スポーツ観戦にビッグデータの到来? IBM SlamTracker の体験記。

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今年の全仏でその存在に気づいたのだが、時間がなくてアクセスしたことがなかった IBM SlamTrackerを覗いてみた(解説はこちら)。

プレー中の試合をポイント毎に記録し(これは手動のようだ)、すぐに各種指標に反映させて(1st.、2nd.サービスが入った確率、ダブルフォルトの数、1st.、2nd.での得点確率、アンフォーストエラーの数など)、リアルタイムに表示を更新する。

それだけではない。過去8年間のグランドスラムのデータから(「41 million data points」だってさ)、対戦相手に勝つためのキーポイントを3つずつ選び出し(これも多分手動ではないかと推測する)、その達成度がリアルタイムで更新されていく。

たとえば、男子準々決勝のジョコビッチ vs ベルディヒ戦だと、ベルディヒがジョコビッチに勝つには、

  • 4-9球からなるラリーの56%以上でポイントする。
  • アンフォーストエラーによる失点の割合を4-15%に抑える。
  • 相手のセカンドサービスの47%以上で得点する。

となっていた。

試合中は、ジョコビッチの達成度が0/3で、ベルディヒの達成度が2/3のときもあったけど、最終的には3-0でジョコビッチの勝利。となると、まさに今流行の「ビッグデータ」の活用例とはいえ、どこまで予測の精度があるのかは、かなり疑問になる(なんとなく、カーナビの到着予測時刻がどんどん更新されて、最終的には予測と現実がマッチするのに似ているような気もする)。

Momentumというグラフでは、どちらに試合の「流れ」がきているかが折れ線グラフで表示される。その昔、うちのゼミで野球とテニスでそれぞれ卒論を書いたゼミ生がいたテーマなのでとても興味があるのだけれど、Momentumをどのように計算しているのか解説がないのが残念。うちのゼミ生の卒論では単位時間あたりの強化率で集計したのだけれど、「強化」に何を算出するのかがけっこうやっかいだった(たとえば、相手のアンフォーストエラーをこちらの「強化」にカウントすべきかどうかなど)。

Social Sentimentのグラフでは、TwitterやFacebookの書込み数から、観客の「盛上り」を、やはりリアルタイムで計測、表示しているらしいのだけど、これはファンの絶対数とかにも左右されるだろうから、どれだけ意味があることやら。ただ、たとえば伊達とセリーナの試合とかみたいに、もしかしたら試合での得点差ほどSocialが離れてなかったりする事例もでてきて、それはそれなりに面白いかもしれない。

最近アナウンサーや解説者がやたら細かなスタッツを、それも試合中にタイムリーに引用しているのは、きっとこのシステムを活用しているのに違いない。プロ向きだな。

一般のテニスファンとしては、数値よりもプレーを観ていた方がはるかに楽しい。もしかしてテレビ画面の横とか下とかに常時表示される形で(地デジの情報表示みたいに)表示してくれれば、たまには見るかも。PCの画面とテレビを行ったり来たりするほど強化的ではないというのが、とりあえずの結論です。

決勝戦(はNHKでも放映するはず)で試してみたい人はWinmledonのHPから「SCORES&SCHEDULE」の「IBM SLAM TRACKER」を選んで下さい。ただし、生中継時に。

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