2006年12月アーカイブ

深夜のバラエティ番組で紹介されてるのをみて大爆笑。その場でAmazonに注文(まだ来てないけど)。

CD Journal本作では、今まで誰も教えてくれなかった「人を怒らせるコミュニケーション術(=怒らせ方)」を、初級、中級、上級とステップアップしながら、東京東海大学言語学教授・碑文谷潤教授(!?)による理論と実践を交え紹介。「は?」「で?」の「は・での理論」をはじめ、「外見・状態+だし」「裏切り」「接近」「関西かぶれ」「お宝クラッシュ」など50以上の怒らせ方を体系化して分かりやすく紹介しています。また特典映像として「これだけは覚えておきたい怒らせ方30」を収録し、さらに「怒らせ方」ガイドブックも封入特典として付属。怒らせ方の全てを知れば、怒られない方法もおのずと分かる!という強引な理論で、この一見無駄とも思える技術も、きっと使える技術となるはずです。

シャレのDVDであるとはいえ、「あ〜、こういうやつ(学生に)いるいる」とついつい納得してしまって大笑い。ソーシャルスキルトレーニングの悪い見本編として使えば教育効果さえあるかも。

『温厚な教授の怒らせ方』とか『まじめな学生のキレさせ方』とかをゼミで作ってみても面白いかも。


温厚な上司の怒らせ方温厚な上司の怒らせ方
趣味

ビクターエンタテインメント 2006-09-22
売り上げランキング : 35
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

卒論の仮提出の〆切も過ぎ、ボアソ11階近辺も静かになりました。とはいえ、おそらく各自、自宅や情報カフェなどで地道に推敲に取り組んでいることでしょう(まさか、うちのゼミ生だけってことはないよね ^^;;)。

ところで、12月になってから駆け込みでデータ収集に奔走した人がかなりいたようです。私が担当している授業にも、「授業中にデータをとらせて下さい」(質問紙のヒトたち)とか、ひいては「10分くらいで終わりますから授業中に《実験》させて下さい」という強者まであらわれました。

来年以降のために宣言しておきます。私の授業では授業中に質問紙を配って回答させたり、実験をしたりという時間は提供しません。これはポリシーです。

理由は以下のとおり。

(1) 授業中、受講生には授業を受ける権利があります。授業以外のことに時間を割くのは、それが授業目的に合致しない限り、この権利の剥奪にあたります。

(2) 心理学の研究では、それが質問紙による調査であれ、実験であれ、参加者候補には、研究の主旨を説明し、文書で同意を確認すること、いわゆる同意書(インフォームドコンセント)をとることが、倫理的に守るべきガイドラインとなっています。そして、インフォームドコンセントで大切なのは、研究への参加が自発的なものであり、授業中のなかば強制的な活動ではなく、参加しなくてもペナルティがないという保証をすることです。授業中に一斉に質問紙を配って回答させたりする場合には、こういうガイドラインを守ることが、不可能ではないにしろ、かなり困難になるのです。

(3) 心理学の研究では、研究者の責任として、研究に協力してくれた人たちに、研究成果を報告するという義務(あるいはエチケット)があります。授業中に質問紙に答えてくれた人たちに研究成果をフィードバックした学生をいまだに見たことがありません。これは(2)に較べればやろうと思えばできるはずなのですが、理由の一つにあげておきます。

(4) (これは学習の権利とか倫理の問題ではありませんが)もし誰かの卒論のデータ収集を許可するとなれば、公平性から言えば、当然、他の学生さんのデータ収集も許可すべきということになります。しかし、1学年60人近くの学生さんが一斉に卒論に取り組むわけですから、考えてみるとわかるように、どこかで無理がきますよね。

心理学の研究を進める上で「倫理」を考慮するのはとても重要だと思います。なぜなら、それは「人権」や「社会的責任」を考えることにもつながり、これらは一般企業に就職したり、公務員や教員として働くさいにも、とても重要な事柄だからです。

私にデータ収集を拒否されてショックだった人は、ぜひ、この機会に下の参考文献を読んで、「倫理」について考えてみて下さい(関西学院大学の中島定彦先生に紹介していただいた参考書です)。

