2013年5月アーカイブ

Bookscan

 3.11のあとで研究室を復旧しながら、いつか蔵書を電子化しようと考えていました。でも、いわゆる"自炊"は手間がかかりすぎそうだし、きれいに読み取れるとも限らないので、やるとすればプロ任せにしようと決めていました。

 たまたま、BOOKSCAN(ブックスキャン)社のインタビューがあり、お礼に本を30冊電子化するクーポンをいただきましたので、さっそく試してみました。読み心地、使い勝手などについては、そのうちまとめて報告します。

 インタビューの内容はめちゃくちゃパーソナルな話ですので、物好きな人だけどうぞです。

To

はじめて犬を飼う人、犬の飼い方について困っている人を対象にした教室ということで、私はどちらにもあてはまりませんが、こういう教室にはこれまで行ったことがなく、行政が主催する会でどのような話が聞けるのかに興味を持って参加しました。

平日の夜7-9時に催される会に20人くらいの参加者。これから犬を飼おうと思っている人、すでに犬を飼っている人がおよそ半々くらいでした(講師の先生から質問されて挙手)。

講師は某トレーナー協会の認定を受けているという先生で、地域のボランティア活動にも積極的に関わっている方ということです。

講義の前半は犬を飼うときの一般論。動物愛護法とか条例とか狂犬病ワクチン接種などの話と犬種別特性の話。○○図鑑だとチワワやミニチュワダックスは都心でも飼いやすいと書いてあることがあるけど、吠えやすい犬種であるとか、ジャック・ラッセル・テリアは可愛いけど、ものすごい運動量が必要なので一般の人には勧めないとか、ドーベルマンをマンションで飼うのもどうかと思う、などなど。

狂犬病ワクチンについては異論もあるんだよなぁとか、こういう犬種特性って、はると出会う前は、それこそ図鑑とかを毎晩のように読んで勉強してたよなぁとか(そして、結局、犬種特性で飼う犬は決められないという結論に達したよなぁとか)、こういう話の流れだと、雑種は蚊帳の外だなぁとか思いながら聴講。

手元には都や区のハンドブックとかも配付されていたので、これらにも目を通しました。

都の冊子は素晴らしいです。「しつけは犬の必修科目」という章には以下のように書いてあります。環境設定を重視し、体罰を禁じています(p. 7)。

5. 叱る状況を作らないように予防する。
(例:かまれて困るものを放置しない。ゴミ箱にはふたをする)
6. 困った行動を叱るのではなく原因を考えて対処する。
7. 体罰は絶対にしない。どならない。おどさない。

区の冊子も負けていません。「噛み癖をやめさせましょう」には甘噛みを好子消失による弱化を使って減らす方法が書いてあります(p. 5)。

甘噛みであっても、噛まれたらすぐに「痛い」と伝えて、その場から離れましょう。歯を使うと大好きな人がいなくなってしまうことをおぼえさせます。

さらに次のページでは(p. 6)、叩くことで噛みを誘発する可能性を警告しています(叩くことが確立操作として機能し、回避/逃避の随伴性が噛みを強化するようになる)。

犬がいうことをきかないと、犬の頭を叩く人がいますが、これをすると、この犬は
頭をなでようとすると人の手をこわがり、噛むようになってしまいます。

さらにさらに、無駄吠えには消去、不安の吠えには(深読みすれば)馴化、消去、拮抗条件づけを使うべしとあります。

犬は飼い主に何かをしてほしくて吠えています。吠えているときには、犬と目を合わせず、無視しましょう。

犬は知らないことに反応して吠えることがあります。普段から社会性をみにつけることで解決できることがあります。この音は何?と疑問をもたせないで、この音はこういうものだから大丈夫!ということを教え、むだに吠えることをなくさせましょう。

「後半は参加者からの質問や相談に答えますので、何かあったら講師への質問をお書き下さい」というメモ用紙が用意されていました。どうしようかな、何か書こうかなと考えているうちに、質問や相談の時間もなく、2時間が終わってしまいました。

後半は講師の先生のしつけについての話が中心でしたが、これはかなり残念でした。ご自身が飼ってらっしゃるワンちゃんの話なのですが、たとえばこんな感じです。

うちの犬は飼い主(講師ご本人)を病院送りにするほどの噛み犬です。

そういう深刻な問題を抱えていて、解決策を探しにきてらっしゃる参加者の方もいるかもしれないのだから、解決策を提示すべきでは?

うちの犬はおやつは興味がないんです。だからしつけはおやつじゃなくて、遊んであげることでやってます。

でもフードは食べるそうです(笑)。

うちの犬は名前を呼んでも振り返りません。耳が悪いのかもしれません。

うちの犬も今そういう状況になっちゃったんで、呼び戻し訓練を最初からやり直しているところです。キュッキュなるボールには良く反応しますから聴覚はOKだと思うので。

うちの犬はしっぽを噛む癖があります。トラウマがあるみたいです。そういうときには抱きかかえてあげると落ち着きます。

飼い主さんの(講師ご本人の)注目や接触がそういう行動を強化している可能性があるのでは?と思っているうちに、

うちの犬はよく泣きます。不安なのかもしれません。だっこしてあげると泣きやみます。

あららら、やっぱりと納得していると。これについては自分の対応が泣き続ける原因かもしれないと、まるでノリツッコミみたいな展開でした(でも、だから注目をやめて消去してみましたという話は残念ながらなかったです)。

「うちの犬」の話はまだまだ続きます。

昔はペット禁止のホテルに内緒で連れて行ってましたが、最近はそれもできなくなってきました。

とか、

ペットと泊まれる宿に行っても、うちの犬は部屋で一人で留守番できず、吠えるので、そういうときには車の中に入れておきます。

とか。

え〜。そんなことする人がいるからペットをOKしないところが増えちゃう(and/or ペットをOKとするところが増えない)んじゃないですかとか、そういうときに安心してお留守番できるように教える方法を皆さん聞きにきているのではないのでしょうかとか。

このあたりまでくると、私、かなりしかめっ面です (`-´)゛

チャイムについても同じです。

うちの犬はピンポーンの音で吠えます。

だそうです。

この問題行動については、チャイムがなったらおやつをばらまくという手順を紹介していました。しかし、それがうまくいくのは(チャイムやその後家に入ってくる見知らぬ人に対する不安反応を減らすための)拮抗条件づけではなく、口にフードが入っているから吠えられないとお考えのようでした。

