政府の機密文書のように黒塗りしていく方法です。黒塗りしても、目的の行動が引き出せるなら(機器が操作でき、学習が進むなら)、その部分は削ぎ落としてダイエットします。そうやって、教材をできるだけ引き締まった状態に仕上げていく方法です。

 我が国でも今後いよいよiPadなどのタブレット端末が初等中等教育に導入されていくことと思いますが、《情報技術の罠》に陥ったコンテンツには警戒して下さい。そして、開発者の皆さまには、罠に陥らないよう、必ずユーザーテストを積み重ねるようお願いします。

 なお、この記事を書くのにgoogle検索したら、文科省のサイトに「プログラム学習」の解説があるのをみつけました。

 へぇ〜。

Appupdates

Apple Special Event の「No more this」でどっとウケてた iOS7の新機能ですが、うちではiPhoneもiPadも、相変わらずこの状態です。

WiFiにつないであるし、すべてのappをバックグラウンド更新するように環境設定しているのに。

なぜじゃ。

毎日飲む薬やサプリ。あれ、今日はもう飲んだっけ? 飲んだような、まだ飲んでないような…

そんなときの《デジタルひめくり》。

キッチンタイマーくらいの大きさのガジェットで、画面の上部には現在の日付と時刻(これは通常の時計)、画面の下側には最後にサプリを飲んだ日付と時刻(これは進まない)が表示される。

下部にボタンが一つついていて、それを押すと上部の日付・時刻と下部の日付・時刻が一致する。

薬やサプリを飲むたびにボタンを押せば、最後にサプリを飲んだ日付と時刻が記録されるので、飲んだか飲んでないか怪しくなったら、そこをみればいい、というアイディアです。

キッチンタイマー百円で売れるように作れるくらいだから、需要さえあればかなり安く作れるのではないでしょうか。

服薬管理にも使えると思うのです。

どなたか開発してみませんか?

アメリカン大学のシルバーバーグ(Alan Silberberg)先生が来日され、関東では慶應義塾大学、関西では関西学院大学にて、以下の講演会が開催されます。

シルバーバーグ先生は実験的行動分析学から経済学や意思決定などの領域に取り組んだ先駆者です。

慶應での講演は「乱用薬物には嗜癖性はないのでは」というテーマで健康や薬理に関するお話、関西学院大学の講演では「Research of a niche “primatologist: ” Quarrels with post-modern primatology」が題目で、霊長類を対象とした比較行動学のアプローチに疑問を投げかける内容のようです。

私が初めてABA(国際行動分析学会)に参加したのが大学院修士2年生のときで、ちょうど坂上貴之先生がシルバーバーグ先生のところに在学研究にでられていました。そのツテでアメリカン大学にも立ち寄らせていただき、シルバーバーグ先生の実験室を見学させていただいたり、お話をお聞きしたりするという機会がありました。当時はいわゆるopen economy と closed economy 条件でのハトの行動の違いなどが盛んに実験されていました。

シルバーバーグ先生はとても個性的な方で、今でも覚えている、とても印象的な言葉が以下の二つです。

いわく

  • 日本からアメリカに来るという時点で、銃殺されるリスクを選択している。
  • 学会には行かない。そんな時間があるなら論文を書く。

真理だよなぁ。

慶應での講演にはぜひ参加しようと思います。

ミニ・レクチャー「健康と行動的意思決定」 日時:2013年12月14日(土)14:00〜17:00(17:10〜懇親会)
場所:慶應義塾大学三田キャンパス 南館地下2階 2B24教室
概要: Silberberg教授の来日の機会をとらえ、健康をめぐる行動分析学や行動的意思決定科学の可能性を行動経済学や心理薬理学での研究の展開を踏まえつつ議論したいと考えています。
講演プログラム
・坂上 貴之(慶應義塾大学)「開会の辞」
・伊藤 正人(大阪市立大学)「行動健康心理学の展望:自己制御と価値割引」
・高田 孝二(帝京大学)「たばこはニコチンか?」
・アラン・M・シルバーバーグ(アメリカン大学)「乱用薬物には嗜癖性はないのでは」
討議
主催:慶應義塾大学「思考と行動判断」研究拠点
共催:日本行動分析学会

詳しくはこちらをご覧下さい


Research of a niche “primatologist: ” Quarrels with post-modern primatology.講演者: Alan Silberberg, Ph.D. (American University, Washington DC)
日時: 2013年12月9日(月) 14:40-16:10
場所: 関西学院大学上ケ原キャンパス・図書館ホール
司会: 丹野 貴行 (関西学院大学文学部)
概要: 霊長類研究では言語、嘘、心の理論、道具使用、文化などの面でヒトと類人猿の共通性が検討されている。最近ではこのリストにヒトの認知的エラーを加え、それが類人猿でも見られるかどうかの検証も進められている。本講演ではこうした流れの中で行われてきた諸研究の方法論上の問題を指摘し、得られた結果を安易に種差として解釈することの是非を問う。

