2005年2月アーカイブ

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自閉症の特性として「注意の範囲が狭い」「シングルフォーカス」「見通しがきかない」などが上げられることがある。

これって、どんな感覚なんだろう? って想像してみた。たとえば、雨や霧で視界が悪いときに時速60kmで運転をしていると、ふだん100m先まで見えるのが、十数メートル先しか見えなくなったりする。もちろん、怖くてスピードを下げる。次に何が起こるのかわからないのはとても不安な状況である。

霧の中の運転みたいな状況をもっと安全で楽しく作りだせないか?と考えるうちに、そうだ「テトリス」はどうだろう?と思いついた。「テトリス」のようなゲームだと、先行きの見通しが苦手だとうまくプレイできない。だから、もしかして自閉症の子どもたちは「テトリス」が不得意ではないだろうか?  それでも、即時強化があるTVゲームやパターン化した型はめみたいなのは好きな子どもたちも多いから、もしかしたら「先を読む」行動の学習教材として利用できるんじゃないかな? なんて思ってネットサーフィンしていた。

すると自閉症児のお父さんのサイトで、テトリスが得意なお子さんがいることがわかった。学習教材として使える可能性が確認できた。

ところが、同時にとんでもない情報もどんどん見つかった。曰く「ゲームで自閉症になる」という話。

どうやら「ゲーム脳」というコンセプトで話題になった日大の森昭雄氏の発言があちこちで取り上げられていて、「ゲームで自閉症になる」もその一つのようだ。

もちろん、これはありえないトンデモ説。この件に対する日本自閉症協会東京都支部のコメントがこちらに掲載されている。

森氏は講演などで、テトリスはロシア(旧ソ連)で兵隊の(殺人)訓練のために開発されたゲームであるとも発言しているらしい。

え〜まじで? そんなことがホントで暴露しちゃったら、旧KGBに暗殺されちゃうのでは?と心配しながら、ネットでいろいろ調べたが、そんな話はみつからない。ちなみに開発者の一人による解説はこちら

ゲイムマンのコラム“トンデモ”という言葉を世に広めた「と学会」の定義によると、“トンデモ本”というのは、「著者が意図したものとは異なる視点から楽しめるもの」、具体的に言うと、「著者の大ボケや、無知、カン違い、妄想などにより、常識とはかけ離れたおかしな内容になってしまった本」のこと。
である。

2年前、岡山大学の長谷川先生をお招きして「論理的思考講座:トンデモ世界のリテラシー」なるものを開催したことがある。トンデモ世界に惑わされずに本質を見抜くための論理的思考を身につけましょうというのが狙いの講座であった。長谷川先生の講演はこちらから。

ちなみに「ゲーム脳」関係について、批判的な情報はこちらのサイトで閲覧できる。このサイトにも散見されるように、世の中の多くの人は、大学の先生や「医学博士」が言っていることに間違いはないだろうと、素朴に信じてしまう傾向になる。

自分もこのweb日記で新たなトンデモ説を作りだしたりしないように注意したいと思う。

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ドッグトレーニングのためのこんな装置がオンライン販売されているらしい。

説明書には「正の強化を使って飼い犬のしつけを楽しくしましょう」とある。

トレーニングプログラムのDVDが付属。犬飼ってたら試してみたくなりそうな一品です。

ごまひげ船長こと、西南女学院大学の服巻繁先生が、PECSやTEACCHの構造化の手法を導入している学校への訪問レポートを日記の形式で公開されています(Captain's Cabin)。


PECSについては、カードを使ったコミュニケーションから始めることで発話によるコミュニケーションがどの程度促進できるのかとか、発話にまでは至らなかった場合、カードだけでどこまで複雑な言語行動を教えられるか、つまり、イントラバーバルを増やしていくことで「思考」まで教えられるのか、その場合は手元にカードがなくても頭の中でカードを思い浮かべるなどして「思考」できるようになるのかなどなど、まだ明らかになっていないことで面白そうなことがたくさんあります。

米国では学校全体でPECSを使っているところもありますし、ごまひげ船長先生の今後の報告や日本での活動に期待がかかります。

日本の大学生の43.5%、高校生の45.9%がイラクの地理的な位置がわからないらしい。米国についても大学生の3.1%、高校生の7.2%が誤答し、中には「中国」と間違えた回答もあったという(日経新聞, 2005.2.23)。

残念ながら、この調査を行なった日本地理学会のHPには関連する情報が公開されていなかった。よって、誰にどんな調査を行なったのかは不明であるが、10年以上前に米国の大学に留学していたときに、ルームメイトのタイ人留学生が「信じられない!」と言って見せてくれた、大学の地理の教科書を思い出した。

