2020年4月アーカイブ

資料公開:アスリートのメンタルケア

アスリートのメンタルケアの資料を作成しました。
新型コロナウイルス感染症の流行に直面しているアスリート・関係者に利用していただける資料です。

・強いストレス状況にあるアスリートのみなさんへ
・強いストレス状況にあるアスリートの指導者・関係者・ご家族の方へ

それぞれ、こちらからダウンロードしてください。
ご自由にお使いください。

作成者は以下のとおりです(五十音順)
荒井弘和(法政大学)スポーツメンタルトレーニング上級指導士
榎本恭介(法政大学大学院)スポーツメンタルトレーニング指導士
金澤潤一郎(北海道医療大学)臨床心理士・公認心理師
栗林千聡(国立スポーツ科学センター)スポーツメンタルトレーニング指導士・臨床心理士・公認心理師
清水智弘(法政大学大学院)スポーツメンタルトレーニング指導士
武田大輔(東海大学)スポーツメンタルトレーニング上級指導士
立谷泰久(国立スポーツ科学センター)スポーツメンタルトレーニング上級指導士
土屋裕睦(大阪体育大学)スポーツメンタルトレーニング上級指導士・公認心理師
深町花子(日本スポーツ協会)スポーツメンタルトレーニング指導士

新型コロナウイルス感染症で緊急事態宣言のなか、12名で執筆した書籍が発刊されました(2020年4月25日発売)。詳細は以下をクリックしてご覧ください。

アスリートのメンタルは強いのか?
――スポーツ心理学の最先端から考える

ご多用中、ご尽力くださった11名の新進気鋭の先生方に、心より感謝いたします。読者の皆さんには、本書を片手に、アスリートのメンタルについて語り合ってもらえたら本望です。
そして本書を発刊できたのは、晶文社の安藤聡さんのおかげです。安藤さんが私たちに丁寧に関わってくださったおかげで、思う存分、執筆・編集作業に執心できました。安藤さん、本当にありがとうございました。

心理サポートか?メンタルサポートか?

論考「アスリート・コーチに対するメンタルサポート3.0」では、「メンタル」という言葉をタイトルに含めています。スポーツ心理学では「心理」という言葉を使うのが一般的ですが、私は現場で「心理」という言葉はあまり使わず、「メンタル」という言葉をよく使います。
現場では、「メンタル」という言葉の方がスポーツ現場で受け入れられやすいと感じているためです。また、スティグマ (サポートを受けることを恥ずかしいと考えること) を生じさせにくいとも思っています。つまり、ちょっと格好つけていうと、「アスリートセンタード」というポリシーゆえの「メンタル」ということです。
英語の意味から考えると、メンタルコンサルティングとかサイコロジカルコンサルティングという言葉が適切なのでしょうね。

いつも編集で関わらせてもらっている「体育の科学」に、論考を執筆させてもらいました。

荒井弘和 (2020). アスリート・コーチに対するメンタルサポート3.0 体育の科学, 70, 34-40.

内容をご紹介します。メンタルサポートの主な目的は競技力向上です。でも、競技力向上だけがスポーツ現場で求められているわけではありません。近年では、競技力向上を第一義的な目的としないサポートが (ここでは、全人的なメンタルサポートとしています)、いっそう求められるようになってきています。そこでこの論考では、全人的なメンタルサポートを、(1) メンタルヘルスのサポート、(2) デュアルキャリアのサポート、(3) インテグリティのサポート、(4) 価値のサポートに分けて、それぞれ説明しています。
そして、わが国の「臨床スポーツ心理学」と欧米の「Clinical sport psychology」はなぜ一致していないのかを検討しています。そのうえで、メンタルサポートの専門家は何をすべきか?を考え、(1) 自らの理論的立場に基づいた事例研究を積み重ねる、(2) 理論的立場を越えて対話する、(3) 身体について対話するの3つを挙げています。そして、いま求められている「メンタルサポート3.0」の説明をしています。
本稿を執筆するに当たり、武田大輔先生 (東海大学)、金澤潤一郎先生 (北海道医療大学)、米丸健太先生 (中濃特別支援学校)、飯田麻沙子先生 (港北もえぎ心療内科) より、数々の大変貴重なご意見を頂戴しました。いつも助けてくれている皆さん、今回も本当にありがとうございました。

博士後期課程の榎本さんが新しい論文を発表しました。
榎本恭介・清水智弘・荒井弘和 (2020). 大学生アスリートが考えるフェアプレイ促進・阻害要因 スポーツ産業学研究, 30, 81-91.
この研究では、古くて新しいテーマであるフェアプレイに焦点を当てています。大学生アスリートのフェアプレイを促進・阻害する要因を明らかにすること、そして、それぞれの要因の関係性を探索的に検討することを目的として、研究を行いました。
フェアプレイを促進する要因については、【フェアプレイ精神】と【セルフコントロールを促進する心理的要因】を両立させる重要性と、この2つの要因に関連が予想される要因が明らかになりました。逆に、フェアプレイを阻害する要因については、いくつかのフェアプレイ阻害要因が、【セルフコントロールを阻害する心理的要因】へつながっていることが示されました。つまり,セルフコントロールが困難になることにより,アンフェアプレイにつながっていることが示唆されたといえます。スポーツメンタルトレーニング指導士としての実践の根拠として活用できる、貴重なデータを得られていると考えています。
榎本さんにとっては、学会誌に筆頭で論文を発表するのは初めてのことです。ここからガンガン発表してくれるはずですので(プレッシャー?笑)、どうぞご期待ください。