詳しくはこちらをご覧下さい

 行動分析学の主要専門誌である、Journal of Applied Behavior Analysis (JABA) と Journal of the Experimental Analysis of Behavior (JEAB) 、これまでは、出版から1年後という制約はあれど、どちらもPubMEDから無料でダウンロードできてました(関連記事)。

 心理学全体からすれば少数派の行動分析学ですから、それゆえにPubMEDでの無料公開には意義があると評価していたのですが、オンラインジャーナル出版社のWileyの傘下に入り、これから出版される号については無料では読めなくなってしまったわけです。

 法政大学では、心理学科の先生たちのご厚意で、学科からオンライン講読の予算をだしていただけることになりました。ありがたや。

 大学図書館などの事務手続きもあり、実際に読めるのは今年度末か来年度からになりそうですが、これでほっと一安心です。我々教員は冊子体を個人契約するという手がありますが、学生、大学院生はそうもいきませんからね。

 法政はラッキーな方ではないかと思います。PsycINFO® だけじゃなく、PsycARTICLES® でAPA系の雑誌も全文をオンラインで読むことができますし、Psychological Science も読めます(ただし全学ではなく心理のみ)。

 数年前までは読みたい論文のうち、学外文献複写依頼をかけないと入手できない論文がけっこうあったのですが(2割くらいかな?)、今ではほとんどオンラインで入手できるようになりました。学外文献複写依頼は年間で十件に満たないくらいになりました。

 契約や購読料や、学問の知への経済状況による制限みたいな問題は山とあれど、便利な世の中になったものです。

Kindleオーナー ライブラリー 数多くの対象タイトルの中から、お好きな本を1か月に1冊、無料で読むことができるサービスです。

こんなサービス、いつからあったんだろう(知らんかった)。

Kindleの端末を購入済みで、Amazonプライム会員が対象だそうです。電子図書が毎月一冊読めるなんて、お得です。これだけでもPaperwhiteの元がすぐにとれそう。

読み終わったら端末からデータを削除して次の月の一冊をダウンロードできるようになるみたいですが、こんな方法でコンテンツ提供できるということは、たとえば月10冊まで読み放題の定額制みたいなことだってできるはず。Amazon.com(米国)では電子図書のレンタルをやっているみたいだし。日本でやらないのは版権の問題か。

Kindleオーナー ライブラリーの対象となっている本の一部はこちらから参照できます。和書はコミックが多いみたいです。Amazonの検索はいまだに不便で、たとえば「Kindleオーナー ライブラリー & 心理学」なんて検索ができません。千冊近い本をブラウジングするか、たまたま見つけたらラッキーということでしょうか。

とどのつまり、今回はラッキーだったのかもしれないですね。

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Mavericks はこれまでのアップデートの中で最も簡単に移行できて、問題も少なかった。なにしろネット経由で更新できるし、時間もそんなにかからない。プリンタードライバーまでもそのままだし。

一つだけ。Mailで障害発生。

いくつかの宛先から届くメールが自動的に迷惑メールに振り分けられてしまうようになった。そもそも純正の迷惑メールフィルターは使ってないのに。

「迷惑メールではない」をクリックしても学習してくれないし、迷惑メールのルールをリセットしても効果なし、迷惑メールフィルターのオンとオフと繰り返しても(オフのままでも)状況は変わらず。

ネットで検索しても関連して見つかるのは、ギガ単位で大量に迷惑メールフラグが立つ件だけで、どうやら自分のはローカルな問題のようだ。

とりあえず自然治癒(どこかのアップデートでいつのまにか修正される)ことを待つことにする。

あ、あともう一つ。Dropxboxでも若干の障害発生。

ローカルフォルダーと同期できてはいるのだけれど、右クリックしてそのファイルへの共有リンクがコンテクストメニューに表示されなくなっている。これも自然治癒待ち。

ところで Mavericks で登場したFinderのタブ機能はとても便利である。本を書くときには、その本のためにフォルダーを一つ、その中に、本文や資料、図表やその他といったサブフォルダーを作って作業するのだけれど、これらをまとめて一つのウィンドウに開いておける。あちこち探さずに済み、作業効率が上がる。

惜しむらくはこのタブ設定、ウィンドウを開けるたびに再設定しないとならない。複数のタブからなるFinderのウィンドウ設定を保存しておけたらいいのに。これはWishリスト。ぜひ頼みます。

