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さらば徳島

Goodbytokushima

11年前。トラック1台に荷物をぎゅうぎゅうに積み込んで、不安と期待で到着した徳島港。同じフェリーに同じような気持ちで乗り込んで、東京に向けて出発です。

鳴門教育大学では、学校教育における問題を解決するための思考力やコミュニケーションをテーマにして、現場の先生たちと一緒に数々のプロジェクトに取り組みました。

協力的な学校と熱心な先生たちに恵まれたおかげで、特別支援教育というジャンルには限定されますが、一人ひとりの児童生徒への指導の改善、学校全体での専門性向上、そして県レベルでの研修体制への確立と、とても充実した研究生活を送ることができました。

いずれ何らかの形でこうしたプロジェクトを総括することになると思いますが、一言で言えば、「学校は(教育は)改善できる」ということになると思います。そしてそれはカリキュラムの改訂とか、法律の改訂とか、教員の“自覚”をうながす研修によってではなく、改善に必要な問題解決的思考とコミュニケーションの方法を、直接、先生たちの日常的な指導の場面で教えることで実現するということです。

もちろん、こういう改善には時間がかかります。企業ならトップダウンで半年でできそうなことでも、学校という組織では、教員や管理職の先生たちや保護者の合意を得ながら、かつ、事例研究を積み重ねながら、数年単位の継続が必要になります。11年前の若かりし頃なら私もすぐにあきらめてしまって「学校は変わらない」と早々に結論づけてしまったかもしれませんが、今は違います。時間はかかりますし、学校や教育業界特有の文化とか風土にあわせる工夫が必要ですが、継続すれば、学校は変われます。

徳島を去るにあたって唯一心掛かりなのが、私がこれまでやってきた仕事を引き継いでくれる人材を大学で採用する人事が実現しなかったことです。力不足を実感しました。

米国には“working Ph.D.”という概念があります。Ph.D.とは博士号のことです。通常、博士号まで取得した人は研究者や大学での教職に就く人が多いわけですが、“working Ph.D.”はそれよりも研究成果を実践(実現)していくことに興味を持ち、生業としていく人たちです。所属が大学ならセンター、地域なら行政や療育センターなどに所属することが多いです。

私見ですが、鳴門教育大学のような大学(地域で教育に特化する大学)では、“working Ph.D.”を採用し、地域の学校や行政と連携して、教育サービスの改善に貢献すべきだと思います。私が徳島で関わってきたプロジェクトの多くから、そうした連携がとても有効だし、必要とされていることが分かったからです。

大学での雇用が難しいなら、地域で採用することも考えるべきだと思います。教育委員会や教育センター/療育センター、発達支援センターなどに、そのような専門家を配置することが、学校や教育を改善していく早道かもしれません。

大学での引き継ぎができないため、徳島でのプロジェクトは、地域の大学から専門的支援が得られない場合にどうすれば改善のための活動が維持できるか?というところに研究の視点が移行します。これはこれで、もちろん重要なテーマです。だから、どうなっていくか楽しみと不安が、これに関しては8:2くらいです。

お世話になった皆さま、ほんとうにありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします。

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先日、奈良県の「関大セミナーハウス」にて、エンカウンターの合宿があり、そこへ鳴門教育の院生が2人ほど来ていました。その方から、島宗先生が移動になると聞いて、その時は何かの間違いだろうと思っていましたが、どうやら本当のようですね・・・。小生は島宗先生が居るので、鳴門を受けようと考えたこともありました(どこへ行かれるのか、また教えて下されば幸いです)。
&奥田・久野・井上・島宗の各ご先生方のブログは、ほぼ毎日欠かさず目を通しております。
これからもよろしくお願い致します。頓首
PS小生は今春から(やっと?)院生です。しかも過疎地にある・・・。

島宗先生の鳴門でのシステムは確実に根付いていっているように思います。

 同じ「教育大」から離れてしまわれることは非常に寂しいですが、先生の新天地でのご活躍をお祈りいたします。

 私も13年半前、ジムニー一台分の荷物のみで着任したことを思い出しました。

wundt 1879さん

 過疎地?どこだろ? 私はお堀と何かと話題の神社の間に引越しました。久野先生もブログを書かれているんですね、おかげさまでお気に入りがまた一つ増えました。

井上先生

 「教育大」から離れてしまうことは私もとても寂しいです。でも、情報系のセンター所属でできることはかなりやってしまった気もします。教員養成課程をしっかりやるべき講座所属ならまた少し話も違っていたかもしれません....(行動分析家で固めた教員養成講座をつくるという夢は他の人に託すか、来世に期待することになりそうです)

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