2009年9月アーカイブ

とある先生から、

"Organism is always right" という有名なスキナーのフレーズの出典をご存じでしょうか?

という質問を受けました。

『インストラクショナルデザイン』に「学び手は常に正しい」というルールが記載されていたので、お尋ねさせていただきました。

とのことでした。

『The Technology of Teaching (Skinner, 1968)』からの引用に違いないと思います。

と即答し、念のため出典のページ数を確認しようとこの本をざっと読みましたが、みつかりません。

あれ?

ネット検索しても見つからない。

"Organism is always right" は、意外にも、ユートピア小説『Walden Two』の主人公Fraizerの台詞に見つかりました(Thanks to J.S.T.)。

Skinner (1948, p. 240)To put it as bluntly as possible--the idea of having my own way. "Control" expresses it, I think. The control of human behaviour, Burris. In my early experimental days it was a frenzied, selfish desire to dominate. I remember the rage I used to feel when predictions went awry. I could have shouted at the subjects of my experiments, "Behave, damn you! Behave as you ought!" Eventually I realized that the subjects were always right. They always behaved as they should have behaved. It was I who was wrong. I had made a bad prediction.

一方、"The student is always right" は、Kellerの著名な論文 "Good-bye, teacher.... "に見つかりました。この論文は個別化教授システム(Personalized Systems of Instruction)について解説したものですが、下にあるように、「随伴性さえ整えれば学び手は学ぶのだ」と結んでいます(すんません。タイプする時間がないので画像添付します)。

Keller (1968, p. 88)

Keller1968

Skinner と Keller はハーバード大学・大学院での同級生で親友だったそうですから、「"ラットはいつも正しい"と自分たちは言ってました」の自分たちには当然スキナーも含まれているものと思われます。

それに(ちょっと言い訳がましいけど)『The Technology of Teaching (Skinner, 1968)』には、どのように随伴性を整備すれば、どのようなことが教えられるのか(もしくは教えられないのは、どのような随伴性が整備されていないからなのか)がとても広く、深く考察されています。

ですから、スキナー先生もケラー先生も、どちらも「学び手はいつも正しい」と考えていたはずですが、直接引用するなら、上述のKeller(1968)が妥当そうですね。

ちなみに、The Technology of Teachingはティーチングマシンについて書かれた本として知られていますが、実際には、思考力とか創造性とか学び方学習(learn-to-learn)とか、とても高次な"認知活動"を教える方法についても論じられていますし、学校における随伴性を逃避・回避(怒られたり、叱られたり、悪い点をとらないようにするためだけに勉強する)から、正の強化(気づきや発見や楽しさなどの好子出現によって勉強行動が強化される)へ改革すべきだと主張されています。

とても今日的なテーマですよね。

日本語で復刻版がでたらいいのに。

Keller, F. S. (1968). Good-bye, teacher....  Journal of Applied Behavior Analysis,  1, 79-89.

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PubMedで読めます

国際行動分析学会の機関誌 The Behavior Analyst のバックナンバーがネットで無料で読めるようになりました。

一覧はここから。

JABAやJEABと同じように PubMed に収録・公開されるようになったそうです。

The Behavior Analyst は国際行動分析学会の会員に配布される雑誌ですが、日本ではそもそも会員が少ないのと、機関購読している大学が少ないので、展望論文や面白い理論的な論文などが掲載されているのにもかかわらず、行動分析学研究でもあまり引用されていませんでした。

これでそんな状況も変わるかもしれませんね。

ちなみに国際行動分析学会の略称も国際のInternationalをつけて「ABAI」になってからしばらく経ちますが、この略称の読み方は統一されていないそうです。

名付け親(?)は「アバイ」と発音させたかったようですが、そのように呼称する人は少なく、「エービエーアイ」とか、これまで通り「アバ」と言っている人が多いそうです(よ)。

追記:もうじきThe Analysis of Verbal Behavior (TAVB)もPubMedで読めるようになるそうです。素晴らしい!

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