なお、先輩の卒論研究に参加者として協力すること自体は、貴重な学習機会です。受講生にはどんどん参加するように勧めています。参加者募集の案内などは随時許可しています。アポをとり、募集要項を持参してくれれば、授業の最初か最後にアナウンスする時間を提供します。授業によっては、実験への参加をボーナスポイントで強化する仕組みも導入していますが、ボーナスポイントの仕組み上、学期の開始直後の方が動機づけとしては強く働きます。

というわけで、最後に現3年生へのアドバイス。《 何事も前倒しで!! 》みんなが1日あればできるだろうと思うことが、1週間はかかる世界だと思って覚悟して下さい。

心理学・倫理ガイドブック―リサーチと臨床心理学・倫理ガイドブック―リサーチと臨床
古澤 頼雄 都筑 学 斉藤 こずゑ

有斐閣 2000-12
売り上げランキング : 74249

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
事例に学ぶ心理学者のための研究倫理事例に学ぶ心理学者のための研究倫理
安藤 寿康 安藤 典明

ナカニシヤ出版 2005-07
売り上げランキング : 149346
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

アスペルガー症候群のお子さんのお母さんが書いた本。

ぼくがアスペルガーしょうこうぐんだってことは、ぼくを見ただけでは分からないと思う。ほかの子たちと、ほとんどいっしょだからね。でも、もしかしたら、ぼくがほかの子とちょっぴりちがうってことには、気がつくかもしれないな。どうしてかというと、ASだと、みんなとはちょっとちがう行動をしたり、ちょっとちがう話し方をすることがあるからね。みんなみたいに、ASの人にもそれぞれこせいがあるし、人によってASの出かたもちょっとずつちがう。だから、ほかのASの子とぼくとは、にたところもたくさんあるんだけど、全く同じではないんだ(p.13)

と、アスペルガーのアダムくんが自分について友達に語りかけるというスタイルになっている。

その場の雰囲気を読むことが難しいとか、言葉どおりの意味で理解しがちとか、冗談がわかりにくいとか、ルールを守って遊ぶのが苦手だけど、みんなとは遊びたいし、わかりやすく教えてくれれば遊べるよとか、アスペのお子さんの特徴を、子どもたちに使えるのにいい教材になりそうです。

小学校の中学年くらいからなら十分読めるのではないかと思います。お勧め。

ねえ、ぼくのアスペルガー症候群の話、聞いてくれる?―友だちや家族のためのガイドブックねえ、ぼくのアスペルガー症候群の話、聞いてくれる?―友だちや家族のためのガイドブック
ジュード・ウェルトン ジェイン・テルフォード 長倉 いのり

明石書店 2006-07
売り上げランキング : 38307

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

blogの更新

先週の更新回数は{3}回でした。

徳島県の保育士研修でABC記録を教えている猪子さんからの質問:

「ABC記録はどういう研究を背景に提案されているのでしょうか?」

一瞬「何をいまさら?」と思ったけど、考えてみたら、授業や研修ではあたりまえのこととして教えているこの記録法。果たして背景に<研究>はあるのだろうか?

児童や生徒の問題行動の原因をみつけるために、問題行動が生じている場面、きっかけ、問題行動が起こったときの回りの反応、環境変化などを、直接観察によって記述していくのがABC記録。

問題行動だけを観察していてもも答えはでない。親や教師に、行動だけではなく、行動が起こる直前・前後の環境に着目してもらうというのが主旨であり、どちらかと言えば親や教師のための支援ツールと捉えている人が多いと思う。

そこで、応用行動分析学で最も使われている教科書である Cooper, Heron, & Hewardの Applied Behavior Analysis をめくってみたら、ABC記録が初めて学術論文に登場した文献が紹介されていた(そろそろ待望の第二版がでます。和訳の話は聞いていません)。

それがこれ(ここから本文をダウンロードできます)。

Bijou, S. W., Peterson, R. F., & Ault, M. H. (1968). A method to integrate descriptive and experimental field studies at the level of data and empirical concepts. Journal of Applied Behavior Analysis, 1, 175-191.

