体育の科学「アスリートにおけるキャリア形成」

先日、「体育の科学」68巻12月号が発行されました。この号の「アスリートにおけるキャリア形成」という特集の編集を担当しました。特集の内容は、以下のとおりです。

◆デュアルキャリアと文武不岐 荒井弘和

◆アスリートはどんな道のりを歩むのか 野口順子

◆アスリートのキャリアをサポートする 秋葉茂季

◆アスリートの過去・現在・未来をつなげる 田澤実

◆女性アスリートにおけるキャリア形成 片上絵梨子

◆パラリンピアンのデュアルキャリアの形成 河合純一

◆スポーツ推薦入試とキャリア形成-「言語活動の充実」に注目して- 栗山靖弘

◆日本陸上競技連盟におけるキャリア支援の取り組み 杉田正明・森丘保典・山崎一彦・尾縣貢

ここで、私の巻頭言の内容を摘記させてもらいます。

アスリートのキャリア支援において「デュアルキャリア」という言葉が用いられるようになってきました。デュアルキャリアとは、スポーツと勉強、または、スポーツと仕事の組み合わせのことを言います。デュアルキャリアは、わが国でいうところの文武両道という言葉であるといわれます。

文武両道とは、勉強と競技の両方に対して別々に力を注ぎ、それぞれが独立している状態を表す言葉ではありません。文武の根本はひとつであると考えられてきました。このことをよく表している言葉に「文武不岐」という言葉があります。
しかし昨今、文武は一致するものではないという考えが広まっているように感じられます。さらにいうと、文を疎かにすることが、武を高みに押し上げるという考え方すら根付き始めているような気がしてなりません。

私たちは、文武不岐の考えに基いて、体育・スポーツと向き合うべきだと考えています。ここでいう文武不岐とは、競技に取り組む者は、武を向上させることで文も向上するはずであるという考えだと思っています。そして、武を向上させる過程で人間性が高まり、その結果として必然的に文は高まるはずという考えでもあると、私は認識しています。

文武不岐の実現には、アスリートを全人的・多角的に見る必要があるため、支える側に多様性が求められると思います。多彩な方々にご執筆いただいている本特集を、ぜひご覧になってください。