そこには(たしか) "Africa is not a country". と書いてあったのだ。日本もいよいよアメリカ並みだ。

ところで、上記の学会の専門委は「高校の地理歴史では世界史だけが必修で、高校生の半分が地理を学んでいない。このため歴史と地理とをバランスよく学ばせることが大事だ」と訴えているそうである。イラクやアメリカの位置なんて中学までに学ぶのかと思っていたので違和感を覚えた。

どうも教科教育関係のこうした報告や提言は、少なくとも外野からみているかぎり、授業時間数やそれによる教員数の確保のような「縄張り争い」に見えてしまう。現行の時間割で教材や指導方法を工夫すると「これだけ教えられます」といった報告には興味が持てるのだが....

昨年、神戸で開催された世界行動療法認知療法学会で、ADHDをもった成人への薬物療法と認知療法に関するワークショップをお手伝いしました。その準備のために読んだ本の1冊です。

医学的な話は難しく、敬遠する人も多いかもしれませんが、ADHDをもった児童・生徒への介入は、薬物療法と行動療法の組み合わせが最も効果的であるというのが、現時点での一般的見解です。

本書では両者についてわかりやすくまとめられていますのでお薦めです。

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来る2/27(日)に行われる附属養護学校の「表現会」の練習を観察してきた。小学部の3つの組が、それぞれ舞台に上がって、予行練習をしていた。

この種の行事や集団行動が苦手な子どもたちも、各自が取り組める、そしてなおかつ楽しめそうな役割を、先生方がよく考えて工夫している様子がみてとれた。

例によって例のごとく、いろいろなことを考えさせられたが、そのうちの一つ:こうした活動を学校の想い出として、子どもたちが後から振り返ることができるように教えるにはどうすればよいのだろうか? いうなれば想い出にひたる行動の下位行動の分析だ。

たとえば、表現会の舞台を撮影した写真を見て、
・「3年生のとき」とか「7匹のこぶたしたよ」とか言う。
・「これボク」とか「これ○○ちゃん」とか「あ、猪子先生だ」と、指差しながら言う。
・「体育館寒かった」とか「お母さんがみにきた」とか言う。
などの行動はおそらく練習すればできるようになる子どももいるはずだ。

発話が苦手な子どもでも、
・写真の中の自分を指差す。
・自分たちの写っている写真とそうでない写真を区別する。
・自分たちの写っている写真を物語の順番に並べる。
・自分たちのアルバムをときどき見る(絵本と同じように選択肢に用意しておく)。
などの行動は教えられるのではないだろうか?

子どもの頃の楽しい想い出は人生を豊かにする。想い出づくりを支援する指導法の開発にはそういう価値がある思う。

日本の食料自給率は40%? それとも70%?

日経新聞(2005.2.21)によれば「どちらも正解」。40%はカロリー換算、70%は金額換算で、野菜や果物など値段は高くてもカロリーが低い国内産の食料があるために、これだけの開きがでるという。

他にも、「保育園の待機児童数」や「国民年金保険の納付率」を例に上げ、政策決定の基本となるデータが意図的に歪められていることがある可能性を指摘している。

どの統計も物事の一面でしかない。しかも、作成者の意図が隠されている場合もある。利用者は絶えず行間を読む姿勢が必要だ

という主張にまったく賛成する。

日曜のテレビ番組で中山文科相が、総合学習の時間の活用の仕方を見直すと発言していた。どうやら廃止にはしないらしい。

総合学習の時間という時間割の問題は、そこで何を教えるべきかという指導目標についてのスタンダードがないことだと思う。小中学校の段階で、各教科単独では確かに教えにくく(教えられないわけではないと思うけど)、横断的な教材や活動の方が教えやすいことは確かにあると思う。

上のような「統計のウソ」を見破るための思考などはその一つだろう。

体験学習のように、どんな活動をするのかといった指導方法の見直しではなく、いま子どもたちに何を教えるべきかという、指導目標の検討をお願いしたい。

システムエンジニアやプログラマーの人には論理的で聡明な人が多いと思う。
だが、それゆえに、ときどき、考えすぎのようなソフトウエアの機能にお目にかかったりする。

自分はEGWordというワープロソフトを使っているのだが、今回とある原稿を執筆するために初めて「縦書き」モードを使っている。それで驚いたのは、原稿レイアウトを縦書きにすると日本語変換ソフト(EGBridge)の変換キーもそれに応じて縦横が変わってしまうことだ。

