2010年1月アーカイブ

今年度から国立特別支援教育総合研究所で研究員として勤務している猪子秀太郎先生に、学校心理学の授業でゲストレクチャーをお願いし、猪子先生が担当されているプロジェクトについてお話をうかがいました。

どれも興味深いお話でしたが、特に個人的に興味を持ったのは、「障害者権利条約」にまつわる話でした。

「障害者権利条約」は国連で採択されている国際条約で、我が国も2007年に署名しているのですが、未だに批准はされていません。国際条約に批准するとなると、違反があれば何らかのペナルティを受けます。我が国の現状で批准すると、ペナルティがあることが明らかなので批准できないわけです(地球温暖化対策の国際条約にアメリカや中国が批准しないのと同じです)。

ただ、もちろん放置はできないわけで、批准するためには何をどうやって整備しなくてはならないかが少しずつ検討されているとのことです。

「障害者権利条約」は政府では「障害者の権利に関する条約」として翻訳され、外務省のwebサイトで公開されています

たとえば「教育」に関しての条文を読むと、

(c) 個人に必要とされる合理的配慮が提供されること。

とあります。

この条約の基本精神は、障害がある人とない人の垣根を援助によってできるだけ取り払うというインクルージョンの立場をとっています。

つまり、たとえば自閉症やADHDなどの発達障害がある子どもへの指導をする場合、障害があることで不利にならないように、できる限りの支援をすることが、行政にとっての義務になるわけです。

そこで「合理的な配慮」とは具体的にはどのようなことなのかが検討されているそうです。

たとえば、ADHDがあって長時間集中して課題に取り組むことが難しい生徒には、受験で試験時間を延長するとか、他の人と一緒に狭い部屋にいるとパニックを起こしやすい生徒には個室で受験する権利を保障するとか、そういう検討だそうです。

こういう線引きは一般論としてはかなり難しいのではないかと思うのですが(結局、個別の事例を検討するしかないような気がする)、でも行政としてはやらなくてはならない仕事のようです。

ぜひともエビデンスを重視して、何を「合理的」と判断するかを決める手順についても合理的に判断して進めて欲しいものだと思いました。

某TV番組の制作会社から「人はなぜ応援するのか?」を教えて欲しいと問い合わせがきた(全国ネットのゴールデン枠)。

バンクーバーオリンピックを来月に控えての企画らしい。

専門ではないのだが、面白いテーマだと思い、休日返上で文献調査してみた。

すると、意外なことに、心理学的な研究はほとんど見つからなかった(社会学的な論文はいくつか見つかったが、あまり面白くない)。

たとえば運動会で自分のチームの友達を応援するようになるのは、いつごろ、どのようにだろう?なんて疑問は、発達心理学の研究にありそうだが、ない。

どんな人がどんな選手をどんな理由で応援しがちかなんてのは、社会心理学の研究にありそうで、ない。

心理学で最も近そうなのは、スポーツ心理学における「ファン心理」や「観戦行動」の分析だが、どちらも「応援」とは微妙なズレがある。観戦してても応援するとは限らないし、観戦しないでも「気持ちで」応援はできるし。

それでもいくつか関連する文献がみつかったので、以下のメールを返信した。

XXさま こんにちは。

お問い合わせの件ですが、私は「スポーツ観戦」の研究をしていませんのでよくわかりません(ごくごく一般的なことか、推測や憶測になってしまいます)。

そこで少し文献を調べてみました。しかしながら、「スポーツ観戦」とか「ファン心理」の研究ならいくらかあるようですが、観戦中に応援することの効果や機能についての研究はあまり行われていないようです。

関連のありそうな文献をご紹介しておきます。お役に立てず、申し訳ありません。

広沢俊宗・井上義和・岩井 洋(2006)プロ野球ファンに関する研究(V) : ファン心理、応援行動、および集団所属意識の構造(第二部 スポーツファンへの多面的アプローチ,創造性の視点) 関西国際大学地域研究所叢書, 3, 29-40.

