2011年5月アーカイブ

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昨年度の行動分析学特講の演習の一つ「"性格"のABC分析」から、チーム「コロ助」が挑んだ肉食系女子の捕食行動のABC分析を紹介しよう。

まずは課題分析を使い"肉食系女子"とタクトされる行動群を特定する。ビデオクリップ法を用いてできるだけ具体的に、場面を限定して、具体的な行動を書き出して行く。

このとき、"肉食系女子"以外の女子(たとえば"草食系女子")の行動と比較しながら書き出すと、このタクトを制御している弁別刺激が明確になりやすい。

演習ではコンパのときの振る舞いが具体的な状況として特定され、ボディタッチ(気に入った男子の腕や肩をさわる)という行動が焦点化された。

次にタコ足ABC分析によって、こうした行動が強化される随伴性と、強化されない随伴性を書き出して行く。

こうしてみると、肉食と草食を分けるいくつかの変数が明らかになってくる。

一つは男子との関係(メルアドを交換したり、二次会に誘われたり)がどれだけ好子として確立しているかという"動機づけ"に関する変数。元々、「異性」がどれだけ好子として機能するかに個人差があるかもしれない(sexだけではなく「恋人」としての独占的な関係やそれによる安心感など)。どうやらずいぶん個人差があるのではないかというのが受講生たちのナマの声。ただし、ここには生得性の好子と習得性の好子の両方が関係しており、どちらがどのくらい強化力を持ち、どこにどれだけ個人差があるのかはよくわからなかった。

もう一つは随伴性の違い。"肉食女子"の行動は男子からのリアクション(注目獲得であれ「照れ」であれ)が出現することで強化される。"草食女子"の方は同じ行動をしても注目されないとがっかりするとか、"ひかれるのがこわい"というルール支配行動で抑制的になっているそうだ。もしかすると相手の微細な反応(眉をひそめるとか体を少し後に引くなど)が嫌子として機能するかしないか(微細な社会的刺激への感受性の違い)ということや、逆にこうした刺激が好子として機能するかどうかということ(そういう刺激の元でさらに積極的に行動したときに強化されてきたという履歴がある"肉食系"と、そうした微細な刺激によって相手への接近が弱化される"草食系")に二つの派閥の違いがあるのかもしれない。

こうした違いがコンパでの捕食行動レパートリー獲得の初期段階で現われると、その後の発達に大きく影響しそうである。おそらく"肉食"と呼ばれるようになった女子は、初期の強化により(もしかすると偶発的に、あるいは容姿などの生得的優位性も加算され)、変動的結果によるシェイピング(『行動分析学入門』 p. 113)により、次第に捕食行動のレパートリーの数と質を拡大、向上させていく。視線合わせ、接近、ふくれっつらやアヒル口などなど、"ぶりっ子"から"ツンデレ"まで、ありとあらゆる女性行動の機能的レパートリーが習得されていく。

これに反して初期の段階で弱化された女子は、条件性抑制により全般的なオペラント水準が低下し(話をしない、視線もあわせない)、"ひかれたらどうしよう"という内言により、おどおどしたり、視線を下に向けたり、他の女子と話したりする。こうした行動は男子に"ひかれる"ことやその不安を回避することで強化されるが、そのため機能的な捕獲スキルの形成は妨害される。

受講生からのコメントで興味深かったのが、同じ女子の視線が持つ機能の違いである。コンパであまりにも露骨な捕獲行動を示す女子に不快感を示す女子も多く、これが極度に積極的な捕食行動を抑制してきたわけだが、"肉食系女子"という命名がなされ、一般化したことで、以前に比べれば社会的な許容範囲が広まった可能性がある。"肉食ー草食"尺度上の個人差は今後ますます拡大していくかもしれない。

 

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 2月に授業コンサルテーションに行ってきた福島大学附属中学校が2年間にわたる研究教育活動の報告書をまとめ、webで配信を始めました

 白石豊校長先生のもと、すべての先生方がインストラクショナルデザインの考え方を学び、授業を設計、実践、改善されているという、おそらく全国的に(ひょっとしたら全世界的にも)希有で画期的な取組みです。なにしろ、School-Wide Instructional Designですから。

