2018年3月アーカイブ

僭越ながら,3月12日に開催された本学能楽研究所の第20回能楽セミナー「シンポジウム 以心伝心・以身伝身―「ワザを伝えるワザ」とは何か?―」でお話しする機会を頂きました。
 
 
「客観的な動作分析からみたワザ伝達の要因--大島氏稽古のデータを踏まえて--」とのタイトルで、能楽師の大島さんが大学生に型付けをする際の動作を分析し、指導時の言葉がけや身振りなどによって、さらには個々人の身体感覚によって、大学生の動きがどう変化していくのかについてデータをご紹介させて頂きました。

ご紹介した結果は,事前の予想通りではあったのですが、能の所作の稽古に際して,他者の様々なポーズ(身体の外的な形)をより明確に認識でき、より正確に模倣できる学生ほど、同一の指導を受けても所作の習得状況が良いことが明らかになりました。
 
これは,自分の手足の空間的な位置や姿勢などを明確に認識できる感覚(固有受容感覚)が鋭敏であるほど,同じ稽古を受けても所作の習得状況に差異が生じる可能性を示しています。
 
スポーツの指導や技能習得場面の状況からは,ある程度予想できる結果ではありますが,能の世界でも,所作の習得において師匠と弟子との間の所作のイメージや身体感覚の共有が重要であり,稽古においてもこの点をより意識することが重要ではないかと感じました。
 
 
また、大島さんと学生の重心移動と頭頂点の軌跡を紹介したのですが、この軌跡が指導していた大島さん自体のご自身のイメージと異なっていたとのご意見を頂き、ご自身が有している動作のイメージと実際の動きとをマッチさせることの難しさを改めて感じました。
 
 
最近は、握力や垂直跳びなどの細かな動作に関しての調整力のデータを測定していますが、様々な身体活動やスポーツの実際において有益な知見を提供しようとするならば、今回対象としたような実際の動作(パフォーマンス)を対象とした検討が重要ですね。

ただ,そうなるとどうしても複数要因を同時に検討しなくてはならないため,今後の検討時には細かな条件設定と計画が必要になると思います。

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