なぜご自分のワンちゃんにそれをしないのかなと思ったら、そうでした。「うちの犬はおやつは興味がないんです」でした。だったらフードを投げればいいのにね。

うちの犬は所有欲が強くて、おもちゃを取ろうとすると噛みます。

はるが来たときに山本先生に最初に教えていただいた(たくさんの)ことの一つがこれでした。タオルを噛んで放させて(手間に引くのではなく犬側に押すように力を抜くとはずえることがある)、そしたら遊びを継続してあげるとか、アキレスみたいな噛めるおやつを噛ませ、同じように放させ、そしたら瞬時にレバーペースをつけて返してあげるとか。フードを食べているときにボールにおやつを追加してあげるとか。うちの子はおかげさまでフードやおやつを守る危険行動はしません。タオルやボール遊びの文脈でなら「ちょうだい」で放せるようにもなってきました。

そういう指導方法の一つでも話してくれればいいのに。

質問の時間がなくなると悟ったのか、参加者の一人から「遊んでいると甘噛みしてくるので、獣医さんに相談したら、飼い主が上の立場であることをわからせるために、脚をぎゅっとつかんで押さえつけなさいと言われました。それでいいんでしょうか?」と質問されると、

脚をつかむことはしなくてもいいと思いますが、「だめ」っときちんと短く怒ってあげましょう。

と回答。今どきαな獣医さんも獣医さんですが(そういう獣医さんはまだまだ多いようですが)、せめてせっかく配付した区の冊子を引用して「その場から離れましょう。歯を使うと大好きな人がいなくなってしまうことをおぼえさせ」ましょうくらい言ってほしかったです。

もうおわかりでしょうが、この時点で、私はこの講師先生に相当の不信感を抱いていました。

ブログで個人攻撃をする気は毛頭ありません。色々な人から話を聞いてみると、どうやら、こういう「しつけ教室」は珍しくないそうなのです。「しつけ」のインストラクターに関しては民間の資格が色々作られているそうなのですが、基本的には「おすわり」や「ふせ」や「おて」のように、何か新しい行動を教えることを「しつけ」と呼んでいるようです。「吠え」「噛み」「排泄」など、日常生活における問題行動を減らす技術はあまり重視されていないようなのです。でも、一般の飼い主さんの興味というか、愛犬と一緒に幸せに暮らしたいという願いを叶えるためには、このへんは避けて通れませんよね。

うちの犬は「おやすみ」と言えば寝ます。犬は条件反射で覚えますから。

「おやすみ」よりも電灯が消えたり、飼い主が寝て動かなくなることが手がかりになっているのでは?(昼間、飼い主さんが友達と大騒ぎしてても「おやすみ」で寝ない限り)

私の場合、はるが来る前は寝室ではテレビをつけっぱなしにしてタイマーかけて寝ていたのですが、これだと刺激変化がはっきりしなくて、はるが寝る状態(ベッドにあがって、くるっと丸まって目をつむる)に移行しにくかったので、それはやめました。元々、安眠のため、カーテンはかなり分厚いものを使っているので、電灯を消すとまっくら。二重サッシで静寂。はるがちょっかいをだしてきても当然一切無視です(消去です)。これで今では電灯を消すと、溜息をつきながら(うそじゃないです)、寝る体勢に入ります。ちなみに、すぐには寝ません。目は開いているようです(時々、目があいます。瞬間、目をつぶって寝息をフェイクします)。

あと....「条件反射」....ではないですね(笑)。

2時間の教室の最後の方で、とても気になる話がでてきました。

「この犬、ばかなのよ」とか、犬には全部聞こえてわかっていますから、目の前では話さないで下さい。陰口は聞こえないところでお願いします。

私も、ついつい「○○○、コラ」とか言ってしまいます。

「この犬、ばかなのよ」が犬に"理解"できるかどうかは別として、飼い犬を「ばか」と言うような状況は悲しいですね。「陰口は聞こえないところで」なんて言わず、「うちの犬、賢いのよ」「うちの犬、可愛いでしょう」としか言えないような状況にしていくのが「しつけ」なのではないでしょうか。幸いにも、有難いことにも、うちはそうです。聞こえないところで「親バカ」と陰口言われても気にしません。

「コラ」が機能するためには何かしらの随伴性が必要なはずです。私は基本的には「コラ」ではなく「ダメ」を使っていますが、言うだけではありません。たとえば、座椅子に噛みつき始めたら「ダメ」と言い、それでも止めなければ別室に立ち去ります(好子消失による弱化)。座椅子への噛みつきはこれでかなり減りました(ほぼ毎晩だったのが1週間に一度くらいに)。「ダメ」が警告刺激として機能するようになったかどうかは不明です。「ダメ」でやめることもありますが、一瞬動きが止まった後、座椅子攻撃を続けることもありますから。しかも般化はしていません。散歩中、道に落ちているゴミを口に入れようとしたときに「ダメ」と言っても何の効果もありません(もっともこれは随伴性がまったく異なりますから当たり前といえば当たり前。落ちているものを「そのままに」することを教える別のコマンドや練習が必要ですね)。

ただ単に大きな声や怖い顔で「コラ」と言って、その場でその行動を止めさせているなら、都の「7. 体罰は絶対にしない。どならない。おどさない」に抵触するのではないでしょうか。それに、それだけなら恐らく犬はすぐに馴化してしまい、「コラ」と言われても"聞こえないように"振る舞うかもしれません。そこから「体罰」(や「天罰」)にエスカレートしないためにも、もっと別のしつけの方法を具体的に紹介すべきだと思うのです。

この「しつけ教室」についてブログに書くべきかどうかかなり迷いました。おそらくは無償ボランティアで一生懸命に講師をして下さった先生に無礼、失礼をしてはいけないからです。でも、はじめて犬を飼う人や犬の飼い方について困っている人に保健所という公の機関が提供する「教室」としては甚だ不十分であり、改善の余地があると思い、書くことにしました。

