2006年5月アーカイブ

土曜日に法政心理の「ホームカミング会」という催しがあり、メディア教育開発センターの近藤友嗣先生のお話をお聞きした。

吉村浩一先生のご講演でも紹介されていたが、近藤先生は法政心理の基礎を築かれた乾孝先生のお弟子さんで、視聴覚教育を専門に研究されている。「視聴覚教育」というと古くさい印象があるが、近藤先生のプレゼンではハリウッドのSFX映画ばりの教材が紹介され、参加者からはそのたびにどよめきや歓声が上がっていた。

「複合現実感」の教材は特に面白かった。

これは、たとえば脳の各部位を解説している教科書のページをwebカメラで撮影しながら、そのライブ画像に脳の3Dのデジタル画像を重ねて表示してしまうという仕組みだ。

教科書のページにタグが印刷してあって、webカメラとの角度を変えれば(教科書を傾けたり、遠ざけたりすると)、3Dの脳もそれにつれて動く。

文章ではうまく説明できないので、興味がある人は、近藤先生のwebサイトで実体験してみて欲しい。立方体の体積を計算する積分の学習支援システムはダウンロードして試せるようになっている。

それから、ゴーグルのような形をした透過型のモニターを使えば、まさにターミネーターの視点が手に入る。BMWの応用例も紹介されていた。工場のラインで働く人に、このようなゴーグルを装着させ、目の前にあるエンジンをゴーグルをつけて見ると、「ここを回して分解せよ」などの指示が表示されるのだ。これはスゴい!

何十年か先には、こういうシステムが日常的になり、現在のコンタクトレンズみたいなものを装着して、教室を見回すだけで「田中○○くん、○年生、出席率76%、動機づけ理論に興味あり」、「鈴木○○さん、○年生、出席率100%、臨床に興味あり」なんて、付加的情報が受講生の顔の横に文字で表示されるようになったりして。

工学的なテクノロジーの発展のスピードは、心理学的なテクノロジーの発展のスピードをはるかに凌いでしまっているなぁ、という印象でした。

blogの更新

先週の更新回数は{5}回でした。

 新しい研究室への引越がようやく完了した。女子高の校舎を大学が買い入れて改修したばかりなので、研究室の前の廊下には生徒用のロッカーがずらっと並んでいたり、トイレには小便器がなかったり、授業時間の始めと終わりを知らせるチャイムや校内放送が研究室の中にまで大音響で流れたりと、なかなかの不思議空間となっている。

 環境が変わると行動もそれにつれて変わるものだが、しばらくは戸惑いや混乱も生じる。昨日は、ふだんでは考えられないような“うっかりミス”をしてしまった。しかも2回連続で。

 新しい研究室はカードキーで入退室するようになっている。最近ではほとんどのホテルでカードキーを採用しているが、あれと同じ。ただし、専用のカードがあるわけではなく、職員証をキーとして使う。

 最初のミスは朝一番。大学に到着すると、まず珈琲をいれるのが私の日課となっている。前の研究室には部屋の中に小さな流しがあったので、そこで水を汲めた。新しい研究室には流しがないので、部屋を出て、廊下のつきあたりにあるウォータークーラーまで水を汲みに行く。

 ここまで書けば、経験のある人や察しの良いひとならピンと来るのではないだろか。

 水を汲んで帰ってくると、研究室の扉が閉まっている。職員証は部屋の中。しかも、鞄の中に入れた財布の中である。

 オートロック!

ネットで学ぶ行動分析学」は法政大学文学部心理学科の島宗研究室のゼミや各種共同研究で使っている学習支援サイトです。利用できるのはゼミ生、受講生、研修会の参加者、共同研究者などに限定されています

徳島のサマースクールでも使っている「特別支援教育のための応用行動分析学」は徳島ABA研究会コミュニティに引越しました(2010年1月)。 こちらのコースは広く一般に公開しています。ご自由にお使い下さい。ただし、現在、コースの改訂作業は中断しています。

また、PCやネットの使い方、コースの閲覧方法などについてのサポートはできません。ユーザー登録がうまくできなかったり、パスワードを忘れてログインできませんというメールをいただくこともありますが、すみません。そこまでサポートする余力がありません。