 教科の枠を超え、先生方が自由に熱烈に意見交換し、(私のような)外部からの厳しい意見にもへこたれずに、PDCAのサイクルを回しながら、「わかって、できて、面白い」授業づくりに取り組む姿には感動を覚えます。

 また、附属校にありがちな超多忙(超残業)を、パフォーマンス・マネジメント的な方法で解消したという成果も見逃せません。このあたりは白石先生の力量におうところが大きいとは思いますが、同じような取組みが全国に広がればなぁと思います。授業改善に継続的に取り組むためには、先生方がそれを楽しめる余裕が必要で、その余裕を生みだすのは管理職の役割だからです。

 福大附属では授業を公開しています。よくある研究授業のように"発表会用に作られた"授業ではなく、日々のそのまんまの授業をです。報告書にもあるように、まだすべての授業が他校のお手本になるような授業とは言えませんが、授業を常時公開し、同僚や保護者、専門家や他校の先生の視線にさらすことで、授業改善を継続させるポジティブな雰囲気がつくりだされています。「授業を見て、どんどん意見や感想を下さい。それを参考に授業を改善します」という宣言です。これは「学び」への素晴らしいコミットメント(覚悟)だと思います。

 ぜひ他校の先生方に参観して欲しいと思う授業もあります。特に英語の授業からは「中学生の英語の授業で皆の前で英会話させると、生徒が萎縮し、恥ずかしくなり、英語が嫌いになるからよくない」という私の思い込みがまったく間違っていたことを教えてもらいました。衝撃でした。「思春期」は言い訳に過ぎなかったようです。デザイン次第では、生徒さんたちが英語で話をするのをこんなにも楽しめるかと、あたらな発見をさせていただきました。

 インストラクショナルデザインの考え方を使った授業改善に興味がある方は、ぜひ報告書をご一読下さい。先生方と私とのやりとりも記録されていて、こういうのはほんとうは恥ずかしくて、あまり広めたくないのですが、それ以外の部分(先生方がどのように学び、授業を改善しているか、校長先生ら管理職の先生方がどのようにしてそのお膳立てをしているか)は一読、二読の価値ありです。

 そして、報告書を読んでみて、こんな実践がほんとうにできるのか?と疑念に思った方は、ぜひ福島へ足をお運び下さい。

 「教師が変われば生徒が変わる、生徒が変われば学校が変わる」を実感するには、子どもたちを見るのが一番ですから。

 頑張れ、福島。

3.11の後、いろいろ調べたことの一つ。

法政大学市ヶ谷キャンパスのある千代田区に「広域避難所」はありません。

大規模な延焼火災の危険性が比較的少ないと認められたため、区内全域を広域的な避難を要しない「地区内残留地区」と指定し、平成15年2月10日をもって区内の全広域避難場所の指定を解除したそうです(千代田区防災ホームページより)。

もしものときには、大学の建物が燃えていない限り、その場に留まるということですね。

ちなみに帰宅困難になった場合には「帰宅困難者支援場所」というのがあらかじめ決まっているそうで、このページからは最新の地図がダウンロードできます。市ヶ谷キャンパスからは、JR市ヶ谷駅の向こう側の外濠公園が近そう。

災害発生の時間帯によってはこれだけでは圧倒的に不足するのは目に見えているので、緊急時には安全が確保された施設を柔軟に運用することになるのでしょうね。3.11のときには最終的に大学の建物も開放されたし。

とりあえず研究室にも寝袋、ヘッドライト、非常食、水は確保しておくことにしました。

先日は大学で授業中に地震がきたという体で避難訓練が行われました(着任5年めで初めて)。

教室に緊急放送が聞こえなかったり、扉を開いたままにできなかったり、そもそも避難場所が建物に囲まれた狭い「広場」だったりと、色々問題がありました。でも、こうやって避難訓練をしながらそういう問題を解決していくしかないよね(つか、しっかり改善して欲しいです)。

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被災地・者支援として寄付したポイントの報告があがってきた。セゾンカード(永久不滅ポイント)は5月5日現在でなんと5億円以上が集まったそうだ。

