2006年11月アーカイブ

ここ数ヶ月間の「いじめ」問題に関して、気になった新聞記事があったので紹介したい。

 映画に関する伝説の授業があるという。東大総長も務めた蓮實重彦氏が東大と立教大で担当した授業で、「Shall We Dance?」の周防正行、「CURE」の黒沢清、「黄泉がえり」の塩田明彦、「リング」の中田秀夫ら、日本映画界で現在活躍中の多くの監督に影響を与えたらしい。

 蓮實氏は、毎週、課題として上映中の映画を1つピックアップし、受講生に観てくるように指示する。そして、翌週の授業で「何が見えましたか?」と問いかける。少し長くなるが、この授業での典型的なやりとりを引用しよう(日経新聞, 2006.10.23)。

「勇気」「友情」などと答えると、「勇気はどこに見えたんですか」「友情は画面のどこにありましたか」と突っ込まれる。教室に困惑が広がる。春に百人を超えていた受講者はみるみる減り、二十人ほどになった。
 黒沢が「扉が5回見えました」などと答えると、「はい、そうでしたね」と蓮實は受け、語り始める。扉、カーテン、階段といった具体的事物を巡り、膨大な映画史の知識を総動員して論じる。学生は圧倒され、「いかに見ていなかったか」を悟る。

 人は映画を観て「勇気」や「友情」に感動する。しかし、「勇気」や「友情」はあくまで解釈であり、実際には観客がそのような解釈や感情を持つように、ひとつ一つのシーンやストーリー展開、演技や大道具・小道具を組み立てなくてはならない。

 プロの仕事は、感動や解釈を生みだす、事実や具体物の仕込みにあるのだ。

 「いじめ」があったかとかなかったとか解釈する前に、何があったのか事実を洗いだすのがプロの仕事だと思う。そして、それは子どもたちにアンケートを配って記入させるなんていう、アマチュア的、形式的なお仕事で済まされてはならない。

blogの更新

先週の更新回数は{2}回でした。

Imaginationatwork

先日の徳島ABA研で、GEが提供している無料のホワイトボード共有サービス Imagination Cubed を試してみました。

これはネット上にホワイトボードを展開し、複数地点から同時に書込み、閲覧ができるサービスです。

面白いけど、マウスではうまく描けないのと(スキルの上達やペン型タブレットを使えばなんとかなるかも)、PDFやPowerPointなどの資料の上に上書きできるわけではないところが欠点。

特に後者はそれができれば遠隔ゼミもずいぶん拡充すると思われます。

どこかにないかな、そんなサービス?

とある原稿を書いていて「上意下達」の漢字表記に自信がなく、辞書を調べたけど出てこない。

「ジョウイゲダツ」で調べてたからです。

正しくは「ジョウイカタツ」。まったくもってお恥ずかしい。

確立操作というものは、恥ずかしい気持ちを少しでも減らす方向に作用するもので、さっそく同じような間違いをしている人がいないかどうかネット検索。

すると、みつかりました。

なんと、

『上意下達』の読みについて@言いたい放題「じょういげだつ」と読んでいた人が71%、「じょういかたつ」が29%だった

という調査結果まで発見。

誤学習の背景には必ずその原因があるもの。学生が間違いを繰り返すときには、自分の教材を疑え、ということですね。

blogの更新

先週の更新回数は{2}回でした。

いよいよ卒論もラストスパート。ゼミの皆さん、執筆にあたっては、わかりやすい文章を書くことを最優先して下さい。文章一つひとつをできるだけ短く書くのがコツです。

皆さんにとって、卒論は、作文技術を系統的に学べる最後のチャンスかもしれません。わかりやすい文章を書く力は就職後に必ずや役に立つ武器になります。ここでひと頑張りして作文力をつけて下さい。

ゼミ生からの質問に答え、これまで読んで、使ってみて、役に立ったという実感のある本を列挙しておきます。自分が卒論を書いた数十年前から較べると、いまや本屋には「作文技術」のトレーニング本が山と積まれています。ですから、ここに挙げた本以外にも、本屋で立ち読みしてみて「これなら」という本があれば使ってみて下さい。使えそうな本を選ぶ基準としては、(1) わかりやすく正しい文章を書くルールが明確に記述されているかどうか、(2) それぞれのルールに適合した例文と適合していない例文が豊富に掲載されているかどうか、(3) 例文の内容が自分の興味にあっているかどうかなどが考えられるでしょう。