ログインできなかったり、パスワードを忘れてしまったら、新しくアカウントを作成して下さい。

自力では問題が解決できない人は、まわりの、親切な同僚、お友達、ご家族などに支援を依頼して下さい。

また、私個人がサーバーを運営している都合上、いきなりアクセスできなくなったり、正常な動作をしなくなったりすることもあります。

そういうすべての現状を受け入れて、それでも自力で使ってみたいという方は、ぜひどうぞ。

よくある問題と対処法 Q: 携帯メールアドレスで登録しましたが、登録メールが届きません。
A: 携帯メールは使えない場合が多いのでPCメールで登録して下さい。

Q: PCのメルアドで登録しましたが、登録メールが届きません。
A: 登録メールが迷惑メールに自動的に振り分けられている可能性があります。迷惑メール用のフォルダーやゴミ箱を探してみて下さい。

Q: PCのメルアドで登録しましたが、登録メールが届きません。迷惑メールフォルダやゴミ箱も探しましたがみつかりません。
A: hotmailとは相性が悪いようです。うまくいかなければ他のメルアドを使って試して下さい(yahoo!、Gmail、gooなどの無料メールやプロバイダーが用意するメルアドを使って下さい)。

Q: 複数のPCのメルアドを使って登録しましたが、どのメルアドにも登録メールが届きません。
A: サーバーが不調で登録メールアドレスの送信が遅れる場合があります。しばらく待って(最長で1週間)、それでも届かなければ再度登録してみて下さい。

Q: 登録メールにあるURLをクリックしましたが「Invalid confirmation data」というエラーメッセージが表示され、アカウントを確定できません。
A: 確認メールの有効期限が切れている可能性が高いです。再登録して下さい。

Q: パスワードやIDを忘れてしまいました。
A: 新規に再登録して下さい。

実験室のドアと準備室のドア。

Door1_1
Door2

取っ手の形がほとんど同一なのに、片方は引き戸で、片方は押し戸。

だから押すべきところを引いたり、引くべきところを押したりして、1ヶ月以上過ぎたのに弁別学習が進まない。

押し戸には「青いシール」、引き戸には「赤いシール」のように、弁別刺激を追加してやろかと思って、もう一度よく観察したら、取っ手は同じだけど扉の重なり具合が違うことがわかった。

赤い四角で囲んだところをよく見ると、引き戸は反対側の扉が奥に入り込んでいるし、押し戸は反対側の扉が手前に来ている。

Door3

そうか、取っ手ばかりを見ていて、弁別刺激として機能するところを見ていなかったんだ。

「発見」というのは、こういうことかもしれません。

さて、これで弁別学習が進むかどうか.... しばらく様子見。

トラックバックスパムがあまりに多くてもう絶えられません (−−”)。

もともとトラックバックが頻繁につくブログではないので、受付後の初期状態を「非公開」とすることにしました。読んでみて、内容があるトラックバックだけ公開します。

ココログの場合、受付後の初期状態はコメントとトラックバックで別々に設定できないので、コメントも同様になります。

なので、コメントを書いていただいても、これまで通りにすぐには表示されませんので、ご注意下さい。数時間から数日たっても表示されなければ....たぶん私の怠慢です (^^;;)。

ニフティさん、もうちょっと頑張ってくらはい。

とても嬉しい知らせが届いた。

竹田さんが修士論文で開発した自閉症児の保護者のためのペアレントトレーニングが国府養護学校で継続して実施されるという。

竹田さんは、大学院修了後、4月から別の養護学校に異動となった。開発者がいなくなってしまった学校で果たしてプログラムが継続されるかどうか、つまりプログラムが“維持”されるかどうかが焦点になっていたのだが、喜馬先生・森住先生をはじめとする小学部の先生たち、そして校長先生・教頭先生たちのご尽力で、継続実施が決定された。

ところで世の中では「アクションリサーチ」というのが流行のようである。

教育改善、学校改善のためには、机上の理論をいくらこねくりまわしても意味はなく、実践場面での応用研究が重要であることには疑問の余地がない。

なにしろ応用行動分析学はずっと最初からアクションリサーチだ。

でも、それだけでは教育・学校改善は進まない(進みにくい)。ほんとうに必要なのは「リサーチにもとづいたアクション」なのだから。

鍵は、先生たちが、何か特別な「研究枠」として活動するのでは、日常の指導にリサーチにもとづいた指導を取り入れていくことである。

竹田さんの修論では、ペアレントトレーニングの開発段階から校内スタッフによる実施まで、周到に計画された開発計画によってコトを進めたが、とりあえず1年後の維持は成功したことになる。