一般の飼い主さんがあのような「教室」を受講したら、吠えたり噛んだりするのは「犬種」や「ばかな犬」のせいであって、講師の先生の飼い犬でもそうなのだから、うちの犬がそうでも仕方ないと思う人がでてきてしまうかもしれません(そして「コラ」とか「バカ」とか言い続けるのかもしれません)。あるいは、そんなにたいへんなら犬を飼うのは止めようと諦める人がでてくるかもしれません(それはそれで正しい判断かもしれませんが)。

本来ならこういう「教室」では、吠えたり噛んだりするのをいかに減らして、飼い犬とハッピーに暮らせるか、具体的で実行可能な方法や例をできるだけたくさん紹介すべきだと思うのです。そして、せっかく2時間もあるのですから、参加者からの質問や相談を受ける時間をしっかり確保し、飼い主さんとワンちゃんの状況を聞取りながら、できるだけそれにあった方法を助言するようにして欲しいです。

そうです。つまり、長くなりましたが、この記事は、こういう「しつけ教室」を開催する公の機関の担当者さんに向けてのお願いなのです。

最後に蛇足:2020年オリンピック招致活動のメモパッドが配られてました。表紙だけじゃなく、メモ用紙も六色刷り。超贅沢。せっかくなので東京が選ばれますように。

Notepad

Main_img5

ミクシィ(mixi)から資金を調達し、今後の発展がますます楽しみなStudyplusのクラウドスタディ。その代表取締役の廣瀬高志氏と先月久しぶりにお会いして近況をお聞きしました。

そのときに教えてもらったのが、この業界では既に常識になっているという「A/Bテスト」です(廣瀬氏によれば「いけてる会社はみな使ってますね」とのこと)。

「A/Bテスト」とはwebサービスの特定ページ(例:ユーザー登録画面)に複数のインターフェイスを用意して、これを不特定多数のユーザーに無作為に割り当て、その後のそのユーザーの遷移を比較することで、どちらのインターフェイスがより効果的か(例:ユーザー登録を終えてくれるか/その後、戻ってきてくれるか)を、サービスを提供しながら、リアルタイムに収集されるデータをもとに判断する方法のことのようです。

後で調べたら、U-Siteの記事がとてもわかりやすかったです(「A/Bテストとユーザーテストの使い分け」)。拙著の「インストラクショナルデザイン」では、システムの評価を段階的に「開発評価」、「性能評価」、「実施評価」に分けていますが、「A/Bテスト」は「実施評価」の段階で、細かな調整をして、改善を継続していくのに使える方法と位置づけられると思います。

上記の記事で引用されているWIRED.jpの記事「A/Bテストがビジネスルールを変えていく(あるいは、ぼくらの人生すらも?)」から興味深い箇所を引用します。

"オバマのチームにとって何より衝撃的だったのは、テストを通じて、彼らの「勘」がいかに使えないものかがわかったことだった"

データを取り始めるとわかる"あるある"のひとつですね。

"可能な限り多くの組み合わせで無数のA/Bテストを同時に行う多変数テストと呼ばれる技術を使えば、何らかの微調整がなされたサイトを見ているユーザーの割合は100%に近い"

nが巨大なgoogleやamazonならではの贅沢。

"シロカーはA/Bテストの威力もさることながら、この技術を簡単に利用できるツールがないということに驚いていた。「あのころのツールは使うことを考えただけでうんざりしました」"

そうです。自分も2000年に鳴門教育大学で「コラボレーション・ネットワーク」(残骸?がまだ残っていました)というホームページ(死語?)を立ち上げた頃に、トップページのデザインや色でどのくらいアクセスが異なるかを、apacheのログから調べていました。zoopsを導入したときには、サイトのアピアランスをユーザーが選べる仕組みが使えたので、それを調べたりもしていましたが、まさに「うんざり」するような作業でした。

それが今ではこうしたテストを簡単に実施できるwebツールが開発され、提供されているのです。無償で使えるものも多いです。google analytics にもそういう機能があるし、廣瀬氏にはmixpanelというサービスを紹介していただきました。10年前、ログデータをダウンロードして自作スクリプトやExcelで集計していたことが、手間なくリアルタイムデータを瞬時に解析でき、グラフを見ながら意思決定できるのだから、時代の隔絶感がものすごいです。

"なぜこんなことが起こるのか? 何度も何度も話し合ったが、その理由は誰にもわからなかった。そのうちに、そんなことははっきり言って大した問題ではないことがわかってきた"

半分正答、半分誤答かも。役に立たない解釈(理論)は確かに不要です。そしてそういう解釈だらけというのも事実でしょう。たとえば、行動コストや強化遅延、弁別刺激の見やすさを規定する要因など、行動分析学のいくつかの概念はおそらく有用だと思います。このあたりのロジックはスキナーの学習「理論」に関する考え方と同じです。

Skinner, B. F. (1950). Are theories of learning necessary?. Psychological Review, 57(4), 193-216.

A/Bテストは行動分析学の条件交替法の拡張版と言えないこともないですね。シングルケースデザインの大原則である、同一参加者に対してすべての独立変数を適用し比較するという条件が満たされないとはいえ、ベースラインを測定し、特定の従属変数に影響しそうな独立変数を導入し比較して、効果のある方をすべての参加者に導入して確かめるわけだから。

たとえば交通安全に関する研究で、特定の道路を通過する不特定多数の運転者の行動(制限速度内で走行する/シートベルトを着用するなど)を従属変数に、ルール遵守の割合をフィードバックする実験などでも、各変数が同一参加者内で全て適用されている保証はないわけですが、それでも変数の効果は確認できるわけですから、"参加者"を標的行動が生じる母集団と考えればそれが同一人物でなくても、シングルケースデザインのロジックは適用できるような気がします。ですが、これはもっとよく考えてみないとならないですね。

いずれにしても、データをもとに改善するという基本的なところが肝心要です。

その他、役に立ちそうな関連記事:

定義:
 「先行刺激の受容が後続刺激の処理に無意識に促進効果を及ぼすこと」(『心理学辞典』(有斐閣), p. 754)。

行動分析学的解釈:
 条件刺激、無条件刺激、弁別刺激、確立操作、プロンプトなど、特定の行動や行動群を誘発する機能をもった刺激は、その刺激に対する反応がタクトやテクスチャルとして顕現化しなくても(提示時間が短かったり、他の刺激に遮蔽されて、刺激が提示されていることに"気づかなくても")、刺激と行動との関係をタクトできなくても(その刺激がその行動を引き起こすことを"知らなくても")、当該の行動の強度を制御しうる。強度が強まれば、その行動を誘発するその他の環境条件が整ったときに、その行動が顕現化する(観察可能な強さで自発される)確率が高まる。

