2018年12月アーカイブ

八王子スポーツメディスンフォーラムで、「受傷経験を心の強さに変えるメソッド」の講演を終えました。

年末にもかかわらず、現場で活躍しているメディカル・コメディカルの方々がご参加くださり、私にとって大変貴重な機会となりました。みなさん、ありがとうございました。

スポーツメンタルトレーニング指導士の関わり

受傷アスリートと自動思考

受傷アスリートとPTG

受傷アスリートとコミュニケーション

受傷経験を心の強さに変えるメソッド

というトピックで話をさせてもらいましたが、予想をはるかに超えた反響をいただき、講演後も23時過ぎまで、多くの方々と意見交換を続けました。とても楽しく刺激的な日となりました。

ソフトバンクホークスの工藤監督とも、いくつかの論点でお話しさせてもらうことができ、大いに触発されました。工藤監督、とても物腰の柔らかい素敵な方でした。監督、どうもありがとうございました。

お招きいただいた八王子スポーツ整形外科の間瀬先生、水野先生ほか皆様に、心より感謝申し上げます。

心身医学の特集「アスリートの心身医学」

日本心身医学会刊行の学会誌「心身医学」において、「アスリートの心身医学」という特集が組まれました。本谷亮先生(北海道医療大学)が主導してくださった企画です。本谷先生、どうもありがとうございました。

私は、以下の2つの論文に関わらせてもらいました。

荒井弘和 (2019). アスリートの抱える心身医学的問題とその支援 心身医学, 59, 15-21.

→スポーツ心理学において、心身医学の先生方と連携させてもらうべき課題を整理しました。

金澤潤一郎・榎本恭介・鈴木郁弥・荒井弘和 (2019). 大学生アスリートの注意欠如・多動症状と脳震盪の関連 心身医学, 59, 47-51.

→ADHD傾向のあるアスリートは、脳震盪を起こしやすいことを示した論文です。金澤先生、まとめてくださりありがとうございました。

関心のある方は、こちらからダウンロードなさってください。

12/28に開催される 第8回 八王子スポーツメディスンフォーラムで「受傷経験を心の強さに変えるメソッド」という話をします。

ソフトバンクホークスの工藤監督も登壇されまるので、私の話に関心がない方も、どうぞお越しください。

詳しくはこちら

秋も深まった10月下旬、大修館書店の「体育科教育」誌で、「若手研究者が描く体育科教育の未来図」という特集が組まれました。

私も、「私たちベテラン研究者は若手研究者のために何をすべきか」という論考を寄稿させてもらいました。ここでいうベテラン研究者とは、科研費の若手研究に応募できなくなった研究者=40歳以上の研究者を指しています。

1.若手の状況はかくも厳しい

2.ベテラン研究者の学会参加を考える

3.専門学会を通じた若手研究者支援

4.研究発表を通じた若手研究者支援

5.多様性のある体育・スポーツ科学に

という5つの見出しで、原稿を構成しています。

もしかしたら、「偉そうなこと書きおって」と大ベテランの先生に怒られることもありそうだなと思いつつ(汗)、これからの次代を担う若手に思いをはせて、書きたいことを書かせてもらいました。これも、新進気鋭の敏腕編集者、大修館書店の阿部恭和さんのおかげです。阿部さん、ありがとうございました。

私がとくに思いを込めた終盤の記述を、以下に引用させてください。

-----ここから-----

私たちベテラン研究者には、体育・スポーツ科学の研究者が活躍する場を開拓することが期待されます。そして、一方的に開拓することだけでなく、他の領域の研究者から体育・スポーツ科学が開拓されることも必要だと考えています。つまり、他領域の研究者が体育・スポーツ科学に参入してくることに期待したいと思っており、他領域の学会でそう発言しています。

この私の発言に対して、「自分たちの研究領域を守らないでどうする」と、体育・スポーツ科学の大ベテランの先生に注意されたことがあります。

しかし、他の領域が開拓してこようと思わないような領域に、果たして未来はあるのでしょうか。

最近、体育・スポーツ科学領域は、もっと多様性のある領域にならねば存続できないのではないか?と思うことが増えました。体育・スポーツ科学に多様な人たちがいることは、体育・スポーツ科学が継続して発展するために必要なことではないかと感じています。

そして、体育・スポーツ科学の中に多様な人材資源があれば、これから社会状況が変化しても、体育・スポーツ科学はその変化に適応できるでしょう。体育・スポーツ科学の研究者は、他領域の研究者から学ぶ機会が増えることで、よりいっそう成長できるはずです。