おめでとうございます。

これが今後も継続して実施され、ひいては日本全国の養護学校で、児童・生徒とその保護者に対する支援サービスとして普及し、定着していくことを期待しながら見守ります。

blogの更新

先週の更新回数は{4}回でした。

またしてものgoogle本。「グーグル-Google 既存のビジネスを破壊する」と内容としてはカブってるけど、この本の中ではgoogleが仮定している「不特定多数無限大への信頼」ってのが面白かった。

著者の梅田望夫氏が例示するように、確かにlinuxやfirefoxなど、オープンソースという不特定多数によるネット上のコラボレーションの成功例は見逃せない時代の変化だと思う。ウィキペディア(Wikipedia)の正確さが、ブリタニカとそれほど遜色ないことを示した研究も紹介されているが、「不特定多数無限大」を信頼できるかどうかというのは実証的な問いであって、答えはデータで示されるべきだろう。

個人的には「不特定多数無限大」から信頼できる行動を引きだすための環境要因の同定に興味を持った(逆説的にはどんな条件のときに信頼できなくなるかということ)。

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まるウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる
梅田 望夫

筑摩書房 2006-02-07
売り上げランキング :

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

徳島で開催されるサマースクール「特別支援教育のための応用行動分析」の募集要項が徳島ABA研究会のHPに公開されました。

この研修会は、(1) ネットによる事前学習、(2) 夏休み中の短期集中研修(2日間)、(3) 9月から各学校で実施する事例研究、から構成されますが、(1)と(2)だけの参加も可能です。

毎年恒例で、わりと早い時期に満員御礼となっていますので、参加希望の方には早めの申込をお勧めします。

私もアドバイザーとして参加します。

ブログ仲間の奥田健次先生(桜花学園大学)が子どもの心・体と環境を考える会で講演をされるそうです。

第4回テーマ別研究会<テーマ>学童・思春期の問題と不登校はこう解決する!
日 時:2006年6月24日(土)13:00〜16:30
参加費:正会員2,000円、学生会員1,000円、非会員6,000円
場 所:国立成育医療センター研究所

奥田先生は『特別支援教育を支える行動コンサルテーション−連携と協働を実現するためのシステムと技法 』でも再登校指導の事例研究を紹介されていますが、今回のお話は不登校になる前に“予防”しましょうというところがミソですね。興味がある人はぜひ参加してみて下さい。

演習I、研究法I、障害児心理特論の受講生の皆さんにはボーナスポイント獲得の機会とします。

研究会のより詳しい情報はこちらから。

blogの更新

先週の更新回数は{4}回でした。

10年ぶりに東京へ戻って驚かされたことの一つが電車で化粧する女性たちだ。マスコミ報道で存在は知っていたけど、読むと聞くとでは大違い。目の前で繰り広げられる彼女たちのふるまいに、戸惑い、恥ずかしさ、そして大きな興味を抱いた。

じろじろ見ては失礼だと思いながらも、その器用さと手際の良さに感動してしまい、ついつい観察してしまう。けっこう揺れているのに眉とかしっかり描いてるし、電車の中で化粧しやすいようにバッグから容器まで装備もいろいろ工夫していそうである。そうやって観察してよくわかった。あの人たちはコンパクトを見るのに忙しから、回りからじろじろ見られても気がつかないか、気にしていないのだ。

週刊誌の記事などからは女子コーセーなど若年層が多いという印象を受けていたが、三十代・四十代の女性もいらっしゃる。必ずしも単純に「世代」による現象とは言えないようだ。

彼女たちはなぜ電車で化粧をするのだろうか?

卒論で因子分析をするのに数学も統計も苦手で、論文読んでもチンプンカンプンですという学生さんには、これまでこの本を奨めていた。数学アレルギーで数式とかはわからなくても多変量解析を概念的に理解できる良書である。

複雑さに挑む科学―多変量解析入門複雑さに挑む科学―多変量解析入門
柳井 晴夫

講談社 1976-01
売り上げランキング : 40,446
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

ただ、私が学部生のときにお世話になった本でもあり、取り上げられている例は「時代」を感じさせる。もう少し新しい本はないかなと探していたら、この本が見つかった。

誰も教えてくれなかった因子分析−数式が絶対に出てこない因子分析入門誰も教えてくれなかった因子分析
―数式が絶対に出てこない因子分析入門

松尾 太加志 中村 知靖

北大路書房 2002-05
売り上げランキング : 5,030
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