まさに塵も積もれば山となるである。

通常,塵も積もれば山となる型の随伴性を記述したルールは行動を引き起こしにくいが(例:毎日30分ジョギングすればダイエットできる),今回の場合,被災された人たちのために「今」何かをしたい,何もできないのは心苦しいという強力な確立操作が作用し,各々の寄付行動そのものは嫌子消失による強化随伴性で自発され,強化されていると考えられるが,同時に,大手の企業であれば相応のポイントが累積するだろうという,短期決戦による「大勢が塵を積もらせれば一瞬として山になるはず」というルールも効いているのかもしれない。

家庭での節電行動も同じで,これまでは「どうせ私がコンセントを抜いても地球レベルの温暖化には何の影響もない」だったルールが,「皆が一斉にコンセントを抜けば消費電力が一斉に下がる」というルールに変わる可能性を秘めている。

FacebookやTwitterを介した中東の民主化運動も同じで,「自分一人が○○しても(投票しても)無駄だ」というような民主主義を滅ぼす絶望的ルールが「皆で○○すれば何かが変わる」楽観的ルールに変わりつつあるところに注目である。

情報システムがこのルール(が記述する随伴性)の変化に一役買っているのは間違いないが,集団行動が一気に自発する,エポックメイキングとなるような社会事象も必要なのだろう。

こうしたルールの変化が,事態が落ち着いたり,時間が経過した後にどうなっていくのか(情報システムによる随伴性の変化はそのままで),しっかり観察していこう。

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 靖国通りでオレンジ一色のi-MiEVを発見。なんだ,こいつ,格好いいと近よったら,オランダ大使館の公用車だった。正面(人が乗っていたので恥ずかしくて撮影できなかったけど)には白で「オランダ王国」と書いてある(側面には「Kingdom of the Netherlands」)。

 さすがオランダ。風車の国だもんな。と思ったが,よくよく考えると風車は粉轢き用か?

 でも調べてみると,オランダは自然再生エネルギーの導入に積極的な国らしい。

 やはり,さすがだ。

 大使館の公用車はベンツとかBMWとか偉そうな車が多い中,ちっちゃなEVとはセンスが光ってる。

 i-MiEVのカスタマイズパッケージはなんだか安っぽいカラーパッケージ・デザインが多い中,このオレンジ一色のカラーリングは正直イケてます(欲しくなるよ)。

 i-MiEVの試乗レポートはこちら

 

THANK YOU, too!

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 昨年度の卒業生からの想い出アルバムが届きました。スタバのタンブラー付き。

 「モノより思い出 Priceless」 (そのとおり!)

 震災で卒業式や卒業パーティーがなくなったのが残念でしたが,そのうち同窓会やろうな!

 ありがとう。

 

Icon_steermouse自宅で使っているELECOMのM-BT1BLBKがなかなか快適なので大学でもと半分衝動的に(よく考えずに高速に)注文したら,間違えてロジクールのM555bを買ってしまった。

どちらも操作性,反応性ともに悪くない。M555bは電池2本なので少し重いが,エアーパッドのおかげで苦にならない。

ところが問題が一つ。

M-BT1BLBKはスクロールホイールでクリックできるので,これと機能キーを組み合わせてExposé操作をショートカット設定していたのだが(Optionキーとホイールクリックで全ウィンドウ表示とか),M555bのスクロールホイールはクリックできず,替わりにその下にもう一つ別のボタンがついている。

使っているうちに慣れればと思っていたが,だめ。弁別・分化学習が進まなくて,消去。攻撃性好子の確立操作ーすなわちイライラ。

何かいい解決方法はないかと探したら,多機能マウスのボタン動作を設定するデバイスマネージャー(シェアウエア)のSteerMouseを発見。

これでスクロールホイールの右倒し,左倒しにそれぞれExposé操作を割り付けた。

これで自宅と大学のMac操作が同期。しかもこれならExposé操作にキーボード操作がいらなくなり,より快適に。

転んでもただでは起きないのだ。

ロジクール Bluetoothマウス M555b ロジクール Bluetoothマウス M555b

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定義
 “卓越した目標を設定し、困難を克服しながら、それを成し遂げようとする動機”(『キーワードコレクション心理学』(新曜社), p. 217)。