最近では心理学のレポートや論文作成に特化した本もでているようですので、この機会に私も少し取り寄せて調べてみますね。

これは自分が卒論を書くときに読んだ本です。もはや古典です。

理科系の作文技術理科系の作文技術
木下 是雄

中央公論新社 1981-01
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これは自分が修論を書くときに参考にした本です。これも古典です(^^;;)。

短文・小論文の書き方短文・小論文の書き方
宇野 義方

有斐閣 1978-08
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これは自分が社会人になってから読んだ本です。ルールが豊富で、例文も多く、私のイチオシ本なのですが、残念ながら入手困難のようです。興味があれば研究室内で閲覧して下さい。


これは学生や院生に紹介することが多い本です。新書なので価格が手頃であること、例文が比較的簡単で練習課題が多いからですが、勧められて本を購入しただけだと練習問題をやらずに読むだけで終わる人が多く、それだとあまり効果はないようです。

日本語練習帳日本語練習帳
大野 晋

岩波書店 1999-01
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以下の2冊は作文技術に関するものではありませんが、「分かりやすさ」ということと、自分の考えを人に「伝える」ことの本質をついたガイドブックとしておすすめです。卒論も結局はコニュニケーションです。だから、常に読み手のことを念頭に置いて、配慮、工夫することが重要です。

これもかなり古い本となってしまいました。でもそのスピリットはまだ健在(使えます)。

発表の技法―計画の立て方からパソコン利用法まで発表の技法―計画の立て方からパソコン利用法まで
諏訪 邦夫

講談社 1995-12
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人に何かを伝える仕事に就くなら必読書です。そして、人に何かを伝えることが全くない仕事というのは極めて少ないですよね。

「分かりやすい表現」の技術―意図を正しく伝えるための16のルール「分かりやすい表現」の技術―意図を正しく伝えるための16のルール
藤沢 晃治

講談社 1999-03
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徳島県内の二つの養護学校に行ってきました。サマースクールに参加した先生方が研修で学んだことを実践で活かせているかどうか、事例研究を進めるのにどんな支援が必要か、サマースクールを改善することでまかなえるところはあるか、などなどを調べるためのフォローアップ訪問です。

どちらの学校でも校内に事例研究のチームがつくられていて、事例について話し合い、課題分析やABC分析をやってみて指導計画を立案し、記録にもどついて指導計画を修正したり、変更したり、達成を承認しあうというプロセスが見事なまでに運用されていました。

数年前にこの仕事を始めた頃、ケース会議などで助言をするときには、そのたびに、なぜそういうふうに考えるかをかなり詳しく話さないとわかってもらえなかったものですが、今では、ちょっとしたヒントだけで「あぁ、そういうことですか、そうですよね」とか、もっと嬉しいことには「実は、私たちもチームで話し合ったときにそういうふうに考えていたんです」なんて言われたり、「こんなのはどうでしょう?」と提案されたりもします。

コンサルテーションはフェイドアウトが最も肝心かつ困難なステップですが、そろそろ出口が見えてきた感じです。

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先週の更新回数は{3}回でした。

『行動分析学入門』の元本(“Elementary Principles of Behavior”)の最新版(5th Ed.)はタイトルも変わって“Principles of Behavior”。このペーパーバック版がAmazonにナント¥1,511で登場!

