視考術で占う iTV

 2011年最後の記事として、行動分析学特講のレポートである学生が取り上げていたテーマを掘り下げ、視考してみました。

 まずはレンタルビデオのビジネスモデルの随伴性分析です。従来からの店舗型、ここ数年で伸びてきた郵送型(月定額制)、今後の展開が予想されるオンデマンド型(ただし、月定額制)の三種類についてタコ足ABC分析をしてみました。

Abc

 

 店舗型は「来店行動」が必要なところ、レンタルのたびに支払が発生するところ(明確な弱化の随伴性があるところ)が他のビジネスモデルとの違いです。このため、来店を促す仕組みを工夫しないとなりません。店舗の立地条件、ダイレクトメール、割引キャンペーンなどの先行条件にかかわる要因と、来店が高確率で強化されるように在庫を確保したり(来店行動の強化)、2本借りたら3本めは無料のような料金システムを提供したり(支払いに関わる弱化随伴性を緩める)するなどの結果にかかわる要因があります。

 宅配型は「来店行動」が不必要なところ、レンタルのたびに支払が発生しないところが店舗型にはない優位点です。返却にかかる行動コストも低いところをセールスポイントにしていますが、実は返却しに来店すれば、そのときにまたレンタルする確率も上がるので、これだけ比較して店舗型が不利とは言えません。ただし、宅配型は基本的に契約サービスなので、契約行動の随伴性は別途考えなくてはならず、契約時には「ポストに返却」は有利に働くことでしょう。月に借りられる本数が決まっているサービスでは、一枚借りるたびにその月のレンタル可能数が減るわけですが、業者はこのフィードバックを巧妙に隠しているように思われます。契約時には「借りなかったぶんの持ち越し可能」条件が有利に働くと思われますが、契約後はやはり毎月何枚借りていて何枚持ちこされているかはわかりにくくしているようです。これはもしかすると続けてレンタルしたいコンテンツが月制限によって借りられなくなるというリスク(例:ドラマのシリーズもので次をすぐに観たいときなど)を回避する随伴性を設定し、そのルール支配行動を使って、より高額な(業者にとって利益率の高い)プランへ誘導する方略かもしれません。

 

在宅型サービスにおいては強化の遅延が一番の課題です。人気のコンテンツだと数週間、場合によっては数ヶ月後にようやくDVDが届くことになるので、ウィッシュリストに登録した時点での確立操作は視聴時にはすでに弱まっていることもあります。対策として、追加料金を支払うことで即納するサービスもあるようですが、そうなるとコンテンツあたりの料金が店舗型に比べてかなり割高になり、利用頻度は下がることが予想されます。おそらく、今後、業者としては遅延中(DVDが届かない間)にも何らかの好子を提示するサービスを併用してくるのではないでしょうか(例:DMM.comでは月額契約者がネット経由で見放題になるサービスを開始しています)。

 オンデマンド型はまだ日本ではあまり浸透していませんが、今後、著作権などの問題が解決したら(音楽業界がネットでのダウンロード販売を最終的には受け入れたように)、おそらく急速に進むことでしょう。現在でも一部のネットテレビで売り切り型のオンデマンドサービスが存在します(例:アクトビラ)。しかし、これらのサービスはインターフェイスの操作性が低く(画面の移行に何秒もかかり、文字入力が困難なめ検索も難しく)、コンテンツあたりの価格も高いため、これは全く勝負になっていません。そこでここではhuluに代表される月定額制見放題のサービスの随伴性を視考してみました。来店行動も必要なく、強化の遅延がほぼないことが最も強力な武器です。利用料支払とレンタル行動の間に弱化の随伴性がまったくなく、返却や遅延金などのコストもゼロです。期待して(確立操作が高くて)レンタルしたのにちっとも面白くなかった(消去された)ときにも、従来型(特に店舗型)では我慢して最後まで観てしまうことがあるでしょうが、この形態ならすぐに鑑賞を中止して次に観たいコンテンツを見始められます。今のところ、huluでは視聴可能なコンテンツの数に限りがあり、これが当座の弱点となりますが、これは各供給会社との契約次第でしょう。

 

ちまたで噂されているように、もしAppleがhuluを買収し、AppleTVのサービスとして展開するか、もしくはこれも噂されているiTV(スティーブジョブズが残したロードマップに計画されていると言われるAppleの革新的なテレビ)に組み込まれれば無敵となるでしょう。

 今回の随伴性分析からiTVに期待するのは、以下の点です。

  1. 料金は月定額制で見放題プラン。
  2. 現AppleTVのインターフェイスかそれ以上の操作性(文字入力をまったくなくしても検索ができるようにするか、何らかのイノベーションでテレビ画面での簡易な文字入力を可能にする。iPhoneを遠隔キーボードとして使うというのは案かもしれない)。
  3. 処理速度も現AppleTVかそれ以上。
  4. 通常のTV(デジタル放送など)の情報やブラウザ(これもTV画面で簡単に使えるように)情報からコンテンツ選択画面へダイレクトにリンクする。
  5. もちろん視聴した感想などはFacebookやTwitterなどと連携してすぐに書込めたり、読めたりする。
  6. (要するに)iPod/iPhone+iTunesがCDプレイヤーとCD店頭販売&レンタルにとって変わったように、iTVがDVD/BDプレイヤーとTV、店頭型・宅配型のレンタルサービスに、操作性、統一性、ユーザリティなどによってとって変わるということでしょうか。

 来年が楽しみになってきました。

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