元 晶?(Won Jung-uk)(2008)韓国プロサッカー観戦者の消費行動特徴に関する研究 : Kリーグ観戦者の人口統計学的特徴、観戦動機、観戦ニーズを中心に 環境と経営 静岡産業大学論集, 14(1) ,1-14.

ところがまったく音沙汰がない。 目が点になるとはこのことである。

担当者ともどもこの制作会社は次回から返信しないブラックリスト行き。

研修や講演の依頼をいただくたびに返信しているメールのひな形を公開することにしました。原則、ほとんどすべてのご依頼をお断りしています。


はじめまして。こんにちは。法政大学の島宗です。
 このたびは研修講師のご依頼をいただきまして、ありがとうございます。
ところが、誠に申し訳ないのですが、現在、研修や講演のご依頼はほとんどすべてお断りしております。
 大学での授業や研究、学校や企業との共同プロジェクト、ゼミ生の指導、そして学会や大学の仕事で忙しく、時間的な余裕がないこともありますが、研修や講演では行動が変わらないことが大きな理由です。
 講義形式の研修や講演には参加者をその気にさせる効果はありますが、その気になるだけでは行動は変わりません。 拙著では、行動を変えるには、行動の先行条件(インストラクション)や結果(パフォーマンスマネジメント)を変えましょうと書いています。それなのに、そのどちらにも有効に機能しない仕事をするのは言行不一致となり、気が引けます。
 とはいえ、インストラクショナルデザインやパフォーマンスマネジメントについて学ぶ機会が日本にはまだ少ないのが現状です。 私としましては、大学における教育を基本として、そして学校や企業との協同プロジェクトを通して、行動分析学にもとづいた問題解決的アプローチの普及に貢献していく所存です。
 今回はご希望にお応えできず、申し訳ございません。


 こうやって改めて見直すと、上から目線で高飛車な、とても失礼な返事にも読めますね(^^;;)。

 ひな形なんで、いただいたメールに書いてある個々の情報に対応する文章がないこともあるけど....

 ま、いっか。

 ちなみに、こういう返信をした後、「そうですか。そういうご事情であれば残念ですが理解できます」など(理解していただかなくてもいいんですけど)、とりあえず返信はあるかなと予想するところですが、返信が全くない場合もあります。そういうときには「あぁ、お断りして正解だったな」と、ホッとしたりもしています。

 なお、学校改善や授業改善、事例研究などのコンサルテーションやスーパーバイズは時間があればできる限りお手伝いさせていただいています。そのようなご依頼は下記のメールアドレスまでお送りください。

Mailaddress_2

追記: 講義形式の研修に関する立場をここまで明示しているのにもかかわらず、「私はそうは思いません。講義でも得ることがあると思います。ですから講義をお願いします」と依頼されてくる方がいらっしゃいます。そういう方とメールで議論をするつもりもありません。そのままお断りすることになります。ご了承ください。

昨年の夏に帯状疱疹をやってから認知機能がどうにも低下していたので(新聞を読んでいても頭がボーッとして内容が理解できない、集中できないなど)、iPhoneのゲームを使ってみることにした。

『全脳トレ』東北大学川島隆太郎教授監修の、いわゆる「脳トレ」。

「脳トレ」そのものには懐疑的だが("脳"がトレーニングされるわけじゃないし、"脳力"なんてのも曖昧すぎるし、老化防止などにエビデンスがどれだけあるかわからないし....)、でも、数分間集中して頭を使って強化される課題が欲しかった。

『全脳トレ』にはいくつかのゲームが含まれているが、計算(加減算)、カウント、条件性弁別、図形の分解組合わせ、短期記憶などからなる課題がほとんど。

一日に「全脳トーニング」を3課題、「脳年齢測定」を1課題やるようになっている。10月からほぼ毎日取り組んでいる。当初は脳年齢が40-50歳と判定されていたのが、最近では20歳を度々マーク!(脳年齢は20歳がベストスコアらしい)。

Img_0080

ゲームはそれぞれ「前頭葉」「側頭葉」「頭頂葉」に対応するように作成されているらしく、「全脳トレーニングの変化」が下の図のように各々の累積得点としてグラフ表示される。

