J-ABA報告(5):逆模倣とdifferential outcome

以下の発表から考えたこと。

「行動的介入は自閉症児の「発達」を促進する:共同注意、模倣、言語理解、言語表出」山本淳一・直井望・横山久美子

(すみません。敬称略です)


発達障害で無発語の子どもの音声模倣を増やすのに「逆模倣」が有効だという話はこれまで何人かの発達臨床の専門家から聞いたことがある話だったが、データをみたのは初めて(のような気がする)。

どうして逆模倣が有効なのか、そのメカニズムについてはよくわかっていないが、自分が話す声を聞くという(行動内在的な)随伴性を強調するからではないだろうか?というような解釈を山本先生がされていた。

逆模倣の効果は音声模倣だけに見られるのだろうか、それとも動作模倣でも確認できるのだろうか? 子どもが(大人も)登山をしたときに「やまびこ」を楽しむように、自分の発声を自分で聞くということが何らかの好子(もしかして生得性の)になっている可能性はあると思う。動作模倣ではそのような好子は考えにくいから、もしかすると2つのモダリティで効果が異なるのであれば、そういう可能性も高くなるかも。

もう一つ。もしかして「differential outcome」と呼ばれる現象と関係している可能性もあると思う。differential outcomeとは、刺激弁別課題において(たとえば色弁別)、正解ごとにはっきりと異なる結果を使うことで(たとえば好子の種類)、弁別が促進されるという現象である。

単純な音声模倣の強化は単一で共通の好子(褒め言葉や食事など)でやっていて、逆模倣ではそれにプラスして、模倣すべき見本刺激に一対一で対応した(強化されるオペラントごとに異なった)結果を使っている場合には、後者の方が、differential outcomeの状況になっている。模倣という行動クラス全体の自発頻度が増えることの説明にはならないが、弁別オペラントの正確さが向上する理由は解釈可能かもしれない。

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