ざっと読んでみた限りでは、そもそもは、発達心理学など、行動分析学以外の心理学ではよく使われる直接行動観察による記述的アプローチと、頻度の測定を要とする行動分析学の実験的アプローチの間のギャップをつなぐものとして考案されたようである。ABC記録を数値化してグラフに表示するということもやっており、単なる思考ツールという位置づけ以上の機能を想定したようだ。

直接行動観察によって発達に関する変数を行動分析学から検討した研究としては、Hart & Risley の Meaningful Differences がよく知られているが、確かにABC記録を徹底すれば、今学期、発達行動特論(法政の大学院の講義)でやってる、行動分析学から子どもの発達を捉え直すという作業につながっていきそうだ。

Applied Behavior AnalysisApplied Behavior Analysis
John O. Cooper Timothy E. Heron William L. Heward

Prentice Hall College Div 2007-01-31
売り上げランキング : 133945

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
Meaningful Differences in the Everyday Experience of Young American ChildrenMeaningful Differences in the Everyday Experience of Young American Children
Betty Hart Todd R. Risley

Paul H Brookes Pub Co 1995-07
売り上げランキング : 155686

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
Skypescreen

Mac版Skypeにもビデオ機能が追加され、月例の徳島ABA研究会への参加も一段とビジュアルになってきました。

発表者のプレゼン資料をみながら、事例研究の記録をwebで確認しながら、先生たちが話し合いながら展開していくABC分析をリアルタイムで眺めながら.... ネットのこちら側でホカ弁を食べてる場合じゃないですね(バレちゃうし ^^;;)。

今月発表された事例では、キレやすい子どもさんの行動のABC分析に、特殊な確立操作による攻撃性好子の分析(『行動分析学入門』の11章)があてはまりそうで、興味深かったです。

攻撃性好子とは、自分の思い通りにならなかったり(消去)、難しい課題が提示されたり(強化率の低下)、ゲームで負けたり(好子消失)、同級生が隣で大声で泣き続けたり(嫌子出現)すると、自分があげる大声や、机を叩く感触、そうすることによってまわりの大人が困った顔をすることなどが、一時的に、とても強力な好子となり、わめいたり、暴言をはいたり、自傷・他害を引き起こす行動が誘発され、強化されてしまうという考え方です。

となれば、そのお子さんにとって、どんな環境が攻撃性好子をつくりだす確立操作としてはたらくのかを調べ、できるだけそういう状況にならないようにし、そうなってしまった場合には、その場から移動して落ち着ける場所に行く、深呼吸する、地団駄をふむなど、逆に作用する確立操作を見つけて、教えることが有効になります。

かつて、ある小学校では「なんでやねん」とツッこむことを教える実践をされていましたが、「おどける」というのも逆の確立操作として有効かもしれません(追記:我々もあまりに辛いことがあったときに自分やそんな状況を笑い飛ばせるスキルがあるとストレス対処として有効ですよね)。

いわゆる「アンガーマネジメント」ではこういう対処法がいろいろ開発されているはずです。行動分析学から解釈しなおしてみると、より包括的で効果的なプログラムが組めるかもしれませんよ。

少し早めの告知になりますが、来る1月26日(金)、桜花学園大学の奥田健次先生を法政大学にお迎えして、「心の理論」に関する実験的・理論的・臨床的なお話をうかがいます。学外の人にもオープンな講義ですので、興味がある方はぜひご参加下さい。参加費無料。事前に申込みの必要はありません。

題目;「心の理論」発達と認知のセレナーデの行動分析
講師:奥田健次先生 〔桜花学園大学人文学部助教授〕
日時:2007年1月26日(金)18:30〜20:00
場所:心理学実験室(法政大学・市ケ谷キャンパス、ボアソナードタワー11F)
   地図はここ

奥田先生のHPはここ。断筆中の過激なブログはここです。

教室などが変更される可能性もありますので、法政心理のwebサイトでご確認の上、ご来場下さい。

この講演の案内はこちらからダウンロードできます。

blogの更新

先週の更新回数は{3}回でした。

最近ハマっている海外ドラマ。CSIとはCrime Scene Investigationの略。彼らは警察とは独立した組織であり、自らを「科学者」と呼ぶ。犯罪現場に残された証拠を徹底的に分析し、犯人の自白や目撃者の証言に頼らずに、事件の真相を究明し、解決していく。ウィリアム・ピーターセン演じるグリッソムという主任さんが容疑者に、「何も言わなくていい。死体がすべて語ってくれる」と言い放つところがかっこいい。