たとえば、ひらがな入力して漢字に変換する範囲を決めるのに、通常の横書きモードでは横方向のカーソルキーを使うわけだが、縦書きにするとこれが縦方向のカーソルキーになってしまう。確定も下キーだったのが左キーになる。

egbridgetate

論理的にはこれで正解だろうが、使用感はめちゃくちゃ悪い。誤動作・誤変換の連続で、学習能力のある辞書だからアホ変換をたくさんするようになってしまった。

さっそくエルゴソフトのカスタマーサポートに相談したところ、縦書きでも横書きと同じ変換キー操作を実現するためには「キー割当ツール」を使って自分で設定しないとならないらしい。

同じような問題を抱える人はおそらく私以外にもいるだろうから、ぜひデフォルトでキー設定を選べるようにして欲しいものだ。

アタマで論理的に設計しただけでは不十分で、テストユーザーを使って人がいかに論理的には行動しないときがあること、そしてそれを製品の品質向上に活かして行くことが大切かを示す一例だと思う。

「考えすぎ」のもう一例。今、ちまたで話題の一太郎のヘルプ機能。特許かどうかは別として、はたして実際に使っている人がどれだけいるのだろうか....

脳と行動

先日の鳴門教育大学附属養護学校の研究発表会では、「自閉症」についてあらためて考えさせられることがいろいろあった。あまりにいろいろあったので、まとめて時間をとって、じっくり考えて文章にすることにし、来年度のプロジェクトリストに追加した。

いろいろなことのうちの一つ。

自閉症の原因は脳の器質的な障害にあると言われている。その原因は遺伝や妊娠・出産時の母体環境などさまざまであり、特定されていない。そこまでは納得できるのだが、脳の器質的な障害と脳の機能的な障害、そしてそれとあたかも一対一で対応しているかのように考えられている行動的な特徴との関係はどうにも納得できないことが多い。

たとえば、「心の理論」で指摘されるように、自閉症を持った人たちは他人の気持ちを読み取ることが苦手であると言われている。「マインドブラインドネス」などとも言われる。

fMRIやPETなど、ある行動をしているときに脳の中のどの部位が活性化しているか調べる装置が開発されてきて、たとえば、他者の気持ちを読み取る課題をしているときには、前頭葉の部位が活性化することがわかったりする。そして、同じような装置で、自閉症を持った人たちの脳の活動を観察すると、前頭葉の部位の活動が健常の人に比べて低いことがわかったりする。

しかしながら、そのことから、自閉症の人たちは前頭葉の部位に障害があるために他者の気持ちを読み取りにくくなっていると結論するのはあまりに短絡的というか、少なくとも早計なように感じる。

もしかしたら、「他者の気持ちを読み取る」ことが学習されるにつれて、前頭葉のある部位が活性化していくのかもしれない。そして自閉症のもっと根本的な障害(たとえば感覚過敏。そして刺激の過剰選択性から推測される注意の狭さなど)から、そうした学習が起こることが妨害される可能性はないのだろうか。

神経生理学的な事実と、行動の事実とを結びつけるキーワードは「学習」である。自閉症の人たちがみせる一見不思議な行動と彼らの脳の間には、自閉症ゆえに生じる独特の「学習」があるように思う。それをひもとくのが行動分析家の役目かもしれない。

数年前から The Behavior Analyst Today というニューズレターをオンラインで発行していた BEHAVIOR ANALYST ONLINE.ORG から、行動コンサルテーションを専門とする、新しいオンラインジャーナルが発刊された。

ジャーナルの名称は The International Journal of Behavioral Consultation and Therapy 。第1巻が上記のwebサイトからダウンロードできる。

編集者の巻頭コメントを引用しておこう。

The International Journal of Behavioral Consultation and Therapy (IJBCT), is published quarterly by Joseph Cautilli. IJBCT is an online, electronic publication of general circulation to the scientific community. IJBCT's mission is to provide a focused view of behavioral consultation and therapy for the general behavioral intervention community. Additionally, IJBCT hopes to highlight the importance of conducting clinical research from a strong theoretical base. IJBCT areas of interest include, but are not limited to: Clinical Behavior Analysis, Behavioral Therapy, Behavioral Consultation, Organizational Behavior Management, Human Performance Technology, and Cognitive Behavior Therapy. IJBCT is an independent publication and is in no way affiliated with any other publications.