Img_0084

興味深いのは、このゲームを始めた最初の数ヶ月間、明らかに「頭頂葉」のデータだけが伸びていなかったこと。

頭頂葉と言えば、感覚の統合をしているところだけど、計算の機能も果たしていると言われている。

確かにゲームの中で苦手としているのは「ダイスのうらがわ」「3をたして」など計算の部類。

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ところが、ゲームの解説によると、これらは「前頭葉」のトレーニングということになっている(主観的には成績が低いのに評価は高い)。

逆に「頭頂葉」と関係あるとされている「点灯記憶」は主観的には得意なほうだし。

最も苦手としている「パイプ接続」は「頭頂葉」と関係あるらしいから、このゲームが足をひっぱっているのかも。ただし、このゲームは未だに何をどうすればいいのかよくわからん。「ダイスのうらがわ」のように、慎重に時間をかけて考えれば正解する課題とは話が違うと思うのだが...

Img_0087

それでもここ数週間で「頭頂葉」の得点が向上してきて、累積得点の伸び率は他の2つとほぼ同程度になった。

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「パイプ接続」は相変わらずできんのだが(謎)。

認知機能はおかげさまでほぼ回復。ただし「脳トレ」との関係性は不明。

 連日報道されているように、今春卒業予定の大学生の就職内定率が低迷している。

大学生就職内定率、5年ぶり悪化86%  今春卒業予定の大学生の就職内定率は2月1日時点で86.3%で、前年同期を2.4ポイント下回り、5年ぶりに前年より悪化したことが13日、厚生労働省と文部科学省のまとめでわかった。
 男子の内定率は2.7ポイント減の86.5%で、女子は2.0ポイント減の86.2%。地域別では、北海道・東北が同5.2ポイント減の79.0%と落ち込みが目立った。また厚労省が同日発表した高校生の就職内定率(1月末時点)は87.5%で同1.9ポイント減。6年ぶりの悪化となった。
 (読売新聞, 2009年3月14日)

 昨年までは景気回復と伴に4年連続で内定率が増加していた。今年の卒業生はリーマンショックからの未曾有の経済危機の被害をもろにかぶった状況だ。

 とはいえ、求人倍率はかろうじてではあるが1倍を超えている。仕事はあっても学生が望まないのか、企業側が基準を厳しくしているのか、おそらくそのどちらのケースもあるのだろう。

 就活する学生の様子からは、早々に複数の内定を得る者と、なかなか内定を得られない者に二極化しているようにも見える。また、会社勤めの友達や知人の話からは、ミスマッチによる早期転職などを避けるために、企業側がより慎重に採用しているようにもうかがえる。

 自分たちとは無関係の経済状況のせいで困難な就活に直面している学生には同情を感じざるを得ないが、現在の過剰なまでの報道は、大学生に必要以上のプレッシャーをかけ、我が国にとって長期的に大きな損失となるリスクを含んでいる。

 例年に比べて今年は3年生の「就活」が早く、活発になっている。残念なことに、ゼミや授業を休んでも就活する学生が多い。彼らにとっての「就活」とはエントリーシートを書き、説明会に行くこと、セミナーなどに参加することである。今、これをしておかないと4年生になってからでは遅い。内定がもらえるどころか、選考のスタートラインにさえ立てないといった不安に動機づけられた行動である。

 こうした不安にはある程度の根拠がある(確かに登録しておかないと一次審査にさえかけれないということもあるらしい)。でも、報道や就職支援会社(要するに就活セミナーなどで収益を上げている会社)は、こうした不安を扇動しているように見えてならない。

 3年生というのは大学生活の中で最も落ち着いて勉学に打ち込める時期である。勉学だけではない。サークルや友人関係やその他、大学生のうちにしかできないことができる時期なのだ。日本の場合、一度、就職すると社会人として大学に戻ってくる機会はまだまだ少ないから、今が一生で一度のチャンスとなる人が大部分のはず。