行動分析学からの解釈
 他者にはできないことができたり、自分にできなかったことができるようになったり、最初はなかなかできそうにないことができるようになっていくことが習得性好子となり、できるようになろうとすることを探す行動、目標を立て、達成するための計画を立てる行動、目標達成度を知る行動、うまくいかないときにどうすればよいかを示す手がかりを探す行動などが、うまくいっていない状況を確立操作として誘発され、少しうまくいったり、なぜうまくいかないかがわかることが上記の最終的な好子までの条件性好子として機能し、部分強化スケジュールで強化されること。
 達成動機の高い人はこれらの事象が好子となっているため、“自分自身の評価にもとづく場面での作業効率が高い”、“仕事のパートナーとして専門家を選ぶ”(『キーワードコレクション心理学』(新曜社), p. 217)、“与えられた課題をよりよく遂行しようとする”、“自らの活動の成果を知りたがる”(『試験にでる心理学ー一般心理学編ー』(北大路書房), p. 322)という傾向にあると考えられる。

本シリーズの過去記事一覧:

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震災後に始めた自宅の節電対策:

  • エアコンはコンセントから抜く。
  • 給湯システムはできるだけ電源を切る。
  • 白熱電球(玄関、トイレ、洗面、台所入口)はLEDに交換。
  • 使用頻度の低い電機・電子機器(プロジェクター、iLinkのHDDレコーダー、ステレオのアンプ、客室のTVとDVDなど)はスイッチ付きのコンセントに換えて待機電源をオフ。
  • 最後に窓を二重窓にして断熱(夏冬の冷暖房費を抑制)。

楽しみにしていた4月ぶんの請求書。結果は前年比約マイナス15%!まずまずの成果。

でも年ごとの変動,月ごとの変動もあるから,もっと長期的なデータが欲しいなと思い,東京電力に問い合わせたところ,2年以上前の履歴は入手できないけども,月ごとの消費電力を2年間集計し,グラフにしてくれる「シェイプアップカルテ」なるサービスを紹介された。

「なかなかやるじゃん,東電」と感心したが,「どこで登録できますか?」と聞くとカスタマーサービスのお姉さんが若干動揺(わからなかったらしい)。でも,調べて折り返し電話をくれた。

結論からすると,東電のホームページから辿れるのだが,階層が深く,まず無理(今はトップページがお詫びやお知らせだらけでさらに読みにくくなっているし)。

なので直接リンクをはったろ。ここで登録できます→シェイプアップカルテ

「1ヶ月程度お時間がかかる場合もございます」にビビりながら登録したら1週間しないでパスワードが届きました。

上の図がそのグラフ。ちょっと拍子抜け。でも,ないよりはましだな。

スマートグリッドとかスマートメーターとかが導入されれば,こういうグラフをネットからいつでもリアルタイムで閲覧可能になるはず。TVと連動させて,テレビ画面にだせるようにだって(技術的には)可能なはず。

そうすれば自宅での省エネも楽しく進むよ,きっと。

地震と津波の被害にあった東北地方の復興には,ぜひとも世界に先駆けた先進的なエネルギーシステムを導入してもらいたいです。

Yahoo! Japan の知恵袋、とにかくいい加減なQ&Aが多くて役立たずだが(にも関わらず検索上位に出現する)、時々、腹立たしさを通り超えて笑える。つか、笑いが止まらなくなる。電車の中でみるのはあまりに危険。

Q: アナグロ・・・
とは、どのような意味ですか?
アナーキーでグロテスクという意味ですか?
単に、アナログを言い間違えているだけですか??