日本の警察による捜査は物的証拠よりも自白を重んじると聞いていたので、こんな科学的捜査はほとんど行われていないのでは?と、警視庁科学捜査研究所に勤務していた越智先生(法政大学犯罪心理研究室のHP)に聞いてみたら、意外にも、いや日本の警察もそういう捜査はやってますよという答えが返ってきた。ただ、組織の構造や仕事の流れは米国とは異なっているとのこと。それからCSIはさすがにエンタだけあって、現実にはあり得ない技術もあるそうだ(そりゃそ〜だよな。ちょっと残念だけど)。

日本にもグリッソムやキャサリンがいるなら心強い。

あとは心理学かな。グリッソムは人の心がわからない(ちょっとアスペ的な?)キャラクター設定になっているのが面白い。対照的にキャサリンはヒューマンスキルが得意。でも捜査に役立てるような技術としての紹介はされていない。新しいキャラ、でてこないかな。

CSI:科学捜査班 コンプリートBOX 1CSI:科学捜査班 コンプリートBOX 1
ウィリアム・ピーターセン マージ・ヘルゲンバーガー ポール・ギルフォイル

アミューズソフトエンタテインメント 2003-11-21
売り上げランキング : 6839
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

私にメールをだすときには、メールの件名に履修している授業名称を明記し、本文には用件をしっかり書いて下さい。

最近の迷惑メールは件名に「すみません」「さっきメールしたんですけど」「連絡下さい」などと書き、一見普通のメールのように見せる小細工がしてあります。私は、こういうメールを自動的に振り分け、ゴミ箱行きにするソフトを使っています(毎日数十件のメールがこのように処理されています)。

迷惑メールではないメールが間違って振り分けられていないかどうかもときどき調べていますが、運が悪いとそのまま削除されます。特に性的な意味合いのある単語や綴りをメールアドレスに使っている場合はこうなる確率が高くなります(そもそもそういうメルアドを友達以外のフォーマルな用件で使うのは社会的には不適切だと思いますが、これはまた別の話ですね)。

メールを送ったはずなのに2日以内に返事が返ってこない場合は、こういう可能性を疑って下さい。

授業を履修している人はメールよりもmoodleのメッセージの方が確実かもしれません。

以上。

モラル消えた学校@日経新聞(2006.12.6)「もはや子供のしつけは学校と家庭のどちらが中心となってやるのかを議論している段階ではない。家庭にしつけや教育力が望めないなら、学校がやるしか道はないと考えた」(若月秀夫教育長@品川区)。

まったくもって同感だ。不毛な議論はお偉いセンセーがたにお任せして、現場優先で仕事を進めるのがベストである。

School-Wide Positive Behavior Intervention に関わる研究や実践からは、

・ルールを統一し、指導を一貫させること。
・ルールを守る練習をして、できたら、それを誉めたり、承認すること。
・ルールを守る行動を引き続き承認し、破ったら修正する機会を設けること。

の有効性が示されている(参考資料)。

学校には、教師の皆さんには、ここいらでぜひともコペルニクス的転換をもって、これまで通りの仕事のやり方ではなく、これからの日本を背負って立つ子どもたちの学習と成長のために、今、必要とされることに取り組むよう期待したい。

学校の風土(すなわち社会的行動随伴性)においては、これまでやってきた仕事を無難にこなしていくことが強化される傾向にある(カリキュラムでも、行事でも、授業や教室運営でも)。「昨年どおり」がもっとも安全(反対や拒否やお叱りという嫌子出現を阻止できるから)な選択肢になりがちだが、それではうまくいきっこないというのは、多くの先生方が内心ではわかっているという矛盾をかかえているのだ。

幸いにも、教職というのは一度就いたら、よっぽどのことがないと首にはならないのだから、心ある先生たちには、ぜひ立ち上がって欲しい。

blogの更新

先週の更新回数は{3}回でした。

サッチャー錯視とは?
 