 『心理学辞典』の例で視考してみた。提示時間を短くしたり、遮蔽して、プライミング刺激である「だいどころ」が直後のテクスチャルやタクトを顕現化するまで強くしないようにしても、その後、元々「だいどころ」を誘発する刺激操作を加えれば、プライミング刺激が提示されなかったときに比べて、この反応の自発確率が相対的に高まる。あるいはプライミングされなかった刺激に対する反応(例:「だいまぐろ」や「ほうちょう」)に比べて相対的に自発される確率が高まる。つまり、これは多重制御における一部の刺激が時間的にずれて(前に)提示されたときの効果を測定したものとも考えられる。

Photo

 そしてこのように考えると、そもそもこの元々の刺激性制御が成立していない刺激や反応であれば、プライミング効果は確認できないはずである(例:「ちかてつ」を提示しておいても、「料理」から連想する言葉として「地下鉄」がでるとは考えにくい)が、そのような実験があるかどうかは未確認である。
 私自身はプライミングの実験をしたことがないのだが、おそらく、最初の顕現反応を抑え、かつ、相対的頻度がうまく上がる刺激や操作を選択、調整する予備実験が欠かせないのではないだろうか。つまり、そういう選択調整して均衡のとれた状態を測定するという手順になりそうな気がする。

 刺激性制御によるこうした解釈は、Apple社のロゴをみせた方がIBM社のロゴをみせるよりも"創造的な"反応が増える(用途テストにおける反応数が増加する)というような実験結果(Fitzsimons et al., 2008)には直接あてはめることができない。プライミングはあくまで手続きや効果の名称として限定し、効果の仕組みについてはそれぞれ別途に分析、考察する必要があると思われる。

Fitzsimons, G. M., Chartrand, T. L., & Fitzsimons, G. J. (2008). Automatic effects of brand exposure on motivated behavior: How Apple makes you 'think different.'. Journal of Consumer Research, 35(1), 21-35.

本シリーズの過去記事一覧

環境省 犬猫の引き取り半減へ 環境省は18日までに、全国の地方自治体が飼い主らから引き取る犬猫の数を2023年度までに年間10万匹とし、11年度の約22万匹から半減する目標を盛り込んだ動物愛護管理基本指針の改正素案を中央環境審議会の部会に示した。安易な飼育放棄で殺処分される犬猫の数を減らすのが狙い。7月に改正案をまとめる見通し
(日本経済新聞, 2013/5/19)。

引き取られた犬猫のほとんどは殺処分されます(殺されます)。

犬や猫を飼おうと思ってる人は、その前に下のDVDを観て下さい。子どもさんが犬猫を飼いたいと言ったら、ぜひ観せてあげて下さい。ただし、非常にショッキングな映像もありますから、親御さんのご判断と監視下でお願いします。

イギリスでは使用が禁止されるようになったのに日本ではまだ使われているという「リードショック」を使った指導の動画と、フードを好子に使った強化による指導の動画を、同じ犬で比較できるということで買って観たのですが、それはそれでとても参考になったものの、本来のこのドキュメンタリー映画のテーマの方でガツーンとやられました。胸が苦しくなる感じ。

殺処分の問題は本で読んで知ってはいたのですが、映像でみると違いますね。辛い。

はる、俺たちは一生楽しく暮らそうな。

この映画の監督さんがプロデューサーに回った第二作が近日公開。こちらは東日本大震災で被災した動物たちがテーマだそうです。劇場では恥ずかしくて観られないな、きっと(わんわん泣いちゃいそうで)。

Banner_inuneko2

犬と猫と人間と [DVD] 犬と猫と人間と [DVD]

紀伊國屋書店  2010-06-26
売り上げランキング : 19328

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

“シェア”できるサービスはtwitterとfacebookだけ。だから自分だけのために未公開でノートをとることができません。

と書きましたが、その後、調査して、新しく取得した非公開Twitterアカウントへ Kindle Whitepaper から<シェア>し、ツイエバというwebアプリを使って、<シェア>したメモを、毎日定期的、自動的にTwitterからEvernoteへコピーできるようにしました。

便利&満足。

Kindlewhitepaperwithjaba

Kindle Whitepaper を買いました。研究費で電子図書が購入できることがわかったのですが、新しいiPadまで待てそうにないので、そのつなぎにと。

なにしろ¥7,980だから、ダメモトでという感じだったのですが、これ、それなりに使えそうです。

まず、確かに目に優しそうです。紙に近い感覚。フォントも読みやすいと言える解像度です。ただ、数ページごとに画面が反転するようにフラッシュします。画像データがあるページは必ず。これはこのディスプレイの仕様らしく、仕方がないことのようですが、持続して頻繁に使うかどうかは、これに馴化するかどうかにかかっているような気もします。

本を読むには画面がまだ小さすぎるかなと心配していましたが(iPhone5のおよそ2倍)、これはそうでもなさそうです。

PMCからダウンロードできるePUB形式のJABAやJEABの論文をKindle Whitepaperで読んでみると(上の写真)、この画面の大きさで十分だとわかりました(iPhoneの画面では狭すぎますが)。軽いし、電池の持ちがいいので、通勤中の電車の中でも重宝しそうです。

calibreというソフトを使うと、amazonが提供するクラウドに、こういうファイルをどんどん保存し、端末にもワンクリックで送ってくれます。しかも、このソフト、常時起動して設定しておけば、日経新聞を自動的にダウンロードし、適当に書式を変更して、Kindle Whitepaperに送ってくれます(参考にした記事はこちら)。暖かくなってきたので、朝のコーヒーはベランダで、Kindle Whitepaperで日経を読みながら、なんて贅沢タイムが過ごせるようになりました。屋外の、日光があたっている環境でも問題なく読めます。