A: 初めて聞く言葉ですので検索してみましたが、
アナグロ録音、アナグロ信号、アナグロ時計などがありました。
アナログの言い間違いのようです。 
また単なるミスもあるようです。

お礼: 降参ヤッパリ 言い間違い、書き間違いだったのですね。

おいおい。そりゃ〜おそらく「アナクロ」(anachronism)の間違いだろう。Yahoo! Japanの辞書にもあるじゃないか。「時代錯誤」って意味だ。

地デジ化→デジタルテレビ→(昔のは)アナログテレビときて、古いもの→アナログ→時代錯誤→アナクロ→アナグロとでもなったのだろう。スキナー先生のいう"fragmental control"(だっけ?)だ。

ちなみにグロテスクなのはエロでグロテスクな「エログロ」だよ。

ヘキサゴンと知恵袋、俺にとっては頭が疲れて何も考えられないときに使う等価な不気味笑い誘発刺激です。

名言〔第26位〕:「組織の存在意義」

解釈:「組織とは目的ではなく手段である」という考え方はまさに行動システム分析そのものである。Gilbertの階層的視点の分析にしろ、Brethowerのトータルパフォーマンスシステム(Total Performance System: TPS)にしろ、Malottの目的指向的システム分析にしろ、組織を行動の集合と捉え、行動は製品やサービスの受け手に与える影響ーすなわち社会における機能ーと考える。社会や消費者から強化されない組織の行動は消去されるから、組織にとっての存在意義は社会や消費者の求める価値とその実現から定義されることになる。こうして組織の存在意義は、社会や消費者にとってのニーズを好子出現や嫌子消失という形で定義し、それを実現することとして定義され、評価されることになる。

行動システム分析についての日本語の資料があまりみあたらないので、旧版「パフォーマンス・マネジメント」の6章(現在の版には非掲載)をここに公開しました。

本シリーズの過去記事一覧:

第27位:「組織は戦略に従う

第28位:「利益とは目的ではなく条件

第29位:「理論は現実に従う

第30位:「総体は部分の集合とは異なる

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たたたたたいよう 楽しく いたいよう
ビタビタしたら ミンミンするよ
アセロラ体操、サントリー)

最近、授業(行動分析学特講)の課題としてやってるテレビCMの分析。これまではレスポンデントや"Evaluative conditioning"の枠組みから解釈されてきたテレビCMの効果だが(参考文献)、言語行動と等価性の枠組みの講義の後で、応用課題として視考させると、受講生も興味を持って取り組んでくれる。

Cm

CM中の刺激に反応して「アセロラ」とか「ビタミン」と考えたり、言ったりする行動の自発頻度が、最初はエコーイックやテクスチャルにより、そしてそれが次第にイントラバーバルやタクトに移行していく。

自分の場合、ちょっと喉が痛いなぁとか風邪気味だなぁと思うときにコンビニでアセロアを買うことが多い。これは「ビタミン」と「風邪予防」の間に元々成立している等価性(CMによって形成されたわけではないという意味で)に「ビタミン」と「アセロア」の等価性が追加されることで、「風邪」→「アセロラ」のイントラバーバルが発生したり、風邪の症状がでているときにアセロアを飲む(ビタミンを多く含んだものを摂取する)と症状が緩和されるという嫌子消失の随伴性(ただし、おそらくは偶発的強化の伴なるルール支配行動)により逃避行動としてアセロラの購買行動が自発されやすくなったりする、などなどと考えられる。

こういうふうに視考してみると、CMで購買行動を増やそうとするなら、その商品の購買場面で想定される確立操作や弁別刺激、誘発したい行動を書き出し、そのうち未形成の関係性をつくる刺激の提示法をデザインすれば良いということになる。少なくとも、概念上は。

参考文献

中島 定彦 (2006). 商品広告と古典的条件づけ--研究展望(1) 行動科学, 45(1), 51-64.
中島 定彦 (2006). 商品広告と古典的条件づけ--研究展望(2) 行動科学, 45(2), 27-36.
中島 定彦 (2010). テレビCMは逆行条件づけか? 人文論究, 60(2) , 39-53.

Ijaes

 実験したのはもう8年くらい前の研究になりますが、投稿して、あちこちでリジェクトされて(^^;)、昨年暮れにようやく受理された論文です。

 内容は、小学生のかけ算において、一桁のかけ算(下位行動)と二桁のかけ算(下位行動を含む上位行動)の正確さ(正答率)と流暢性(正反応速度)の相関関係を検討し、さらに国際比較したもの。論文では「elements → compound」と表現していますが、Precision Teachingの人たちが使う「composite → component」と同じです。