 顔の画像の一部を変形させると不気味な印象を引き起こすようになるのに、同じ画像をひっくり返して見せると、そういう印象があまり起らないという現象。元英国首相のマーガレット・サッチャー氏の顔写真が見本に使われたため、このように名前がついているらしい(このwebページに小泉前総理の顔を使ったデモがあります)。

サッチャー錯視についてわかっていること:

(1) 顔写真の一部分を加工し、歪ませる(両目の位置を左右に広げたり、片目を上下反転させたり)。

(2) そうやって変形した顔の画像を正立して提示すると、観察者にはとても奇妙な印象を与える。

(3) ところが同じ画像を倒立して提示すると、そのような奇妙さがほどんど感じられなくなる。

(4) このような現象は顔の認知に特有と言われている。


サッチャー錯視はなぜ起るのか? 随伴性ダイアグラムを描いて、視考してみました。

サッチャー錯視とは?
 
 顔の画像の一部を変形させると不気味な印象を引き起こすようになるのに、同じ画像をひっくり返して見せると、そういう印象があまり起らないという現象。元英国首相のマーガレット・サッチャー氏の顔写真が見本に使われたため、このように名前がついているらしい(このwebページに小泉前総理の顔を使ったデモがあります)。

サッチャー錯視についてわかっていること:

(1) 顔写真の一部分を加工し、歪ませる(両目の位置を左右に広げたり、片目を上下反転させたり)。

(2) そうやって変形した顔の画像を正立して提示すると、観察者にはとても奇妙な印象を与える。

(3) ところが同じ画像を倒立して提示すると、そのような奇妙さがほどんど感じられなくなる。

(4) このような現象は顔の認知に特有と言われている。


サッチャー錯視はなぜ起るのか? 随伴性ダイアグラムを描いて、視考してみました。

学ばない症候群@日経新聞(2006.12.5)・中学に入ったばかりなのに「もう勉強はあきらめた」「今さら追いつけない」と漏らす生徒が増えてきた。
・「授業が分からない」→「面白くない」→「勉強嫌い」→「勉強拒否」。多くの子供が今、この「負のスパイラル」に陥っている。
・「競争を勝ち抜いてきた大学生にも自主性、自律性が欠けている学生が多いように思う。知識や教養を深めず、漫然と社会人となる恐れがある」(耳塚寛明教授@お茶の水女子大)。

学生の行動に「あれ?」「おや?」と驚かされるのは確かに日常茶飯事である。最も目につくのは社会性、公衆道徳性の低下(というか欠如)。授業中にも関わらず廊下を大声ではしゃぎながら歩いていたり、キャンパス内の「禁煙」と明示してある場所でポイ捨てしたり、エレベータに他人が乗って待っているのにメールをしながらゆっくり入ったり出たりする。

学習に関しても、ちょっとした課題を与えると、すぐに「難しい」と言い、それを理由にあきらめてしまう学生が増えているように思う(「難しい」がタクトではなく、課題の難易度を下げたり、課題自体を取り下げるマンドとして習得/維持されているふうである)。

ところがその一方で、社会性も高く、倫理観や正義感の強い学生もいる。「難しいです」と言いながらも、へこたれずに指示されたことをやってみて、今までできなかったこと、わからなかったことが、できてきたり、わかってきたりすることに喜ぶ学生がいる。

先日、前任校の学部生から、拙書『インストラクショナルデザイン』を使って自主勉強会を開いているのだが、わからないところがあるので教えて欲しいというメールが届いた。涙がちょちょぎれるほど嬉しかった(ここにブログあり)。

「学生の質が落ちてきた」というのはいつの時代にも教師や大人側が言い続けていたことで、今に始まったことではない。確かに、個人差は大きくなってきているという印象があるが、学習環境を整えることで、多くの学生が学びだすのもまた事実なのだ。

「学ばない症候群」というような個人攻撃の罠にはまらずに、一見「負のスパイラル」に陥っている学生をどうすれば支援できるかを考え、実行していくのが教え手側がすべきことである。