Kindlewhitepaper

仕事でガンガン使うのには、ちょっとした弱点がありました。メモの機能です。ハイライトして"シェア"したり、メモを書込んだりできるのですが、"シェア"できるサービスはtwitterとfacebookだけ。だから自分だけのために未公開でノートをとることができません。"メモ"は自分用のノート機能なのですが、他端末と連携できないのでせっかく打ち込んだメモを再利用できません。それに文字入力画面(キーボードレイアウトのみ)と速度(ぱらぱら表示)は昨今のスマホやタブレットを使っている人にはフラストレーションのもとになることでしょう。

clouldに保存した本や資料は他の端末と共有でき、どこまで読んだかとか、メモも共有できるようなので、Whitepaperに書込んだメモをブザウザーで動作するKindle Cloud Reader経由で再利用できないかどうか試していますが、どうやら本によってはKindle Cloud Readerでは読めないもののあるらしく(契約上の制約でしょうか?)、どうもすっきりとした解に辿りついていません。

読書中に簡単にメモをとることができ、それがEvernoteあたりと連携できるようになれば、本や論文書いたりする作業にはとても便利だと思うので、そのあたりの進化を夢見ます(iPadで実現しちゃうかもしれませんが)。

Kindle Paperwhite Kindle Paperwhite

Amazon.co.jp  2012-11-19
売り上げランキング : 1

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

Img_1945

ScoreCleaner Notesです。

一人で山歩きをしているときなんかに鼻歌うたっていると、時々、「これは名曲かも!」と自画自賛するメロディーができます(できたつもりになっています)。

これで俺も作曲家デビューか〜と、ダウンロードしてアプリを起動すると...、いきなりiPhoneにむかって作曲して鼻歌うたうのってすごく難しいですね。文脈的制御だ。山に行かないと。

そんでもって、試しに既成曲を歌ってみました。ふとついてでたのが「こいのぼり」(やねよりた〜か〜いつーやつ)。若干、季節はずれ。

ほうほう。ほんとに楽譜にしてくれます(上の画像)。

でも、なにやらやたらと複雑な楽曲に見えます。楽譜読めないですけど、やたらと記号が多いし。

「Play」をクリックして再生してみると...

なんじゃ、こりゃぁ。とてもじゃないが、童謡の「こいのぼり」には聞こえません。

動揺。

音痴があだになったのか、アプリの性能か。

週末、歌がめちゃくちゃ上手い友達に試してもらってことの真偽を確かめるつもりです。

(9:1で音痴が原因だろうなぁ)

Photo_3

厚生労働省「平成23年人口動態統計月報年計(概数)の概況」より。

こういうデータをみるたびに疑問に思うのが、死亡率や死因の順序の解釈。この厚生労働省のデータだと、「死亡率」は人口十万人に対してこの年にその死因で亡くなった方の人数で計算しているのだが、

  • ガンとの闘いに疲れて自殺された方の死因はどのように分類されるのだろう?
  • たとえばガンの治療技術が急速に進んでほとんど治癒できるようになったら、2位以下の死因による死亡率に影響しないのだろうか?(心疾患や自殺で死んでしまう前にガンで死ぬはずだった人が助かったら、やはり心疾患や自殺で死んでしまうのではないだろうか)
  • でも、そうだとしたら(死因間の独立性が保証できないとなると)、「死亡率」はあくまで記述統計であって、予測に使うには死因間の関係性が不変であるという仮定が必要になるのではないだろうか?
  • 死因間の関係性は同年代の横方向だけではなく、世代間(時系列)でも効いてくるのではないだろうか?

などなど、数々の疑問が生じて、わけがわからなくなる。

日本や韓国で「自殺」による死亡率が高いのは、もしかしたらその他の要因で死亡する確率が低いということもあるのではないかと思ったりして調べていたのだが(たとえば、米国では自殺率は低くても、銃による他殺率は高いのではないかとか)、母数が十万人単位なので、死因間の弱い相互作用は消し飛ぶほど主効果が効いているということなのかもしれない。

全死亡者数中の各死因でお亡くなりになった人の割合を計算せずに、対人口比を算出するのもそのためなのか。

正しく理解し解釈するには、心理学の統計ではあまりお目にかからない生存確率とかを勉強しないとならないのかな。疫学統計とか。ちょっと面倒。誰か易しく(&優しく)レクチャーしていただけませぬか。

“そらパパ”としてネットではよく知られている藤居学氏による療育支援本です。

自閉症児の親御さんが書かれた本にはご家族やご自分のことをリアルに書き綴ったドキュメンタリー風のものが多のですが、本書にはそうしたウェットな話はほとんどでてきません。最後まで読んでも、娘さんの「そらまめちゃん」や奥さまがどのような方なのかはわかりません。

本書の真骨頂は自閉症療育を“新規事業”と見立て、それを運営する“プレイングマネージャー”としての「新しい父親」モデルをわかりやすく、提示しているところです。

発達障害や療育や自閉症やらに戸惑い、お子さんや奥さんやご家族とどのように関わればいいのかわからずにモヤモヤしているお父さんにぴったりの本です。特に会社でバリバリ仕事をされているサラリーマンのお父さんには“プロジェクトのビジョンづくり”とか“チーム編成”とか“リソースの最適化”とか、馴染みのある言葉や考え方がどんどんでてくるので馴染みやすいはず。

お子さんに障がいがあるとわかったときに、

単に「人生のリターン」が減少したというよりは、
むしろ人生という「幸せへの投資」の性格が、
より「ハイリスク・ハイリターン」な方向にシフトした
ととらえるほうが適切です(p. 40)

という助言は“そらパパ”さんならではと感心しました。

具体的な療育法としては、主に、TEACCH、ABA、絵カード療育法(PECS)の3つが紹介されています。現在、ご家庭で療育をされている方には、このパターンをミックスしている人が多いのではないかと思われます。記録をとって、記録をもとに療育を進めるべきとしているところも信頼できます。

一つ心配なところ:本書に限らず、"ABA"(Appied Behavior Analysis:応用行動分析学)が「療法」や「技法」と勘違いされることが増えているような気がします(あるいはロバースらのプログラムやその派生したものを"ABA"と呼んでしまっている人もいます)。

"ABA"は「応用行動分析《学》」。《学》というところが大事で、一つの学問体系です。発達支援は応用行動分析学における大きな一領域ではありますが、すべてではありません。

