『実録!少年院・少年刑務所』

刑務所や拘置所で働いていた著者による解説書。この本でもたくさんのことを学びました。

以下、無知をさらすことを覚悟で、この本から学んだことを羅列します。

  • 少年院は「保護処分」(罪名も刑期もない)、少年刑務所は「刑罰」。
  • 少年刑務所に「少年」はほとんどいない。全国に7つある少年刑務所に収容されている「少年」の総数は100人程度(刑務所内で成人していくから)。
  • (これは『刑務所のいま-受刑者の処遇と更生-』にも書いてあったけど)、死刑囚は刑務所ではなく拘置所に拘留される。そのため、罰としての作業も、再教育としての訓練も受けない。
  • 逮捕・補導された総数の8-9割は制裁的処置なく無罪放免となっている。
  • 少年院に収容されることになった犯行は窃盗がおよそ3割、傷害暴行、強盗、恐喝、強姦・強制わいせつ、覚せい剤、道交法がそれに続く。
  • 少年院は全寮制で、軍隊的な集団生活を強いられる(「集団行動訓練」、「体育」など)。
  • 他にも、ロールレタリング、内観法、SST、サイコドラマなどの心理療法、教育プログラムも提供されている。
  • 職業訓練の一貫として、資格試験(溶接、パソコン、簿記、自動車整備など様々)などの準備指導も行われている。

この本の圧巻は、全国に52ある少年院すべてが紹介されているところ。まるで専門学校のガイドブックのように、教育課程や定数(収容人数)、特徴的なプログラムなどが記載されています。ただし、これを読んでも、希望する少年院に選択して入所できるわけではないので、なんだか不思議な感じはしましたが。

著者は「少年院ほど確実に進歩してきた教育施設はない」と少年院(と地元の協力)を評価しています。また、少年院で指導すれば再犯の可能性が低くなるだろうに、そのようにしない家裁の方針に異を唱えています。

自分としては、たとえば少年院に送られた子どもと、送られなかった子どもとで、その後の犯罪傾向に違いがあるのかどうかをデータとして知りたかったですが、残念ながら本書にはそうした数字はありません。

また、各少年院が提供するプログラムの効果についてもデータがありません。たとえば、資格の取得率とか、学力テストの成績向上率とか、そういう単純な指標でもいいので公表されていれば、「確実に進歩」してきているという主張の根拠になるのではないでしょうか。

法を犯した少年がどのように裁かれるのか、こういうことは中学や高校で、しっかりと正確に教えた方がいいのではないでしょうか。成人する前に悪いことをしてもたいしたことにはならないなんて考えている子どもいると思います。少年法による保護という意味で、それは必ずしも間違いではないようですが、その一方で、少年鑑別所、少年院、少年刑務所に送られ、そしてその後も再犯して刑務所で人生の重要な時間を送ることになるケースも確実にあるわけですから。

実録!少年院・少年刑務所 実録!少年院・少年刑務所
坂本 敏夫

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