 その貴重な時間が、エントリーシート、説明会、セミナーによって消費されている。

 これは企業にとっても損な話だ。将来、会社を支えてくれる優秀な人材を採用したいのに、学生が優秀な人材に育つ機会を意図的ではないにしろ奪っているのだから。

 現状は、学生によっても、企業にとっても、国にとっても、lose-loseな状況だといえるだろう。

 先日、新報道2001というTV番組に出演した、世界一細い注射針を作る岡野工業の岡野雅行社長がこんなことを言っていた。

 「雇用はたくさんある。とにかく学校で技術を身につけなさい」と。

 岡野社長は「小中学校」でと主張されていたが、少なくとも大学ではこうあるべきだと思う。

 「技術」は理系に限らない。調べる力、考える力、話し合う力、計画し、実行する力なども「技術」だ。

 志望する企業に対し「自分にはこんな技術があります。これを御社で活用していただき、さらに伸ばしていきたいと思います」と自信を持って言えるようにするためには、3年生(や2年生や4年生)の貴重な時間をエントリーシート、説明会、セミナーに使っている場合ではないのだ。

 卒業後、就職して、学生たちが大きく羽ばたけるように、学生の間は十分に助走できるように、企業の方々の理解を求めたい。

今まで気づかなかったのが不思議だが、Excel 2008 for Macでは統計に使う「分析ツール」が使えない。MicrosoftによるとMac用のOfficeがVBScriptに非対応になったのが理由だとさ。

Photo

平均値や分散などの記述的統計をちゃちゃっとやりたいときとか、ヒストグラムをささっと描きたいときに重宝していたので、とても不満。

ググってみたら、Excelと連動して分析ツールと同等の統計ができるソフトがAnalystSoftという会社から無料で配布されているのを見つけた。ただし、無料版は機能限定。たとえば被験者内で繰り返しのある分散分析をするには有料版が必要になる。

さっそく試してみたら、それなりに(「分析ツール」と同等に)使える。

 ↓   ↓   ↓

StatPlus:mac LE

さらに、もう一つ気がついたこと。

ExcelのHelpを「オンラインヘルプ」にして「分析ツール」で検索したら、上記のソフトが紹介されているじゃないですか(「オフラインヘルプ」にはない情報)。

Excelonlinehelp

それにしても「無料でダウンロードし、....、使用します」って、何だかすごく高飛車な書き方だなぁ。本来、おめえんとこで用意すべきソフトだろうが。

さらに、さらに。なんで今までこのことに気がつかなかったかもわかった。自宅に1台、大学に2台あるMacのうちの1台に古いバージョンのOfficeが残っていたんですね。分析ツールを使うときにはたまたまそのMacを使っていたのか、他のMacで分析ツールが見つからないまま特に問題を解決しようとはせずに、そのうちそのMacにあたって「あれ、できるじゃん」となっていたのかは不明。

ワースト3 一位:もち
二位:あめ類
三位:こんにゃくゼリー

さて、何のワースト3でしょう?

答えはこちらに(←内閣府食品安全委員会のwebサイト)。

食べ物による窒息の死亡者数が毎年4千人以上ということですから、大きな社会的問題である。

上記のサイトには、幼児や高齢者ごとに事故防止の方法や万が一喉につまらせたときの措置についてわかりやすい資料が作成されているので、一度、目を通しておくことをお勧めします。

気になったのは日経新聞のこの記事。

日本経済新聞(2010/01/14, 朝刊)(食品安全委員会)が人口動態統計や国民健康・栄養調査などをもとに、特定の食品類を1億回口に入れた場合に窒息する頻度を推計したところ、ワースト3はもち6.8-7.6、あめ類1.0-2.7、こんにゃくゼリー 0.16-0.33。パン、肉類、魚介類、果実類、米飯類と続いた。

上記のwebサイトでこの統計データを探したのだが、見つからない。

一億分の一にも満たない低確率の推定ってどうやってやるんだろう?