本書には

「療育法としてのABA」では、いまある姿は「望ましいものに変えていくべき状態」と位置づけられるわけです(p.117)。

とありますが、これは、おそらく、

ABAにもとづいて開発された療育プログラムは、ご本人や保護者、関係者の要望にもとづいて、ご本人の、そして周囲の人たちの行動を変えていくものが多い。

とした方が正確だと思います(ちなみにPECSもそうしたプログラム/システムの一つです)。

ABAを名乗るセラピストすべてが「自閉症」という障がいを「望ましいものに変えていくべき状態」としかみなさず、ご本人や保護者、関係者の要望を無視して、何がなんでも変えようとする人たちであるという誤解がないようにしないとならないですね。そういう人が実在したとしても、それは応用行動分析学とは関係ないということも強調しておきたいです。

久々にやられてしまいました。TV番組の取材依頼のメールに返信したのに音沙汰なし。よくあることなので、基本的にこういうメールには返信しないのですが(関連情報)、サバティカル&連休で気が緩んでいました。

民放朝の某情報番組の担当者M.R.さんかの問合せ
「夕暮れを見ているとなぜ悲しくなるの?」という疑問に心理学的にお答え頂くことは可能でしょうか?
以下が私の回答です。4/29にメールをいただき、4/30に返信しました。その後、ナシノツブテです。せめて「ありがとう」の一言が欲しいものです。
難しいですね。

そもそも夕暮れを見ていたからといって、すべての人がいつでも悲しくなるわけではありません。

それどころか、アフター5を楽しみに過ごしている人にとっては「夕暮れをみると楽しくなってくる」かもしれません。

また、「夕暮れをみる」というのも曖昧です。夕暮れ時のことなのか、夕暮れの画像のことなのか:たとえば、日頃から夕暮れをみて悲しく感じている人は、朝起きたときに夕暮れの写真をみても悲しくなるのでしょうか?

つまり、「夕暮れを見ているとなぜ悲しくなるの?」という質問は、そもそも夕暮れをみて(←の定義にもよりますが)悲しくならない人もいるので、背景にある前提(すべての人が夕暮れを見ると悲しく)が間違っているわけです。

あとは個人差の問題です。

「夕暮れをみる」と悲しくなる人がいたとして、その人がなぜ悲しく感じるかは、その人によって異なるでしょう。子どものころ、夕暮れになると友達と遊んでいたのを止めて家に帰らないとならなかったのかもしれません。夕暮れの次に夜がきて、いろいろな活動ができなくなることが関係しているのかもしれません。夕暮れから人生の終わりを連想しているのかもしれません。つまり、千差万別で一般論は導けないということです。

個人差の問題であり、一般化できないことですから、こういうことをテーマにした心理学の研究はありません(少なくとも私は聞いたことがありません)。

以上、参考になれば。
なお、こういう輩は多いものの、もちろん全員ではありません。先月はNHK BSの某番組ディレクターより相談があり、結局、何の協力もできなかったのですが、その後、お礼と放送予定のご連絡をいただきました。
しっかりと丁寧に仕事をしてくださるのならできるだけの協力をする心づもりはあるのですが...

AFCでお世話になっていた間、そしてその後しばらくは、佐良先生のご厚意でAFC特製の生食をいただいていました。生肉に何十種類もの野菜やフルーツを混ぜた、栄養満点のお食事でした。

でも、いつまでもそれに甘えているわけにもいかず、自力で生食を作るのも難しかったので(フードプロセッサーを買って試してみましたが、使い方がよくわからず、一台壊しました。5分以上連続運転しちゃいけないタイプだったようです。ミキサーとの違いが今でもわかりません)、某メーカーのそれなりに高品質の半生タイプのフードをあげ始めました。これがその後のおよそ2ヶ月にわたって、はると私を苦しめます。

去年の3月末から6月くらいまで、何度、動物病院に行ったかわかりません。駒沢公園の近くの名医さんにも診ていただきました。症状は下痢です。しかも、血便。きばって、きばって、ようやくでてくるうんちが水状だったり、真っ赤だったりしました。最初は、初潮!?と勘違いして、避妊手術の種類を調べ、那須の動物病院に電話したくらいです。

AFCでしっかりトイレットトレーニングをしていただいたおかげで、排泄は散歩のときだけで、家ではほとんど失敗しない状態でうちにやってきましたが、さすがに下痢は我慢できるわけもなく、サークルの中でやってしまっていました。

帰宅してサークルの中が真っ赤になっていたときは、心臓が止まると思うほどのショックでした。はるは何となく申し訳なさそうな顔をしてこっちをみます。それが私の"投影"的タクトだとわかっていても、申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。

夜、寝ているときも急に起きてもぞもぞしだし、我慢できずに寝室でやってしまったことも何回かありました。どうしてよいか分からず、深夜だというのに山本先生に相談したこともありました。このときは、初めて赤ちゃんを授かって、でも相談に乗ってくれる両親がそばにおらず、赤ちゃんの些細な症状にもいちいち反応してしまい、病院に駆け込む新人ママさんの気持ちがよ〜くわかりました(パパですが、ママの気持ちです)。

次の日、ほとんど寝ていないまま、大学に行く前に便を持参して動物病院に行き、薬をもらって帰ってくるということが何回も続きました(はるは車酔いして吐いてしまうので、それもたいへんでした)。何しろ原因がわからず(なので、下痢止めと抗生物質の投与のみしかできず)、少しよくなったと思うと、またぶりかえし、ということが続きました。食欲はあるし、元気いっぱいに遊ぶのに、下痢、そして血便。

3.11で体内被曝し、みなしごさんにレスキューされるまではそのあとも放射能濃度の高いところにいた子です。時々、体に赤いポツポツができることもあり、それが喉元にでたりすると、ほんとうに不安になりました。このままでは育児ノイローゼになるなんて思っていましたから。この頃の私のiPhoneの「写真」の中は、はるのうんちだらけでした。

原因がようやくわかったのは、アレルギー検査の結果がでてからです。「ラム」に×がついているじゃないですか。半生タイプのフードはラムだったのです。

「これだ」というホッとした思いと、佐良先生から「アレルギー検査してあげて下さいね」と言われていたにも関わらず、すぐに実行しなかったことへの後悔の念があふれました。しかも陽性とでたのはラムだけではありませんでした。米も大豆もジャガイモも×。玄米、カツオ、ニシンも×。他にも、ハウスダストやダニ、ブタクサやニワトコ、オリーブにブナにオークにクワにと、かなりの数の×がついていました。