 私が十分な時間をとれないために法政ABA研究会は現在開店休業中です。お問い合わせを頂くたびにお断りしなくてはならないことになっていて,大変申し訳ありません。

 法政大学には学部にも大学院にも科目等履修生という制度があります。行動分析学を基礎からしっかり学びたいという方は,そのような制度を活用して,まずは授業を履修してみることも可能です。

 大学院には公的機関(官公庁,学校,企業など)から研修生を受け入れる仕組みもあります。教員の長期研修や大学院派遣(十四条特例が適用できます)はもちろんのこと,私も知らなかったのですが,委託研修生(修士レベル),研究員(博士レベル)制度というのもありまして,2018年度にはこの制度を活用した研究員の方が,一年間,所属されている会社での実践研究に取り組まれることになっています。興味のある方はぜひご検討下さい。


 法政ABA研究会は、主に社会人の方と恊働で、応用行動分析学(Applied Behavior Analysis)の研究を進めるための、小さな集まりです。

 メンバーが各々の職場から事例を持ち寄り、相談しながら研究計画をたて、実施し、日本行動分析学会などの学会で発表します。実践活動で終わらせず、学術的にも価値がある成果をだし、公表することが目的です。

 月に一回、法政大学市ヶ谷キャンパスにある島宗研究室で会合を開いています(土日の午後が多いです)。内容は研究の打ち合せです。講義はありません。文献を読み合うこともしません。各自がそれぞれ研究の進行状況を報告し、質疑応答し、標的行動を決めたり、随伴性を分析したり、データを分析したり、学会発表にむけて準備したりします。

 このような、まるでゼミのような活動内容ですので、これまで広くメンバー募集をすることはありませんでしたが、研究会の存在を噂で知った方からときどき問合せがありますので、概要をお知らせすることにしました。

 せっかく学んだ行動分析学を、ぜひとも仕事で活かし、その成果を公表することで、学術的にも社会的にも貢献したいし、その中で、応用行動分析学や研究に関する知識や技能をより深く習得したい。そのような心意気と具体的な研究計画をお持ちで、本研究会への参加に興味のある方は島宗までメールでお問い合わせください(simamune@hosei.ac.jp)。

 以下、本研究会について、よくある質問と回答です。

Q: 行動分析学を学びたいのですが...
A: この研究会は研修会や勉強会ではありません。行動分析学の基礎はすでに学んだ方のみを受入れています: 大学で行動分析学を学んだとか、色々な研修に参加したり、文献を読んだりして、少なくとも用語や概念の理解はすんでいる方が対象です。

Q: 何が学べますか?
A: 応用行動分析学を職場で使うための方法論やコツ、研究として成立させるための条件設定やデータの解釈などが学べます。専門家のスーパーバイズつきで事例研究を進めることができることも大きな利点だと思います。

Q: 会費制ですか?
A: 参加は無料です。ただし、ご自分の研究にかかる費用などはご自分でご負担下さい。

Q: どのような研究をするのですか?
A: 応用行動分析学の方法論を「仕事」に使う研究であれば領域やトピックは問いません。

Q: 職場で研究したいのですが、会社の合意が得られません。
A: 残念ですが、合意が得られなければ研究が遂行できません。職場で研究する意義を説明して理解していただいたり、職場以外で研究が遂行できるような環境(町内会とか、趣味のサークルとか)を探してみてはいかがでしょうか。

Q: 事例研究をすることについては許可がもらえますが、学会発表となると許可がもらえません。
A: 学会発表のさいには会社名や個人名を秘匿し、プライバシーを保護する手続きをとると説明しても理解が得られないのであれば、残念ですが、上述したような他の可能性を模索して下さい。

Q: 他の大学で学んでいるのですか、参加できますか?
A: 所属されている研究室の指導教員の先生に説明し、了解をいただければ参加して下さい。ただし、本業の卒論や修論や博論の遂行に支障をきたさない範囲でという条件付きです。

Q: 見学させていただけますか?
A: 一緒に研究する意志がある人のみをメンバーにしています。研究会ではメンバーが遂行している研究のデータについて細かいところまで討論が及ぶこともあります。実験参加者や研究対象者、企業、施設などのプライバシーを保護するためも、見学はお断りしています。