行動分析学をベースにした、心理臨床、行動療法、行動コンサルテーション、組織行動マネジメント、人間工学、認知行動療法など、幅広い領域をカバーしながらも「コンサルテーション」に焦点を絞ったジャーナルになるようで、期待できそうだ。

ちなみに上記webサイトでは、この雑誌の他にも、The Journal of Early and Intensive Behavior Intervention という、低年齢期の集中的行動療育に関するオンラインジャーナルも発行している。

ここ数年《いかに仕事を断るか》をセルフマネジメントのテーマの一つにしている。

「やります」と引き受ける行動は相手からの感謝などで即座に強化される。特に教育業界ではそれが「人助け」みたいな社会的な善行につながっているところがあるから。心意気のある人ほど、この強化随伴性の餌食になる。「頼まれた仕事は断らない」をポリシーにしている人までいるのも納得できる。

ところが、引き受けた仕事を「最後までやり通す」行動には「引き受ける」行動の1000倍以上の時間と労力を要すものだ。講演ならまだしも(とりあえずは1回で終わるから)、執筆とか論文の査読とか、修論の指導とかになると、引き受けた瞬間に後悔し始める人も少なくないはず。

自分の場合は、引き受けた仕事が約束通りに終わらないことは死ぬほど辛いから、約束通りに終えられるぶんしか引き受けないようにしているわけだが、「言うは易し行うは難し」の典型例みたいなもんで、これを貫き通すのはとても難しい。ときどき衝動的に、後悔しそうな仕事を引き受けてしまうことがある。

今回「しまった!」と思ったのは、ある研究奨励金の審査員を引き受けたこと。研究計画書(英文)を4本査読しなくてはならない。

〆切が近づいてきて、少し悲痛な思いで読み始めたら、これが予想を覆して面白い。4本ともパフォーマンスマネジメントの研究なのだが、テロ対策とか、パソコンを長時間使っても腰痛や腱鞘炎にならないようにする介入とか、リアルタイムのビデオフィードバックとか、面白いアイディアが満載で楽しめる。一気に読んで、一気にコメントを書き終えてしまった。

こういう部分強化モドキがあるから、安易に仕事を引き受ける行動が完全にはなくならないんだろうなぁ。

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『社会性とコミュニケーションを育てる自閉症療育』Kathleen Ann Quill【編】安達 潤・笹野 京子 ・内田 彰夫 【訳】松柏社 2004(改訂版第3刷)

木曜に予定されている附属養護学校研究発表会の分科会で助言をするために、このところ、今話題の「ソーシャルストーリー」について勉強している。

「ソーシャルストーリー」とは、自閉症児が社会的な状況を理解できるように、実践家のキャロル・グレイという人が工夫して築き上げた手法で、高機能自閉症児やアスペルガー障害をもった、いわゆる軽度発達障害の子どもたちに、彼らが気づきにくい、あるいは誤解しがちな約束事や習慣、状況などを、紙芝居的に(視覚的に)わかりやすく伝える方法である。

この本の第9章にはグレイが執筆した「社会的状況の「読みとり」を自閉症の子どもたちに教える」が掲載されている。

今回は、電子図書館などを駆使して、ソーシャルストーリーの効果を検討した、実証的な研究を探してみた。少しずつではあるが、ABAB法や多層ベースラインなど、ある程度の実験計画を組んだ研究も発表されている。ただし、効果はあったり、なかったり。とりあえず限定的に効果があると言うべきかもしれない。

日本でも実践家を中心に「ブーム」になっているようだが、大学に勤める研究者の役割は、たとえ「ブーム」であれど、少なくともそれを知っておき、その上で、どんな子どもに、どれだけ有効なのか、あるいはどんな眼界があるのか実証的な研究を進めて、それを実践家と共有していくことだと思う。

そのうち徳島ABA研究会でも情報提供しようと思います。

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AAMR(アメリカ精神遅滞学会)が刊行している人気シリーズ「リサーチから現場へ」の日本語翻訳版、第3段め。

PBS(Positive Behavior Support)の枠組みから、どうすれば個人の生活の質を向上させる行動支援計画が作成できるかを分かりやすく解説している。

個別の教育支援計画や個別移行支援計画を作成するのに読んでおくといい一冊。

表紙の解説からは、この本は応用行動分析の本ではないと誤解を生むかもしれないが、そうではない。ABC分析(機能的分析)を基本にした正真正銘の応用行動分析本である。

表紙からプラス思考的行動支援(PBS)では
問題行動を起こしている子どものことを
彼らの立場からまず理解し
長期的・短期的な指導計画を立案していく。
従来の応用行動分析(ABA)のテキストでは
触れられることの少なかった
ライフスタイルへの指導
危機管理の介入についても
詳細に解説する。