さらにいえば、体育・スポーツ科学が多様な価値観を持つことが許容すれば、体育・スポーツ科学に参入してくる人・とどまる人が増え、体育・スポーツ科学は安定して広く発展してゆくのではないでしょうか。

若手研究者支援を通じて、私たちベテラン研究者は、体育・スポーツ科学領域を、さらに強くて一体感のあるチームに変容させられるはずです。

-----ここまで-----

先日、「体育の科学」68巻12月号が発行されました。この号の「アスリートにおけるキャリア形成」という特集の編集を担当しました。特集の内容は、以下のとおりです。

◆デュアルキャリアと文武不岐 荒井弘和

◆アスリートはどんな道のりを歩むのか 野口順子

◆アスリートのキャリアをサポートする 秋葉茂季

◆アスリートの過去・現在・未来をつなげる 田澤実

◆女性アスリートにおけるキャリア形成 片上絵梨子

◆パラリンピアンのデュアルキャリアの形成 河合純一

◆スポーツ推薦入試とキャリア形成-「言語活動の充実」に注目して- 栗山靖弘

◆日本陸上競技連盟におけるキャリア支援の取り組み 杉田正明・森丘保典・山崎一彦・尾縣貢

ここで、私の巻頭言の内容を摘記させてもらいます。

アスリートのキャリア支援において「デュアルキャリア」という言葉が用いられるようになってきました。デュアルキャリアとは、スポーツと勉強、または、スポーツと仕事の組み合わせのことを言います。デュアルキャリアは、わが国でいうところの文武両道という言葉であるといわれます。

文武両道とは、勉強と競技の両方に対して別々に力を注ぎ、それぞれが独立している状態を表す言葉ではありません。文武の根本はひとつであると考えられてきました。このことをよく表している言葉に「文武不岐」という言葉があります。
しかし昨今、文武は一致するものではないという考えが広まっているように感じられます。さらにいうと、文を疎かにすることが、武を高みに押し上げるという考え方すら根付き始めているような気がしてなりません。

私たちは、文武不岐の考えに基いて、体育・スポーツと向き合うべきだと考えています。ここでいう文武不岐とは、競技に取り組む者は、武を向上させることで文も向上するはずであるという考えだと思っています。そして、武を向上させる過程で人間性が高まり、その結果として必然的に文は高まるはずという考えでもあると、私は認識しています。

文武不岐の実現には、アスリートを全人的・多角的に見る必要があるため、支える側に多様性が求められると思います。多彩な方々にご執筆いただいている本特集を、ぜひご覧になってください。

12月9日に、法政大学履修証明プログラム 「健康とスポーツ」開設記念シンポジウムを開催しました。これは、SSI(スポーツ・サイエンス・インスティテュート)の科目を公開するプログラムを開設することに伴って開かれたシンポジウムです。

第1部 健康パート講演「口腔から全身の健康へ向けた先進的な取り組み~KEEP28全ての歯を守ろう!~」熊谷 崇(日吉歯科診療所理事長)

第2部 スポーツパート講演「4×100mリレーで世界に挑む」苅部 俊二(スポーツ健康学部教授)

第3部 パネルディスカッション「アスリートの健康支援とコーチング」熊谷 崇、苅部 俊二、伊藤 マモル(法学部教授)、杉本 恵子(株式会社ヘルシーピット代表取締役)、荒井 弘和(ファシリテーター、文学部教授)

熊谷先生は、プロフェッショナル(NHK)やカンブリア宮殿(テレビ東京)などにも登場されている歯科医でいらっしゃいます。熊谷先生からは、予防歯科に関するお話しをいただき、歯科に関する考え方が180度変わりました。個人的には、健康な人を対象とした予防は保険適応外とされていることを聞いて驚きました。

苅部先生からは、陸上競技のリレーに焦点を当てて、みなさんご存じのバトンパスなどに関するお話しをいただき、きわめて科学的に、精密に、それが行われていることを理解しました。

パネルディスカッションでは、予防を中心として話題が展開しました。熊谷先生より、予防のためには万全のバックアップ体制が必要であることが語られ、分野は違えど、私たちも心に留めておくべきだと考えさせられました。

熊谷先生からは、仕事に対する姿勢を学ばせてもらいました。本当によい機会となりました。ご多用の中、遠方よりお越しくださった熊谷先生に、満腔の謝意を表します。そして、多彩な視点からお話を聞かせてくださった、徳安彰先生(本学保健体育センター長)、苅部先生、伊藤先生、杉本先生に心より感謝申し上げます。日曜にもかかわらず、ご参加くださった皆様にお礼申し上げます。

追伸:コミュニケーションギアのサイトに、シンポジウムのレポートがアップされています。

【レポート】法政大学 履修証明プログラム開設記念シンポジウム