はるがきた:やんちゃな小犬の子育日記(番外編8) 飼い犬のあくびは飼い主への共感?

犬のあくびがこんなにも研究されているとは(笑)。

Romero T, Konno A, Hasegawa T (2013) Familiarity Bias and Physiological Responses in Contagious Yawning by Dogs Support Link to Empathy. PLoS ONE 8(8): e71365. doi:10.1371/journal.pone.0071365

 ちまたの犬の本には、犬があくびをするのは不安とかストレスの顕われだと書いてあることが多いのですが、最近の研究は、いわゆる“あくびの伝染”は“共感”によるものである可能性を追求しているらしいです。

 この研究では、飼い主と見知らぬ人があくびのフリをしたときに飼い犬がそれに追従してあくびをするかどうか(それから、あくびに似た動作をしたときにあくびをするかどうかも)調べていて、見知らぬ人よりも飼い主があくびをしたときに追従することが多かったことから、“親近性”が影響し、その背景には“共感”が影響していると解釈しています。

 でもね、ローデータをみると、実験に参加した25頭中17頭は実験条件でも統制条件のあくびをしなかったか、実験条件=統制条件か、統制条件の方で多くあくびをしていたのですよ。

 統計ってすごいなぁとこういうときに思います。

 それに「あくびのフリ」に“共感”するってのもすごいなぁ。「わかったよ。おいらもあくびのフリするよ」って“共感”なんでしょうか。

 うちの犬で試してみましたが、退屈そうにするだけでした。もちっと共感しろ!(笑)

 あ、うちの犬は、朝起きた直後とか昼寝から目覚めた後とかに、フツーにあくびしてますよ。不安でもストレスでもないような気がします。眠いときにするあくびです。

 あくびの生理的なメカニズムは知りませんが、少なくとも人の場合は眠気と関連したレスポンデントではないかと思います。でも、眠いときには口元に力をいれたり、息をのんだりするような、両立しないオペラントを自発できるので、あくびが社会的に望ましくない場面(会議中やゼミ中やデート中であくびが弱化される危険がある状況)では、嫌子出現阻止の随伴性でこうしたオペラントが強化、維持されていると考えられます。

 そして他の人があくびをすると、それが嫌子が出現しない状況の刺激(警告刺激の反対の安全刺激)となり、オペラントの自発頻度が下がって、追従あくびがでるのではないのでしょうか。だから、そもそもレスポンデントとしてあくびを誘発する刺激がないところでは追従あくびもでないと思うのだけれど、どうなんでしょう。

 もちろん、模倣行動のオペラント水準はある程度あると思うので、他者の何からの行動がそれと形態的に一致した行動を引き起こすということはあると思うし、このあたりがミラーニューロン関係の話(がおそらく上述の研究の流れの“共感”説の根底になるのだと思うのだけれど)と関連している可能性はあるかもしれません、でも、そうなると、あくびのオペラント的側面を考えるか、模倣の制御が反射にまで影響することになります(新生児模倣のような制御がその後も続くとか)。だから、ちょっとよくわからないというか、私にしてみれば懐疑的な話です(愛犬家研究者の気持ちはわからなくもないですが)。

 ましてや犬おや。犬や犬と人の生活には、あくびを控えるオペラントを強化する社会的随伴性はないと思うのだけれど.... そのような社会的随伴性のないところでの“共感”とは、何なのでしょうね。

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