 正答率のデータだけをみると、日本、台湾、米国の子どもたちのパフォーマンスに有意差がみられないのですが、正反応速度は日本、台湾の子どもたちが米国の子どもたちを凌駕します。さらに、下位行動の正反応速度が高いほど、上位行動の正反応速度も高い(あたり前のようですが)。

 "創造性"とか"思考力"の育成と声高に叫ぶ前に、そうした上位行動の下位行動となるスキルをみつけ、その下位行動の流暢性をあげる、そういう地道だけど着実なインストラクショナルデザインの基本を確認した研究です。

 一時は「もう紀要でいいからだしちゃおうと」などと言っていた自分が少し恥ずかしいっす。忍耐強くチャレンジし続けたRick Kubina先生(Pennsylvania State University)を尊敬&感謝。共同研究者のFan-Yu Lin先生もお疲れさまでした。

 ダウンロード可能なジャーナルなので、興味のある方はここからどうぞ

Fan-Yu Lin, Richard M. Kubina Jr. & Satoru Shimamune  (2010).  Examining Application Relationships: Differences in Mathematical Elements and Compound Performance between American, Japanese, and Taiwanese Students.  International Journal of Applied Educational Studies, 9, 19-32.

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たたたたたいよう 楽しく いたいよう
ビタビタしたら ミンミンするよ
アセロラ体操、サントリー)

最近、授業(行動分析学特講)の課題としてやってるテレビCMの分析。これまではレスポンデントや"Evaluative conditioning"の枠組みから解釈されてきたテレビCMの効果だが(参考文献)、言語行動と等価性の枠組みの講義の後で、応用課題として視考させると、受講生も興味を持って取り組んでくれる。

Cm

CM中の刺激に反応して「アセロラ」とか「ビタミン」と考えたり、言ったりする行動の自発頻度が、最初はエコーイックやテクスチャルにより、そしてそれが次第にイントラバーバルやタクトに移行していく。

自分の場合、ちょっと喉が痛いなぁとか風邪気味だなぁと思うときにコンビニでアセロアを買うことが多い。これは「ビタミン」と「風邪予防」の間に元々成立している等価性(CMによって形成されたわけではないという意味で)に「ビタミン」と「アセロア」の等価性が追加されることで、「風邪」→「アセロラ」のイントラバーバルが発生したり、風邪の症状がでているときにアセロアを飲む(ビタミンを多く含んだものを摂取する)と症状が緩和されるという嫌子消失の随伴性(ただし、おそらくは偶発的強化の伴なるルール支配行動)により逃避行動としてアセロラの購買行動が自発されやすくなったりする、などなどと考えられる。

こういうふうに視考してみると、CMで購買行動を増やそうとするなら、その商品の購買場面で想定される確立操作や弁別刺激、誘発したい行動を書き出し、そのうち未形成の関係性をつくる刺激の提示法をデザインすれば良いということになる。少なくとも、概念上は。

参考文献

中島 定彦 (2006).  商品広告と古典的条件づけ--研究展望(1)  行動科学, 45(1), 51-64.
中島 定彦 (2006).  商品広告と古典的条件づけ--研究展望(2)  行動科学, 45(2), 27-36.
中島 定彦 (2010).  テレビCMは逆行条件づけか?  人文論究, 60(2) , 39-53.

ザリガニにも「意志」  歩く1〜2秒前、脳に活動北海道大学の加賀谷勝史学術研究員と高畑雅一教授は、ザリガニが歩行などするときに働く脳の仕組みを解明した。実際に歩く1〜2秒前に、脳の神経細胞が活動を始めていた。同じ現象は霊長類などでも確認されているが、無脊椎動物では初めて。比較的単純な脳を持つとみられていたザリガニが外部刺激で動く反射ではなく、意志を持って動いていたことを示す成果だ(日本経済新聞, 2011/5/2, 朝刊)。

「反射ではなく、意志を持って」というところに反応して(^^)、この資料を読んでみた。“脳内で起こる準備活動”の有無で反射(レスポンデント)と自発的に起こる行動(オペラント)を区別できるのなら(そういう差異があるのなら)、面白いなと思って。