食品安全委員会によれば「こんにゃくゼリーのリスクはあめと同等」ということだから、一時期騒がれていたように(スケーブゴート的に責められていたように)、こんにゃくゼリーがことさら危険ということではないらしいが、少なくとも「もち」との間には統計的な有意差があるのだと結論しているとみられる。

でも、こういう検定もどうやってやるんだろう?

低確率で生じる結果は行動を制御しにくい(「天災は忘れた頃にやってくる型」)。

もちやゼリーを喉につまらない大きさに切ってから食べるという行動を増やすためには、そのまま食べようとすると不安になるようなルールの提示が有効だと思われる。

だとすると、一億分の○○レベルの確率表示よりも、「昨年全国で○○人の人がもちを喉につまらせてお亡くなりになりました」といった記述法の方が効果があるかもしれない。

「Twitter」にぼやいたとたん、「つぶやいたらどうですか?」ってツッこまれたので、今日はちょっとつぶやいてみました。

 前回の記事から6ヶ月が過ぎました。執筆をサボっていたわけではなくて、Kzokuでほんとうにダイエットが継続できるかどうかを身をもって検証するために、半年間、1ユーザーとしてひっそりと取り組んでいたのです(注1)。

 百聞は一見にしかず。まずは過去1年間(365日間)のグラフを見てみましょう。体脂肪率は非表示にして体重だけを表示してみました。

Photo_6

 前回、このレポートを書きながらダイエットに取り組んでいたのが6月から7月にかけてです。その前にも新学期開始頃(3月の終わりから4月にかけて)に少し頑張っていました。冬の間に蓄えた脂肪がこの2回のダイエットによって落ちていき、一時期は72kgを切っていたのがわかります。

 ブログでレポートを書くのを中断し、自分のダイエットの状況が皆さまの目にふれるという条件を取り去った後も、8月いっぱいはダイエット行動がある程度は維持できていました。ブログを使った社会的随伴性のバックアップがなくてもKzokuで継続できることがこの段階でわかりました。

 ところがそれもつかの間の喜びでした。食欲の秋の到来とともに、体重はぐんぐんと増加していきます。10月を過ぎるとまたたくまに74kg台をヒットし始め、ついに禁断の75kgにも到達しそうな勢いです。明らかにお腹まわりがゆるくなり、だぶついた肉をぎゅにゅっとつまめるほど成長してしまいました。

 注目すべきなのは、9月から12月の4ヶ月間は、ほぼ毎日体重計に乗り、ほぼ毎日Kzokuに記録を入力していたということです。

 記録だけのダイエットには限界があるということになりますよね。あるいは、食欲の秋 vs レコーディングダイエットの戦いは食欲の秋に軍配があがったとも言えるでしょう。

 体重は季節周期で変動するのが自然のようです。致し方ないと諦めるのも一つの手ですが、今年はめくるめく季節の流れにあがなってみることにしました。

 クリスマスや年末年始(忘年会や新年会)は、ダイエットする人にとってはまさに鬼門です。食べ過ぎ・飲み過ぎたくなくても、皆が盛り上がっているときに一人ガマンしていたら場も盛り上がりませんよね。結局、新年になって気がついてみると体重が元通り、いやそれ以上にリバウンドしてしまう人も多いはずです(自分も毎年このパターンを繰り返してきました)。

 そこで今年は手遅れになる前に手を打ったのです。

 作戦は次の通り。

正月太りに打ち勝つ作戦 (1) 摂取カロリーを抑制するため、「やること」の中の「野菜多めに食べました」、「腹八分目に抑えました」、「間食しませんでした」の3項目に対するヤッターポイントを2倍に。
(2) 一週間のうちヤッターポイントが5点以上の日が6日以上あれば、残りの一日はフリーで食べ放題(この日を忘年会や新年会などにあてる)。
(3) 体重の目標をより現実的な73kg(体脂肪率は18%)に変更。
(4) 思いつくたびシステム手帳に書込んでいる「欲しいものリスト」の物品は、目標を達成したら買えるようにする(目標を達成しないと買えない)。