卒論などで因子分析を勉強しなくてはならない学生(しかも統計は苦手で数式なんか見たくもない)を想定して書かれているので、ほんとに数式がでてこない。

論文を読んで他の人がやった分析を解釈するだけなら1章だけでも充分。3章も読んでおけば完璧。まず、こっちの本を読んで、どうしてもわからなければ上記の本を読むという順番でもいいかもしれません。

ちなみに著者の一人の中村知靖先生(九州大学)は上の本の著者である柳井晴夫先生のお弟子さんで、私とは千葉大学で同期だったりするのです。

新聞各紙が取り上げた「UFOは存在しない」というニュース。日経も「UFOは存在しない・英国防省が報告書」なんて断言しちゃって、タイゾー議員まで「残念ですね。夢がないですね。」なんて失望してます。

でも、ご心配なく。おかしいなぁ、そんなバカなことないよなってgoogleニュースのu.k.版で検索したら、存在を否定しているのは宇宙人とか“空飛ぶ円盤”とかそれらによる地球侵略の恐れで、UFOそのものではありませんから(たとえばBBCの記事はここを参照)。

そもそも「UFO」というのは"Unidentified Flying Object"または"Unknown Flying Object"--つまり「未確認飛行物体」のこと。レーダーに映ったり、目撃情報があったけど、飛行申請などがなかったりして、どこの誰だか(何だか)わからないものは、すべてUFOなんです。UFOの存在を否定しちゃうということは、未確認飛行物体はすべて確認できちゃいましたってことで、そしたらそもそも未確認じゃないわけだから、この言葉自体が成り立たない(このへんの話はこの本にわかりやすく書かれています)。だから変だなぁと思って元のニュースをあたってみたわけです。

日本の新聞社が不正確な報道をしたということですね(面白おかしく書こうとしたのかな)。

今回マル秘扱いが解除され、近々公開されるという英国国防省の報告書には“空飛ぶ円盤”みたいなものが知覚される現象が、気象条件や電波、磁場などの条件で、「超」がつかない自然現象として生じることが、ある程度科学的に解き明かされているようです。

これこそ“空飛ぶ円盤”の謎に迫る、科学的で夢ある探求だと私なんかは思いますね。

これは面白い! ネットユーザーにとっては欠かせなくなったGoogleだが、単なる検索エンジン会社ではなく、既存のビジネスに取って代わって新しいビジネスモデルを作りだし、さらに我々の行動を管理する権力ともなりうる存在として、本書の著者は警鐘をならしている。

Googleの主な収入源となっているキーワード検索をベースにした広告は、行動分析学からすると見事なまでに個別化された確立操作である。新聞や雑誌、テレビにしても、読者や視聴者が、潜在的に欲しいと思っているモノやサービスの広告が、それを欲しいときに提示されるというわけではない。こうした広告はあくまでマス(大量に)情報を流し、たまたま確立操作が聞いている購買者がひっかかるのを期待しているわけだ。

ところがキーワード検索をベースにした広告なら、すでに検索しているキーワードから、その人がその時点で何を探しているのか(つまり何が好子になっているか)という情報が得られているから、最も効果的な広告が打てる。そして、そうした個別化にかかるコストはマスベースの広告に比べると微々たるものである(これこそがIT化の成果として、本当ならプラスにとらえたいところだ)。

Amazonのお奨めサービスのように、ユーザーの購入履歴やブラウズ履歴から、より一層ポイントを絞った広告も打てる。

著者はGoogleが提供するサービスの革新性は評価しながらも、あまりに巨大化し、ネット独占率が高い一民間企業が、たとえば中国政府や米国政府による圧力に屈すことのリスクを訴えている。

一国の政府が国民の行動を管理しようとする時には法律や規制によって明示的なルールをつくるのが普通である。だから国民はそれが意に反していれば反対を意思表明できる。

ところが一民間企業であるGoogleには、どんな確立操作が効いている個人にどんな情報を与え、どんな検索結果を返すかという随伴性について開示する義務がない(というか、このアルゴリズムこそが知的財産であるので秘匿するのが常識だ)。

ある意味で、ネット検索しているときの随伴性はGoogle(や他のwebサービス会社によって)コントロールされているのであり、随伴性形成的に、個人個人の行動が強化、弱化、消去され、シェイピングされていくことだってありうる。となれば、まさに映画『マトリクス』の世界である。