Q: 学会での研究発表となると自信がありません。
A: 研究計画書を書いたり(研究の遂行前に法政大学文学部心理学科・心理学専攻倫理委員会に申請し、承認を受けます)、発表論文集の原稿を書いたり、発表用のスライドやポスターを作成したり、論文を書いたりすることは、確かに多くの社会人の方にとっては余分な仕事になると思われます。そういう場合は私(島宗)がその仕事を担当しますし、ご要望があればご指導も致します(例:原案を作成していただき、助言しながら完成させる)。これまでのメンバーの活動をみていると、少なくとも学会発表までは、自力で色々やってみることが、各々の学習を深めることに役立っているようですし、皆さん楽しんでおられるようにも思えます。

Q: 異業種交流はできますか?
A: 現在のメンバーはそれぞれ異なるお仕事をされていますので、結果的に異業種の情報を学ぶ機会にはなっていますが、それが研究会の目的ではありません。月例会の後も、そのまま解散します(飲み会をするのは年に数回くらいです)。

Q: 関西(九州、北海道....)にいるので、月例会に毎回参加するのが難しいのですが...
A: 現在のメンバーも、それぞれの都合がありますので全員が月例会に100%参加できているわけではありません。メンバー専用のインターネット掲示板も用意してありますので、月例会以外でも研究について話し合うことは可能です。とはいえ、対面で話をしないとどうしても伝わらないこともありますので、特に研究計画を立てて実験を始めるまでの間は月例会に参加されることをお勧めします。その後も、月例会への参加率が五割を切るようだと、少し難しいと思います。

Q: どのような方が参加しているのですか?
A: 色々です。大学や大学院のゼミの卒業生や修了生を対象にしているのかと勘違いされることがありますが、そうではありません。出身大学に関わらず、応用行動分析学に興味があり、研究したいと思っている方は、広く受け入れています。

 Julie Smith 先生の特別講義『成果を出し続ける経営マネジメント 行動分析学にもとづいたアプローチ』が無事に終了しました。

 前夜に韓国から到着し、昨日も講演前後にはビジネスミーティングがあり、本日午前中にはアメリカに帰国されるというタイトなスケジュールでしたので、ホストとしても気が抜けない状況でしたが、講演もその後の質疑応答セッションも問題なく進行でき、ほっとしました。

 金曜日の夕方という設定にも関わらず、学生さん、社会人の皆さま、あわせて170名ほどの参加があり、これも嬉しかったです。忙しい中、お疲れ様でした。

 講演後、何人かの方から発表資料をいただけないかというご要望をいただきましたが、今回は配布資料なしということです。CLG社は、アジア諸国への事業展開をしていますが、国によってはすぐに模倣のコンサルティングサービスが立ち上がり、知的財産権を守ることが難しくなるとのことで、とても慎重になっているようです。ご了解下さい。

 その替わりというのもへんですが、CLGのコンサルティングサービスやその背景にある理論を解説した本へのリンクをはっておきます。講演でもご紹介いただいた本で、日本のアマゾンからも購入できそうです。私もまだ読んではいないのですが、ざっと目を通したところでは、昨日の講演内容(特に、コンサルティングのステップなど)が詳しくカバーされています。ただし、事例については、昨日の講演やその後の質疑応答セッションの方が詳細な情報が得られたと思います(わざわざ会場に脚を運んでいただいた参加者の特権ですね)。

 解説的通訳を務めさせていただき、反省すべきはお金の単位変換です。"Twenty five million dollars"と言われても、それが日本円でいくらになるか、とっさに訳せませんでした(恥)。日本円でもUS$でも、普段からそんな大金扱ってないからという言い訳しかできません。すみません。およそ25億円ですね。

 法政の心理学科の学部生たちもたくさん参加してくれました。学部で心理学を学んでも、卒業してからそれを仕事にするのは難しいと、あちこちで言われると思います。でも、Smith 先生たちのように、何もないところから起業し、今では世界をまたにかけ、心理学をフルに使ったコンサルテーションをして、即座に翻訳できないほどの桁のお金を稼いでいる人もいるのです。いずれは皆さんの中からも、そのようなパイオニアが出てくることを期待してます。


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 先週、テニスの試合で手首を痛めたこともあり、現在、Macの音声入力システムを使って原稿を書いています。