残念ながらそのような記述はなし。しかも資料の最後にはちゃんと書いてある。

本研究の成果は,「意志」の仕組みを解明したわけでも,ザリガニの準備活動がヒトと共通していることを示したわけでも,決してありません。

そもそもザリガニの「歩行」を制御している変数にはどんなものがあるだろう? 小魚の採餌とサギなどの野鳥からの逃避はずいぶん違うだろうし(どちらも明確な弁別刺激や確立操作が行動を引き起こす外的刺激として存在する)、“なんとなくふらふら”歩いているような、フリーオペラント水準での歩行行動の制御変数もあるだろう(これには明確な弁別刺激はないかもしれない。強いて言えば水草や魚の死体やプランクトンなど餌の密度のより濃い場所への移動によって強化されるとか、あるいは外的から隠れてしばらく動かないでいた、つまり歩行の遮断があった後の回復とか)。

外的な刺激がある前者の方が後者よりも一般的には「意志」があるように映ると思うのだが…

記者さん、もちっと勉強して下さいね。

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Social Discountingなるものに興味をもって論文を読んでいたら、Journal of Behavioral Decision Making という雑誌を発見。こんな学術雑誌もあるんだ。

Social Discounting とは、強化時間の遅延に伴い強化力が落ちるように、本人と第三者の社会的距離が遠くなるにつれて、その第三者を通した本人の行動の強化力が落ちるという現象(Rachlin & Jones, 2008)。

たとえば、その人との社会的距離が1(最も近い)から100(最も遠い)になるように、具体的な人物を思い浮かべる。次に、下のような組み合わせてお金をもらうとしたら、AとBどちらの選択肢を選ぶかを参加者に聞いていく(質問紙)。

A: $85を自分だけにもらう  vs.  B: $75をn番目に近い人にもらう
A: $75を自分だけにもらう  vs.  B: $75をn番目に近い人にもらう
A: $65を自分だけにもらう  vs.  B: $75をn番目に近い人にもらう
            ............
A: $5を自分だけにもらう  vs.  B: $75をn番目に近い人にもらう。nには1, 2, 5, 10, 20, 50, 100が入る。

要するに、自分がもらう金額と第三者にあげる金額とが、社会的距離のどこで釣り合うかを調べる実験であり、利他主義に関する行動経済学的な研究をマッチング法則にのせてみようという行動分析学からのアプローチなのだ。

研究の内容はともかくとして、Rachlin先生がこのような研究をしてこのような雑誌に投稿しているとは。自分が大学院生の頃は、行動分析学の研究ならJEABJABAJOBMと、あとはPsychological Recordくらいをおさえておき、必要に応じて他の雑誌を読めばなんとかなったのに、今の大学院生はたいへんだ。

マッチング法則は行動の定量的な予測をするための分析手法であるが、自分がいつも疑問に思うのはその応用力である。予測式があくまでpost-hocにしか決まらないこと、steady-stateの状態しか記述できないこと(これについてはそうではないという考え方(Baum, 2010)もあるようなのだが、自分にはロジックが理解できない)、実験室であれば(特に動物実験)好子の特定がしやすいが、日常生活においては何が好子となっているのかがそのそも特定できないことなどから、新しい問題に予測力をもった計算式をつくることがそもそも可能なのか(不可能なのではないか)と疑っている。たとえば、高速道路の料金を週末千円とした場合の高速道路選択率(vs 鉄道、空路)、あるいは旅行にでかける行動の頻度(vs 巣ごもり)を予測できるのだろうか?というふうに(「できる!」というのなら素晴らしいのだけれども)。

Social Discountingの考え方も、こうしたデータから、今回の大震災の後の募金行動(神戸のときよりも2倍以上の義援金が集まっているという)を予測あるいは説明できるのかどうか。風評被害にあっている地域の野菜や魚を安心して食べてもらうにはどうしたらいいか(各地で開催されている物産展での購買行動には"地域の人たちのために"というソーシャルな変数が効いている)。もう少しじっくり文献を読んでみようっと。

Baum, W.M. (2010). Dynamics of choice: A tutorial. Journal of the Experimental Analysis of Behavior, 94, 161-174.

Rachlin, H., & Jones, B. A.  (2008).  Social discounting and delay discounting. Journal of Behavioral Decision Making, 21, 29-43.

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