半信半疑で注文してみたら(本日到着)、学生用の用語集でした。見開きの左頁に用語と定義が章ごとに掲載され、右頁はメモ用の空欄。なんだ、そういうことですか。

こういう副教材は昔なら大学の近くのKinkosというコピー屋で販売してもらっていたもんです。ネットで売買できるようになったとは.... 時代の流れを感じました。

(他にも“Behavior Modification What It Is And How to Do It ”の同じシリーズを買ってしまったというのはここだけの話にしときましょう ^^;;)

Principles of BehaviorPrinciples of Behavior
Malott Suarez Suarez Malott

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Consultation_roleplay

大学院の「学校コンサルテーション演習」では、受講生が教育相談や巡回指導の仕事ができるようになるように、教科書に『特別支援教育を支える行動コンサルテーション』を使って方法論を学び、かつ、教員や保護者へのインタビュー、機能的分析、話し合いによる指導計画の立案などを、ロールプレイやビデオ観察などの実習によってトレーニングしています。

これまで私が関わってきた仕事のネタばらし的な授業でもあります。論文や教科書には書けなかったり書かなかったりするけど、指導が成功するためは重要な変数もあるわけで(たとえば、コンサルティである教員と話をするときに、共通理解を進めるために配慮すべきことなど)、そういう話もたくさんしてます。

個人的な経験談を授業でするのは本当は嫌いないんですが、紙に残しにくい情報もありますし、この授業だけは別格扱い。

法政大学大学院人文科学研究科の入試説明会が開催されます。

日時:2006年11月11日(土)13:00〜15:00
場所:ボアソナードタワー26階会議室A

地図はこちらから。

会場は変更される可能性もありますので、最新の情報を入試課のHPでご確認下さい。

心理学科のwebサイトはこちらです。

学部は今年が完成年度で、心理学科としての最初の卒業生を送りだします。大学院は来年度が設置2年めで、M1、M2がそろうことになります。

スタッフもみな若々しく(^^)、元気いっぱいの楽しい学科です。

心理学の基礎をしっかり学んで、それを応用し、社会に役立てることに興味がある人、法政心理の歴史を一緒につくっていきましょう!

ちなみに春入試は2月3日(土)です。

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先週の更新回数は{3}回でした。

看護士を対象としてリーダーシップ研修をやってきました。愛知県看護協会が認定している「摂食・嚥下障害看護」に特化したプログラムの一部として協力させていただいている授業で、自著『パフォーマンスマネジメント』を教科書に、職場でパフォーマンスマネジメントのプロジェクトをリーダーとして実施できるようになるというのが最終目標です。

授業時間数は3コマぶんなので時間的には厳しいのですが、受講生の皆さんがとても熱心で、事前課題(用語の定義を書き出したり、強化や弱化の例を職場で見つけたり、パフォーマンスマネジメントが必要と思われる問題について分析したり)はほぼ完璧にやってこられます。そのせいか、教員対象のサマースクールでもやってる用語ゲームでは、最初のパフォーマンス(1分間あたりの正反応数)にすでに大きな差があったりします。

大学院の「発達行動特論」という授業では、シュリンガーの『行動分析学から見た子どもの発達』を教科書に、記憶や言語、運動の発達を行動分析学から再解釈している。

この本では、ピアジェなど、発達心理学メインストリームの中心的な研究が数多く紹介され、それが行動分析学から解釈されている。異なる理論への翻訳(translation)という作業である。

受講生と私とで取り組んでいるのは、こうした文章による解釈を行動随伴性ダイアグラムに書き表わすこと。

ダイアグラムのパーツ(部品)は、弁別刺激、確立操作、行動、結果(好子出現、嫌子消失,,,etc)、条件刺激、無条件刺激、条件反応、無条件反応などに限定し、こうしたパーツだけで実験結果が説明できるようにダイアグラムを描けるかどうかが第一ステップ(描けなければ解釈が不十分か、あるいは行動分析学ではまだ同定できていないパーツがあることになる)。次に、ダイアグラムを描くことで新しい洞察を得ることが第二ステップ。さらなる実験のアイディアや研究テーマが見つかればベスト。とりあえず、今のところは各自がホワイトボードを手にしてわいわいガヤガヤやってます。

ちなみに下の図は受講生へのサンプルとして記銘・再生課題をダイアグラムにしてみたもの。自由再生がうまくできるかどうかは、記銘刺激以外の、リハーサル時にあった他の刺激をうまく再現できるかどうかにかかっているということが表現できていると自負していたけど、受講生には「わかりづらい〜」と不評でした(涙)。

Diagram_rehearsal


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