大学院ゼミで対応法則(Matching Law)関係の論文を発表した研修生が何やら不安そうだったので、ゼミ生全員に聞いてみたら、なんと高校で「対数(log)」を勉強してこなかった人がほとんど(つか、全員)。
調べてみたら、現在の指導要領では確かに対数は「数II」で教えることになっていました(もしかしたら昔も)。だから文系一路で進学してきた学生さんは、対数をまったく知らなくても仕方がないのですね(そういう意味では微積も)。
実験実習で精神物理学の話をしていて、人間の感覚の大きさは物理的な大きさのベキ乗に比例するんだよ。だから、実験結果がこういう曲線になっても、片側に対数をとると、ほら、直線になって、刺激の物理的大きさから人の心理的反応が予測できちゃうんだよ、てな話をしても、どうりでピンと来ないわけです。
学部生のときに、物理学の世界と心理学の世界を数式でつなげられることに感動してしまった自分としては、その感動を分かち合いたいんだけど、こりゃ無理な話だわな。
さらに、なんと「高次方程式」や「座標や式を用いて直線や円などの基本的な平面図形の性質や関係を数学的に考察し処理する」、「点と直線」、「点の座標」、「直線の方程式」も数IIです。てことは、回帰直線、重回帰分析なんかも、きっとピンときてないんじゃないでしょうか。
学部生・大学院生ともに、先習スキルを知っておくという意味では、大学における心理学教育に照らして学習指導要領を分析しておくっていう作業が必要そうですね。
もちろん「指導要領に載っている」=「学んだ」=「維持してる」という夢の等式は成立しないことは重々承知ですが。