算数・数学が苦手な子が読んでも役に立たないかもしれないが、そういう子どもに算数・数学を教える人には間違いなく役に立ちそうな本である。

著者は算数や数学で「つまずき」やすいポイントを整理し、それぞれを乗り越えるための「論理」をわかりやすく解説している。これを読むと、算数や数学では計算だけではなく、なぜそのように計算するかを論理的に考えることが重要なのだとわかる(著者が主張するほど計算を軽視すべきではないとは思うが)。

本書を読みながら、分数の割算など、落ちこぼれが発生しやすい課題について考えてみた。その上で、やはり分数の難しさは、比率と絶対量の区別を明示的に教えていないせいではないかとあらためて思った。

1/2は比率という文脈で登場すれば、たとえば100kgの1/2=500gだし、2リットルの1/2なら1リットルになる。ところが1/2=0.5とか、1と2/5=1.4のように、ときにまるで絶対量のようにも扱われる。これが混在しているために、何がなんだかわからなくなる子どもは多いのではないだろうか。

著者は冒頭に

たとえ1000までの数を言えても、数の概念の理解にはちっともつながりません。子どもに数字を「イチ」から順に言わせる訓練では、5人、5羽、5個のような絵や実物を同時に見せることを忘れてしまいます。暗記偏重という誤った教育の原点があるのです(p.14)。

としている。

もちろん、数唱と個数による刺激の種類を超えての刺激性制御下の高次オペラントはまったく別の行動である。とはいえ、まったく無関係なわけでもない。数唱は数字間のイントラバーバルをつくるし、それはカウント(数え行動)の習得に促進的に働く。そして、カウントは個数の概念獲得に役立つだろうから。

こうした理論的分析は、動物にまで数の概念を教えてきた行動分析家の得意とするところである。日本から分数による落ちこぼれをなくすために貢献できることも少なからずありそうだ。


算数・数学が得意になる本算数・数学が得意になる本
芳沢 光雄

講談社 2006-05-19
売り上げランキング : 2796
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

blogの更新

先週の更新回数は{2}回でした。

日本基礎心理学会のフォーラムに行ってきました。テーマは『基礎研究ならでは出会えた隣接領域—画面上での動きの生成と知覚—』。こ難しげなタイトルですが、一人目の話者はアニメーターの岡部望氏で、実際にアニメを作るさいのノウハウなども面白おかしく話して下さいました。安定性のない図形(逆三角形)とかが倒れる動きは、安定性のある図形よりも少ないセル画で表現できるとか、楕円を回転させても円を斜め上から見ているようにしか見えないとか、静止画の高速継時掲示であるアニメーションを動画として補完してみているようなオペラントの存在が推察される話が聞けて面白かったです。聴衆が固すぎて、せっかくのギャグがすべってたのが可哀想だったなぁ。

二人目の話者は工学者の吹抜敬彦氏。日本の大企業にもほとんど理解している人がいないという時空間標本化の理論をわかりやすく解説してくれました。とはいっても、さすがに専門外でかなり難解。吹抜氏の理論では「仮現運動」は錯視ではなく、実は実際運動として、すでに網膜上にそのように展開されているということ(なんだと思います)。ホームシアターfreakが読む『HiVi』という雑誌があるんですが、一般向けの雑誌の割には素人には手が出ないくらい難解な記事が載ってます。「画像のつくりこみ」とか「黒をだす」という記述はそれとかぶっててなるほど、そういうことだったのかと納得。さらに、画像の見えは液晶やブラウン管などの表示系だけではなく、対象をどのように撮影したかにもよるという話は面白かったです。

基礎心のイベントには初めて参加しましたが、千葉大時代の師匠である実森正子先生(千葉大学文学部認知情報科学講座)、1年先輩の木村英司先生(千葉大学文学部心理学講座)に再会できたのはサプライズで嬉しかった。あんまり嬉しかったので、家に帰ってきてから昔の写真がぶちこまれた段ボール箱を探してみたらこんな写真が見つかりました。お二人には無断で掲載。怒られたら削除します(^^;;)。

ちなみに左側は同級生の木本(行動分析&少女漫画つながり)。元気にしてっか?

Chibaunivmemories

アーカイブ

法政心理ネット