 変換の精度、スピードともに、以前に比べれば遥かに改善されています。

 以下、いくつか気がついたことを書きます。

  • 句読点や括弧なども、「まる」、「てん」、「かぎかっこ」と言えば入力できます。改行も「かいぎょう」でOK。
  • Appleのサイトによると、スペースは音声入力できないことになっていますが、「いちもじあける」と言えば、半角スペースが入力できます。
  • 何度か「ぜんかくでいちもじあける」と言ってみましたが、「全角 」となってしまいます。全角スペースは今のところ入力できないようです。
  • 音声認識に癖があるようで、たとえば「じはつされます」と言うと「1初sale」と認識されます。何度かイントネーションを変えて言い直してみても同じでした。「1初sale」という日本語はないので、意味解析はしていないということかもしれません。
  • スピーカーから離れて話したり、窓を開けていて通りの雑音が入ると、誤認識が増えるようです。同じ理由で、音声認識モードのまま、誤認識した単語をキーボードで修正しようとすると、キーボードを叩く音を変換しようとし、とんでもないことになります。
  • とんでもないことになったのを見て思わず笑ってしまうと、これまた変換しようとし、さらにとんでもないことになります(「パパパパパパはパパ」とか)。
  • 残念ながら、誤認識した文字列を、音声で修正することができません(「もとい」とかで直前の入力をキャンセルできればいいのですが)。
  • 間違って認識した単語のところに手動でカーソルを持っていくと、修正候補が出る場合もありますが、正しい単語が修正候補にない場合も多くあります。

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  • ソフトウェアにもよるようです。私はJeditXをメインに使っているのですが、Wordでは変換修正候補がでないし、Apple純正の「メモ」や「テキストエディター」でも動作が異なるようでした。
  • Appleによると、使えば使えるほど音声認識の精度が上がるということですが、修正候補から正しい単語を選んでも、直後に同じ単語を話したときにすぐに反映されるわけではないようで、同じ間違いを繰り返します。
  • この原稿も音声入力していますが、上記の「反映される」は、最初「阪急される」に変換され、修正候補はなぜか「hank you」でした。
  • 全体的にはまだまだお茶目な音声認識と変換システムですが、それなりに使えるレベルにはなっていると思います。
  • クライアント独自の辞書も活用しているようです。私のところでは「好子出現による強化」はかなりの確率で正しく変換されています(それか「神子湿原による強化」のどちらかです)。
  • どうやら基本的にはクラウド形式で運用されているようなので(Mavericksからはネットに接続しなくても使えるプラグインが用意されたようです)、ユーザーが増えれば増えるほど精度が上がるはずです。皆さまもこのシステムの育成に、ぜひご協力下さい。

追記:

 音声入力で原稿書いてみると、普段原稿を書いているときには、いかにキーボード入力に思考が影響されているのかわかります。考えながら話をするというのが、とても難しいことに気がつきました。

 キーボードで原稿を書いているときには、頭で考えるよりも先に(or 頭で考えるのとは別に)手先が動き、頭では入力された文字列を読みながら考えているのではないかと思うほどです。つまり二つの行動系が協力、強調して書いている感じ。音声入力だと、考えるのと話すのが同一の行動系なので、言わば、二馬力が一馬力にパワーダウンしたように感じます。

 音声入力にただ慣れていないだけなのかもしれませんけども。

 このあたりの研究、ありそうかな?

名言〔第12位〕:「教える組織を作る」

解釈:
 QCサークルやTQC、TQMなど、QC活動の成功事例からわかるように、「教える」行動が強化される随伴性は「学ぶ」行動の確立操作として機能する。これは、ゼミを発表当番制で運用すると、毎回最も学ぶのは発表者だったり、社内/校内研修の講師を社員/教員が担当すると、最も学ぶのは講師になった社員/教員だったりするのと同じである。
 社員間の学び合い(学んだことを教える)が自発され、強化される機会を設定することで、上意下達に凝り固まったコミュニケーションだけではなく、現場から意見を吸い上げることもできる柔軟な組織運営が可能になる。

本シリーズの過去記事一覧:

30

 来週の金曜日に法政大学で開催される特別講座のスライドが届きました。

 ざっと見たところ、具体的な実践例がかなり含まれています。

 病院における医者の行動マネジメント、航空会社のグランドスタッフによる顧客サービスの向上、家電のコールセンターのサービス改善、グローバル企業における情報化推進とコスト削減、経営者の投資に関する意思決定支援など。

 通訳&解説が入るのため講演では時間的制約があります(90分)。事例の詳細は講義後の質疑応答セッションに持ち越されるかもしれませんね(まだ席がありますので質疑応答セッションに参加希望の方はメールでお申し込み下さい)。

    講師:Julie Smith 博士 (Continuous Learning Group)
    日時:2013年11月8日(金)16:50〜18:20
    会場:法政大学市ヶ谷キャンパス外濠校舎S407教室
    アクセス:http://www.hosei.ac.jp/gaiyo/campus/ichigaya/index.html
    解説:島宗 理(法政大学文学部心理学科 教授)
    主催:法政大学文学部心理学科
    共催:法政大学大学院ライフスキル教育研究所、日本行動分析学会

 本特別講座について、詳しくはこちらの案内記事をご参照ください。

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