 これなら週に一度の飲み会なら遠慮なく飲み食いできます。野菜を多めに食べることで健康も維持できます。「欲しいものリスト」は衝動買いを防ぐための手段ですが、それにも関わらず衝動買いはなかなか止められません。どうせならと、これで衝動買いのエネルギーをダイエット行動の継続に使えそうです(ちなみに現在リストにあがっているのは新しいテニスラケット、DIESELのデニム、ハイスピード動画対応のデジカメ、今春発売予定のタブレット型Macです)。

 そしてこのプランを師走に先駆けて導入し、手遅れになる前に先制攻撃することにしたのです。

 プランは功を奏し「やること」をやるようになりました。下の図で黄色からオレンジ色に変わっているところがプラン変更点です。重点3項目の配点を2倍にしているから総得点が増加しているのはあたり前ですが、そのぶんを差し引いても実行動は増えています。

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 次に体重の変化です。

 ちょっと面倒でしたが、やってみたいことがあったので、10月から12月までの体重の記録をKzokuからExcelへコピペして、グラフを作成してみました。応用行動分析学でよく使う形式の折れ線グラフです。横軸は日付、縦軸は体重、縦の点線の左側がKzokuを使った記録のみの条件、右側が今回の作戦の条件です。作戦を導入してから体重の変動が大きくなっているのは、週に1回の食べ放題の日に向かって体重が減少するものの、食べ放題の日の翌日からまた体重が増えているからです(カラダってホントーに正直ですね)。

Photo_10

 体重が増えてしまうなら作戦は失敗なのでは?と思われるかもしれまん。

 それを判断するため、上のグラフに「近似直線」をあてはめてみました。応用行動分析学ではデータの傾向を判断するために「split-middle line」という手法を使いますが(注2)、Excelでsplit-middleをやるのは結構手間なので、Excelグラフの「近似曲線」の機能を使ってお手軽に作りました。

 下の図からわかるように、作戦導入前の近似直線は右上がりです。このまま順調に(?)体重が増加すれば、1月中には75kgを確実にオーバーしてしまうことがわかります。「近似直線」を使うと、こうした《予測》が可能になるのです。

Photo_9

 これに対し、作戦導入後の近似直線は右下がりです。変動こそあれ、右上がりの傾向が逆転し、このまま進めば1月中には73kgを切るのも夢ではないということがわかります。これは嬉しい《予測》ですよね。

 統計的分析っていうと難しく聞こえますが、Excelでグラフを作ることができれば数学や統計の知識がなくてもできてしまう分析ですから、よかったらお試し下さい。「このままだととんでもないことになる!」と現実を直視するのにも、「このまま頑張ればすぐには結果がでなくても半年後には必ずワンサイズダウンできる」と未来を見据えるのにも役立ちますよ。

 自分の場合、大晦日から三が日はダイエット休暇にしましたので、この間で体重はまたまた増加してしまいました。でも、安心。今回の作戦を使えば、季節の流れに打ち勝って正月太りを早めに解消できそうです。

行動分析学的ダイエットの"コツ"、最終回はこれ。

行動分析学的ダイエットの"コツ" ○太りすぎる前に先制攻撃で作戦を展開しましょう(そのためには「近似直線」が便利に使えます)。
○ダイエットとは真逆のイベント(忘年会や新年会)をダイエットに活用しましょう。
○いずれ買ってしまいそうなものをダイエット目標達成時の自分へのご褒美に使いましょう。

 『Kzokuコラボ企画:ケーゾクはチカラ! 』は今回が最終回になります。最後までおつきあいいただき、ありがとうございました。

 私は今後もKzokuを活用してきます。このブログで成果報告をすることもあると思います。

 また会う日まで。ポップ・ガンマイ。


注1)応用行動分析学では、導入後、少なくとも数ヶ月以上後まで維持されていないと、行動変容プログラムの効果は充分ではないとみなす傾向があります。

注2)参考書

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今年の抱負2010

明けましておめでとうございます。

なんとまぁ三ヶ月ぶりの更新です。こんなに放置したのは2003年にこのブログを開設して以来のこと。

昨年夏に「帯状疱疹」に罹った反省から、過労状態になるのを避けるため、夜20時以降の仕事はほぼ禁止してました。仕事の優先順位を見直し、大学での教育研究と学会の機関誌編集以外の仕事は、20時までにできてなければ<<しない>>ことにしたのです。健康維持のための積極的な先延ばし作戦でしたが、お陰さまで何とか通常モードに戻りつつあります。