我々は賢いユーザーとして、我々の行動の一部がそうした随伴性によって影響を受けることを知り、随伴性をいじっている会社や個人の行動を監視して、必要であれば声を上げていかねばらないないと思った。

blogの更新

先週の更新回数は{3}回でした。

 某英会話スクールのテレビコマーシャル。リメイクされる邦画「日本沈没」とのタイアップらしく、日本人全員が国外退去を命じられ、それまで英会話など興味がなかった男性が「○○○○、行っときゃよかったな」とつぶやく。メッセージは「日本が沈む前に」。日本を沈没させなければならないほど、日本人の英会話への動機づけが低いということだろうか。

 おりしも公立小学校に英語の授業が正式に導入されようとしていて、これには反対意見もかまびすしい。元々は、国際舞台で活躍する日本人を増やそうという政府の国策にもとづくカリキュラム改革のようだが、推進派・反対派どちらの意見も妥当なわりに確たる根拠があるわけではないように見える。

教育における問題を解決するために研究情報の流通改革を!をスローガンに始めたコラボレーションネットワーク(略称“コラボネット”)。実践で使えるように読みやすく加工した研究情報を、インターネットを使って全国からアクセスしやすく提供する試みも、立ち上げてからアッという間に8年の歳月が流れました。

最初は大学から学校への一方向を想定していたのですが、すぐにその限界に気づき、学校の先生方と協働で問題解決に取り組み、その結果をコラボネット上で公開していくという形式に進化していきました。

法政大学に異動したこともあり、コラボネットで私が管理運営していたコンテンツは、新しく立ち上げた『WorkItOut!:行動分析学で問題解決』というサイトへ引き継くことにしました。ご面倒をおかけしますが、教材データベースなどを引き続きご利用頂ける場合には、新サイトで再度ご利用登録をお願いします(会員情報は引き継げませんので)。

徳島の学校で先生たちが過去3年間取り組んできた113の事例研究も同時に公開します(WorkItOut!の「コンテンツ」からアクセスできます)。

Work It Out -ワーク・イット・アウト-とは「何とかしちゃう」という意味の英語です。新しいサイトでは、行動分析学を使って社会の問題を解決していくことに焦点を絞って、皆さまのお役に立てる情報を提供していきたいと考えています。今後ともよろしくお願いします。

学生に相関関係と因果関係の分析の違いを教えるのに使えそうな本。

タイトルにあるように「サザエさん」の視聴率とTOPIX(東証株価指数)の間には-.86の相関があるらしい*、これは、

「サザエさん」の視聴率が高い時は株価が下落し、逆に視聴率が低い時には株価が上昇する傾向がある(p.18)

ということである。

これが相関関係の記述。

ところが、これは(あたりまえだけど)、みんなが「サザエさんを」観れば景気が悪くなり、観なければ景気が良くなるということではない。相関関係はそのまま因果関係を示すわけではないからだ。

ちなみに本書の著者は、景気が良くなると外食や外出が多くなるから日曜の夕方に自宅で「サザエさん」を観る人は減るはずだし、景気が悪くなると逆に自宅でゆっくりして「サザエさん」を見る人が増えるからではないか?と“解釈”している。

妥当そうな解釈ではあるが、このままではただの仮説である。「〜すると〜になる」と結論するのであれば、因果関係を実証しなくてはならない。

他にも、たとえば障害者雇用率の高い企業は業績がいいとか、女性を活用している企業の株価は高いとか、様々な相関関係が紹介されててたいへん興味深い。興味深いのだが、それは障害者雇用率とか女性労働者の比率から株価がある程度予測できることがわかるから。株価が低い企業は障害者や女性を雇用すれば株価が上がるということがわかったからではない。

相関関係を因果関係と取り違えて介入すると失敗することもある(たぶん失敗する可能性が高い)。相関関係には行動の予測には使えるが、制御には使えないことも多いからだ。

もちろん相関関係に価値がないというわけでない。投資家にとっては株価の予測(これも投資家の行動の予測である)ができればいいわけで、そのためには相関関係がわかるだけでも充分である。ところが経営者にとっては、相関関係だけでは不十分であり、因果関係を知ることが必須になる。

学生さんたちへ > 研究からわかることの効用範囲をよく理解しておきましょう。


*統計処理の妥当性の議論については保留。本書には面白い相関関係が多数掲載されているが、相関に限らず、統計処理というものはpost hocにいろいろやれば、どこかで統計的には有意な関係がでてしまうものである。


サザエさんと株価の関係―行動ファイナンス入門サザエさんと株価の関係―行動ファイナンス入門
吉野 貴晶

新潮社 2006-02
売り上げランキング :

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

blogの更新

先週の更新回数は{4}回でした。

アーカイブ

法政心理ネット