はるにとってのアレルゲンを含まず、アレルギー反応がでない(でにくい)フード探しがそこから始まりました。これには時間がかかります。フードをかえるのに(ぞれまでのフードと少しずつ割合をかえて)1週間ちょっとかかり、その後、新しいフードの影響をみるのに2週間。症状が改善されればそのままで、もう2週間様子をみるという原則でのぞみました。iPhoneの「写真」はますますうんちだらけになりましたが、だんだんときれいでしっかりしたうんちが続くようになっていきました。

散歩中、立派なうんちがしゅるっとでてきたときの安心感ったらありません。思わずにこっとして、写真を撮ってしまいます。

ただ、親バカ行動がこの原則の厳格な運用を妨害します。Amazonや楽天で検索し、アレルゲンフリーとか書いてあると、ついつい買ってしまいます。買ってしまうと、ついついあげてしまいます。しかも、いっぺんにいつくかの商品を買って与えてしまったりします。そしてその次の日あたりに便がゆるくなってくると、..... 、もう何がなんだかわからなくなります。

与えたフードや便の様子、散歩(排泄)の時刻、おやつや遊びは毎日記録をとっていますが(下に例)、記録をとっているだけでは、アレルギー反応の原因は特定できません。シングルケースデザインの鉄則、すなわち、一度に変える変数は一つだけ、そしてその変数の影響が分かるまで次の変数は投入しない、を守らないとなりません。

Photoこのあたりは、躾に厳しいママと、欲しがるものは何でも買って与えてしまうジジが私の中に同居している感じです。ようやく1年のバトルをへて、最近ではジジも少し理解して協力してくれるようになりました。

はるの場合、アレルギー反応はまず消化器系にでて便がゆるくなるみたいです。次に皮膚のかゆみ。ひどくなると赤いプツプツがでます。そしてさらに便がゆるくなります(散歩中にしたのをポイ太くんでつかめなくなり、トイレにながせる濡れティッシュを使わないとならなくなるくらい)。そろそろ1年くらい血便はしていませんが、もっとひどくなると血便になるのだと思います。

なので、今では、新しいフード(主におやつですが)を導入するときには、便の様子を観察し、影響しそうならやめるようにしています。アレルギー検査をすると、アレルゲンが含まれていないセーフなフードも紹介してくれます。ところが、はるの場合、推奨されているフードでも下痢をしてしまったり、発疹がでてしまったりしました。獣医さんによると、アレルゲンは増えることがあるそうなので、再度検査をしないとならないのかもしれません。もっと高度で正確な検査もあるそうです(7−8万円するらしい)。でも、結局は、この子にあったフードを一つひとつ見つけて行くことになるのは同じなので、私はシングルケースデザインの鉄則に、ジジの様子をみながらできるだけもとづいて、食べられるものの幅を増やしていってあげようと考えています。

親による親支援の本です。日本自閉症協会主催による「ペアレント・メンター養成研修」の教科書のような位置づけでしょうか。ノースカロライナ大学TEACCH部による類似の事業をモデルに日本の事情にあわせて開発されたプログラムだとのことです。

保護者同士の支援はうまくいけば心強いのですが、うまくいかないと(例:親の会の分裂とか、親の会同士の仲違いとか)、親御さんもまいってしまうし、子どもさんも最適な療育を受ける機会を逸してしまうかもしれません。

そういうリスクを減らすために、自閉症の親の会の大元である日本自閉症協会がこうした研修やテキストを提供していることは大いに評価できます。

それにしてもまたしても井上先生の編著ですね(笑)。

ペアレント・メンター入門講座 発達障害の子どもをもつ親が行なう親支援 ペアレント・メンター入門講座 発達障害の子どもをもつ親が行なう親支援
井上雅彦 吉川徹 日詰正文 加藤香

学苑社  2011-10-27
売り上げランキング : 82338

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

Th_ncser

National Center for Special Education Researchが提供するビデオ講義。全部観たら40時間ぶんくらいあるのではないだろうか。

The purpose of this training institute is to increase the national capacity of education researchers to conduct methodologically rigorous single-case intervention studies.

素晴らしい。せっかくだから日本にいながらおっそわけしてもらいましょうと思いつつ観たけど、音が途切れる。最後まで観る(聞く)のは苦痛だ。スライドとスクリプトはダウンロードできる。音声もダウンロードできるようにしてくれたらiPhoneで聴けるのにね。

字幕つきなので大学生/大学院生には英語のリスニングの練習になるかも(笑)。

ベッドには乗せない予定でした。布団が毛だらけになるのが嫌だったからです。

でも、はるがベッドに飛び乗るのを物理的に防ぐことが難しく(ブロック作戦の顛末はこちら)、それより何より、腕の中で眠るはるが可愛くて仕方なくて、結局、ベッドで一緒に寝ることになりました。

たいへんだったのは朝です。早朝、5時くらいになると目が覚めて、私の顔をぺろぺろ舐めだします。知らんぷりして寝ていると布団や枕を噛み始めます。特にジッパーには執着して、引きちぎります。

でも、ここで起きてしまっては、こうした行動をすべて強化してしまい、毎朝、はるの都合で起きなくてはならなくなります。

そこで、ここでも徹底的な消去を導入することにしました。そして、そのために以下の手段を講じました。

  • 枕・布団はあきらめる。どんなに噛みつき、引き裂いても、反応せず、そのままにしておく。最初は枕を取り返して布団の中に隠そうとしましたが、これも遊びのやり取りになりそうなので、枕を咥えたら、もうそのまま放置することにしました。枕カバー、布団カバー、それぞれ2−3セットは台無しになるだろうけど、台無しにすればそのうち反応しなくなるはずと考えて先行投資することにしました。それにどうせすぐに引きちぎられるのだからと、しばらくの間は、破け、裂けて、ジッパーのないカバーで過ごすことにしました。
  • 寝室の危険箇所(暖房器具や空気清浄機のコード周りなど)を100均で売っているネットで覆い、コードを噛んで感電することを防ぐ。
  • ベッドそのものやベッド下の収納ボックス(も噛みだしました)にはビターアップルを十分にかけておく。