なにはともあれ、年始にあたり、まずは昨年の抱負の振返りから。

(1)  著書の執筆(2冊)
 ごめんなさい。
 今年は書きます。まずは1冊めを2-3月の優先順位第一位にします。

(2) 研究教育体制の改善
 3年のゼミでやる実験やプロジェクトをゼミ主導にしたのと(vs ゼミ生がそれぞれ自分で実験を考える)、4年生の卒論チェックを2回に限定したのが(vs 合格に達するまでエンドレス)今年の改善点です。前者はそれなりにうまくいったような気がします。後者は1/12に最終的に提出された卒論を読んでからの判断となりますが、こちら側のストレスは明らかに減りました。
 研究の楽しさの追求はまだまだですね。今年こそ4年生と一緒に自分も自分の研究を進めることで楽しさのモデリングをしようと思います。

(3) 論文の執筆(2本)
 合格!

(4) ライフスキル教育研究所の仕事
 教員対象のサマースクール(徳島のサマースクールの法政バージョン)は開催しませんでした。企業向けのパフォーマンスマネジメントの講座は実施しました。問題意識を持って学ぶ人たちと一緒に仕事をするのは本当に楽しいです。でも、やはりこの2つを両方やる余力はなさそうです。来年度、どうするか、3月までに決めます。

 以上。

そして今年の抱負です。

(1) 著書の執筆(よくばらず、まずは1冊)

(2) 研究教育体制の改善
 研究の楽しさをゼミ生と分かち合うことの優先順位を上げます。
 (でも、やっぱり要求水準はそうそう下げられません)

(3) 論文の執筆(2本)

(4) ライフスキル教育研究所の仕事
 社会人(教員もしくは会社員)対象の講座を開催します。

 以上。

そして、最後にこのブログについて。

最近は「Twitter」なるツブヤキ型ブログが流行っています。あのハト山さんさえ始めたらしいですね(オバマさんの方は実は一言もつぶやいてないと告白したそうですが)。

携帯メールにしろ、ツイッターにしろ、もしかしたらブログやmixiなどのSNSもそうかもしれないのですが、言語行動の断片化を促進する随伴性を作り上げているところが自分には気に入りません。「言語行動の断片化」というのはまさにツブヤキが分化強化される状況のこと。人のツブヤキをたくさん読んで自分もツブヤキ、それが読まれて強化される。携帯で「いま、なにしてんの?」と質問し、「ひっま〜」と返信が戻って「おれも」と返す。気持ちがつながったような感じがするからこうしたコミュニケーションが強化されるかもしれないけど、自分の考えを相手にわかってもらえるように話しながら、相手からの返事で自分も知らない自分に気がついていくような、ツブヤキ合い以上のコミュニケーションや思考の流れ、積み重ねは相対的に強化されにくくなってしまうのでは?と危惧している次第です。世の中や人間って、ツブヤキなんかでは語り尽くせないから面白いはずです。

昨年は、

行動分析学に関することは、授業やプロジェクトの掲示板などで内々に書いて、ここではもっと一般的なこと(くだらないこと、信頼性の低いこと、根拠のない主観的な意見も含めて)を書くように、執筆行動が分化しているようです。
今年はこの自覚を元に、さらにゆるめに更新していきます(内容も、頻度も)。

 なんて書いていたのですが、どうやらツブヤキブームへの反動で、自分はツブヤキの垂れ流しなんかはしないという気持ちになり、それで更新が滞っていたという背景もありそうです。

今年も更新回数は増えないかもしれませんが、このブログでは140文字では語れないことを語っていこうと思います。

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