本文中には、たとえば問題行動を減らす手法として、タイムアウトなどの弱化の手続きを使うのが「従来の応用行動分析」、同じ機能を持つ、より社会的に望ましい代替行動の強化を進めるのがPBSの特徴であると区別する記述があるが、これは誤解を生む表現だと思う。応用行動分析学は「手法」ではないのだから。

正確には「PBSは、応用行動分析学をベースに開発された行動支援、生活支援、教育支援のためのパッケージであり、嫌子よりも好子を、弱化よりも強化を、望ましくない行動よりも望ましい行動により力点を置く手法を組み合わせている」ではないだろうか(もちろんあくまで私見です)。

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先日、現職教員数名との覆面座談会を行った。 テーマは「教師はなぜ本を読まないか?」。

もちろんすべての教師がそうではないだろうが、とても熱心な先生でさえ、特に専門書になると、「なかなか読めない」、「買ったけど、そのまま」、「ページを開けて文字だらけだと、読む気を無くす」ことが多いようだ。

活字を全く読まないというわけではなく、雑誌(ファッションや芸能)は熟読するという。

教育に関する専門的なことに興味がないのかというとそんなことはない。覆面座談会の出席者は誰もがとても勉強熱心な先生方だ(この点に関しては私が個人的に保証します)。

そういう自分も、最近はさっぱり小説を読まなくなってしまった。学生時分は週に数冊は読んでいたのに、過去一年ではせいぜい『ハリーポッター』くらい。食事のときなど、比較的気を抜いてるときに読むのは『日経トレンディ』とか『MacPeople』。ホントは Journal of Applied Behavior Analysis とか Journal of the Experimental Analysis of Behavior とかの論文を日常的に読むべきだし、読みたいのにも関わらず、なかなか読めない。逆に、ゼミ生やコラボレーションしている学校の先生たちに情報提供するために、特別支援教育関係の文献をひたすら読んだりしている。

たとえ本の内容に興味があって、読書行動を強化する内在的随伴性が存在しても、それを上回る弱化の随伴性があるということだろうか....

前置きが長くなってしまった。

本書は、ADHD(注意欠陥多動性障害)に関する概説と、保護者や教師が取り組めるさまざまなアイディアが簡潔にに紹介されたガイドブックである。現在のところ、ADHDへの対処としては薬物療法と行動療法の組み合わせがベストとされているが、その両方がバランスよく解説されている。

薄く(全77ページ)、文字も比較的大きく、専門的につっこんだ話はほとんどないので、たとえば、初めてADHDの児童・生徒を担当することになった先生たちにちょうど良いのではないだろうか。

「行動分析」というキーワードはでてこないけど、行動のマネジメントや社会的スキルの指導など、全編通じて行動的な指導方法のアイディアがちりばめられた本である。

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『ぼくのアスペルガー症候群—もっと知ってよぼくらのことを』ケネス・ホール著 東京書籍 2001

アスペルガー症候群を持ったケネスくんが書いた本です(実際には編集者が聞き取って文章にしています)。

自閉症やアスペルガー症候群を持った子どもが、どんなふうに世界を見て、感じているのか垣間見れます。

応用行動分析学(ABA)の支援方法を、子どもの方はどのように考えているのか、自分はこの本で初めてそういう視点に出会いました。

ハウツー本ではありませんが、軽度発達障害を持った児童・生徒さんを担任してらっしゃる先生には、ぜひ読んでいただきたい一冊です。

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サマースクールを修了した先生たちが9月から進めてきた事例研究を発表し、情報交換する場をつくるというのが今年の新企画。嬉しいことに、大学がバックアップしてくれることになりました。

詳しくは徳島ABA研究会のHPをご参照下さい。

鳴門教育大学特別講座:学校でここまでできる!−特別支援教育のための応用行動分析学−

日 時:2005年3月12日(土)13:30〜17:00
場 所:鳴門教育大学附属養護学校体育館(徳島市上吉野町)
参加費:無 料
主 催:鳴門教育大学/徳島ABA研究会
後 援:徳島県教育委員会

● 講 演:「脱力系」応用行動分析と特別支援教育 13:30〜15:00
 講 師:望月 昭先生(立命館大学教授)

● 研究発表会 15:00〜17:00
 今年度、鳴門教育大学附属養護学校、徳島県立国府養護学校、同池田分校、徳島県立阿南養護学校、同ひわさ分校、神戸市立青陽養護学校、北島南小学校で行われた事例研究について、実際に指導をされた先生方がポスター発表を行います。研究成果を見回りながら、先生方と気軽に質疑応答できます。

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