Th_img_1916

以上はどんなにバーストが生じても、安全に放置できるようにするための対策です。

次に、

  • 目覚ましのアラーム音をiPhoneで録音し、手動で再生できるようにする。
  • 目覚ましをセットした時間より前でも、はるのバーストが一段落し、静かにしているときには、手動でアラーム音をならし、カーテンをあけ、「おはよう」と言って、遊び(顔をなめさせる、などなど)、居間へ移動して一緒に遊ぶ。
  • 例:7:30に目覚ましをセットしていても、6:50くらいからバーストが始まり、暴れまくって7:10くらいに収まったら、7:15くらいでまだ静かにしているうちに起きてしまう。

これは、はるがバースト中(顔をなめたり、枕や布団をかじったり、などなど)にアラームがなって、こうした行動を偶発的に強化しないためです。また、アラーム音を起床行動の弁別刺激にするための手続きです。

その結果、やはり最初の1週間くらいはめちゃくちゃバーストが生じました。バーストが続いている時間の記録をとっておいたのですが、残念ながら消失してしまいました。たしか、40分、50分、40分、20分、10分、10分、20分....といった感じの推移だったと思います。

強いバースト中には、ベッドの脚が削れ、壁にも大きな傷がつきました。枕カバー、布団カバーはボロボロになりました。

Th_img_1915

それでも1週間後には、驚くほどバーストが減りました。寝た振りをしてこっそり見ていると、ベッドの上でおすわりして、あたりをきょろきょろしたり、こちらの方をじっと見ているのですが、そうするうちにまた丸くなって寝てしまったりしています。眠るというよりは寝てじっとしている感じです。

そういうはるの姿をみると、頑張っているなぁという感動でむねがあつくなりました。抱きしめてあげたいけど、もちろん我慢。しばらくして、手動でアラームをならしてから、たっぷり抱きしめました。

このような手順で、早起き問題は案外と早くに解決しました。枕カバー、布団カバーをかじる行動はその後も引き続き見られたので(寝る前とか、起きた後とかに)、半年くらいは破れたままのカバーで過ごしましたが、今ではまったくなくなったので、新品のキズなしカバーで寝ています。

それどころか、最近では、アラームがなってもスヤスヤ寝たままで、こっちが起こさないとならないときも多いです。起きた後も、ふかふかな布団の上が心地よいのか、居間になかなか移動してきません。居間にいくと、私もコーヒーつくったり、パソコンの前に座ってメールをチェックしたりと、はるに関わらないルーチンが始まってしまうので、居間への移動行動が好子消失によって弱化されているのもしれません。

コーヒーを飲んでいると、あくびをしながらはるが寝室から居間にやってきて、足元でぎゅーっと背伸びして、ちょこんとお座りする。一年前には想像できなかった朝の風景になっています。

Th_img_1909

Chromewinsover

ChromeがExplorerを越えたことより、Firefoxがこんなに劣勢だったことがショック。俺はアフリカ系か。

Th_scr

このSingle Case Research というサイトでは、前回ご紹介したTau-Uなどを計算するwebアプリが提供されています。

他にも参考になる論文が無料で(いいんだろうか?著作権とか)入手できます。クレームはいってダウンロードできなくなるかもしれないから、興味がある人はお早めに。

 シングルケースデザインの研究を評価する指標について文献調査継続中(以前の記事はこちら)。

 でも、とてもじゃないが、全部読みきれません。文献が掲載されているジャーナルは多岐にわたるし、行動分析学以外の時系列分析(daily diaryやecological momentary assessment: EMAや社会科学的データなど)まで含めて議論されていることもあるし、行動分析学で伝統的に行われてきた目視による評価と直観的には同じ"nonoverlap"な計算法ならまだしも、データに内在する自己相関や傾向などの構造をモデル化する方法は、さすがについていけません。行動分析学家がAMOSを使う日がくるのだろうか...まさかね。

 行動分析学プロパーではない人たちが、ここまでシングルケースデザインに興味を持つのは、もちろん臨床研究での使い勝手の良さということがあり、また、行動分析学以外の雑誌に投稿し、受理されるためには何らかの統計をしないとならないということがあり、さらに、どうやらアメリカではその手の研究にファンドをつけて、膨大なシングルケースデザインのデータをメタ分析できるようにしようという流れがあるのではないかと思う。

 たとえば、National Center for Special Education Research のこの告知(2010年らしい)。統計の専門家たちに、シングルケースデザインのデータをメタ分析する手法を開発するように促している。

 この前後で関連文献の数が急増しているし、色々な雑誌で特集も組まれている(Journal of Applied Sport Psychologyだけ、ちょっとニュアンスが異なるけれども)。

 これまで読んだ論文で、もっともわかりやすく、全体的な流れをつかめたのが以下の3本。最初のはWWC(What Works Clearinghouse)の標準化作業をまとめたもの。

Kratochwill, T. R., Hitchcock, J. H., Horner, R. H., Levin, J. R., Odom, S. L., Rindskopf, D. M., & Shadish, W. R. (2013). Single-case intervention research design standards. Remedial And Special Education, 34(1), 26-38.

Parker, R. I., Vannest, K. J., & Davis, J. L. (2011). Effect size in single-case research: A review of nine nonoverlap techniques. Behavior Modification, 35(4), 303-322.

Smith, J. D. (2012). Single-case experimental designs: A systematic review of published research and current standards. Psychological Methods, 17(4), 510-550.

 効果量の計算法としては、Parkerら(2011)が推奨するTau-Uが優れているように思われる。全データポイントを使い、ベースライン、介入時、両方ともの傾向も考慮される。

Parker, R. I., Vannest, K. J., Davis, J. L., & Sauber, S. B. (2011). Combining nonoverlap and trend for single-case research: Tau-U. Behavior Therapy, 42(2), 284-299.

 それにしても、この件について、JABAには論文が見当たらないし、ABAIの年次大会プログラムで「effect size」を検索してもヒットしないのはどうしてなんだろう? もう何年もABAIに参加していないので、学術雑誌を読んでいるだけではわからない、研究の「流れ」とか「雰囲気」とか、あるいは大人の事情とかがつかめていない(←学会に行くのは、研究仲間に会いにいくのと、こうしたインフォーマルな情報収集が実はメインですよね)。

 月末のABAI@ミネアポリスに参加される方は、ぜひそのあたりの情報を探ってきて、こっそり(?)教えてください。

アーカイブ

法政心理ネット