2017年1月アーカイブ

昨年末に、大学生アスリートを対象としたメンタリングの論文を発表しました。

Arai, H., Suzuki, F., & Akiba, S. (2016). Perception of Japanese collegiate athletes about the factors related to mentoring support. Journal of Physical Education Research, 3(4), 12-24.

この目的は、大学生競技者を対象として、メンタリングの関連要因を検討することでした。わが国における大学生競技者205名を対象として、インターネット調査を実施した結果、以下のことが明らかとなりました。

1) 「メンターがいる」大学生競技者は多い (205名中182名)。

2) 関連要因との関係はメンタリングの要素によって異なる。

3) メンタリングとその関連要因との関係は性によって異なる。

本研究の具体的な内容は、以前のブログを参照していただけるとわかりやすいかと思います。この学会発表が、今回の論文の元になっています。

スポーツの文脈におけるメンター・メンタリングについては、「スポーツ指導者の資質能力向上のための有識者会議」などで課題として提示されているものの、わが国における研究は全く進んでいないと言って良いでしょう。

共著者として尽力してくださった鈴木郁弥さん、秋葉茂季先生、どうもありがとうございました(^-^ゞ

昨年夏のことになりますが、2本の卒論が「地域イノベーション」に発表されました。2本とも、荒井ゼミの卒論をブラッシュアップした論文です。

佐野萌子・鈴木郁弥・佐野信・荒井弘和 (2016). 親が子どものスポーツ活動に参加することと地域におけるソーシャル・キャピタルとの関連―NPO法人川崎市法政トマホークス倶楽部の事例― 地域イノベーション, 8, 47-59.

本論文の目的は、NPO法人川崎市法政トマホークス倶楽部に子どもを通わせている親を対象に、子どものスポーツ活動への参加度合いと地域コミュニティにおけるソーシャル・キャピタルとの関連を検討することでした。本研究によって、子どものスポーツ活動に参加することで得られる、地域を含む家族外の人々との交流にメリットを感じている人ほど、人への信頼が高いことなどが示唆されました。

島村亜弓・鈴木郁弥・荒井弘和 (2016). 大学生を対象としたお土産購入に関連する要因の検討 地域イノベーション, 8, 61-73.

この研究では、研究Ⅰとして、大学生を対象とした半構造化面接を行い、お土産に対する認知を明らかにし、得られた結果から尺度を作成しました。つづく研究Ⅱで、大学生を対象とした質問紙調査によって、お土産購入頻度に関連する要因を検討しました。その結果、お土産の購買行動には、トポフィリアやコミュニティ・アイデンティティが関与している可能性が示されました。

私のゼミには、スポーツ心理学以外の研究を行う学生もいます。最近では、コミュニティ心理学の研究を行う学生が定期的に在籍してくれていて、佐野さんや島村さんのように、すばらしい研究を仕上げてくれています。

ちなみに私は、前任の大阪人間科学大学で「コミュニティ心理学」の授業を担当していました。当時はむしろ、スポーツ心理学が副業で、コミュニティ心理学や健康心理学が本業でした。

これからは副業として、コミュニティ心理学や健康心理学と付き合って行けたらと思っています。

佐野さん、島村さん、あらためて掲載おめでとうございます( ^ー^)ノ

共同研究者として、スポーツを対象としたアクセプタンス&コミットメントセラピー (ACT) の論文を「行動療法研究」に2本発表しました。

深町花子・荒井弘和・石井香織・岡浩一朗 (印刷中). スポーツパフォーマンス向上のためのアクセプタンスおよびマインドフルネスに基づいた介入研究のシステマティックレビュー 行動療法研究

本研究の目的は、アクセプタンスおよびマインドフルネスに基づいた介入のスポーツパフォーマンス向上への効果について、 系統的に概観することでした。国内外の複数のデータベースにて、 「マインドフルネス」や「パフォーマンス」などの関連する検索語を用いて検索を行いました。その結果、11件の研究を採択し、本研究ではそれらをレビューしています。しかし、日本では該当する研究は見られませんでした。

深町花子・石井香織・荒井弘和・岡浩一朗 (2016). 大学生アーチェリー選手のパフォーマンス向上へのアクセプタンス&コミットメントセラピーの適用事例 行動療法研究, 42, 413-423.

本研究はACTのスポーツパフォーマンス向上への効果を検討しています。対象者は 21 歳の大学生アーチェリー選手であり、60分の介入を13セッション実施しました。対象者は、ACTのエクササイズを実施し、 ACTのプロセスの1つである「体験の回避」の問題点を理解し、「価値」に基づいて実際にそれを生起させていくことを確認しています。介入の結果、アーチェリーの得点は向上しました。本研究の結果は、ACT が心理的柔軟性の改善によってパフォーマンスを向上させる可能性を示唆していると考えられます。

ちなみに昨年末は、島宗先生が招聘してくださった、ACTの第一人者でいらっしゃる武藤崇先生(同志社大学)の非常に興味深い講演も聴くことができました。武藤先生、どうもありがとうございました。

今年は、ACTについて学びを深め、実践に活用する年にしたいと思っています(^^)/

渡辺先生が書かれた2本の論文を読んで

みなさん、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

さて先日、渡辺先生から、2本の論文をいただきました。

渡辺弥生 (2016). 予防教育としてのレジリエンスの育成 臨床心理学, 96, 690-694.

渡辺弥生 (2016). 児童の感情リテラシーは教育しうるか―発達のアウトラインと支援のありかた― エモーション・スタディーズ, 2, 16-24.

とても勉強になりましたので、以下に感想を書かせてもらおうと思います。

最大の収穫は、感情教育の重要性を理解できたことです。

感情教育は、「自分の感情に気づく」「相手の感情に気づく」を目指しており、それはつまり、「感情に対して敏感になること」(モニタリングできるようになること)ではないかと思われました。

私は現場と関わるとき、認知行動的なアプローチを採用していますので、「認知」と「行動」に焦点化して、介入を行うクセがついてしまっています。

裏を返せば、「心(感情)と身体の反応」は、外在化はしますが、(誤解を恐れずに言えば)介入する対象ではないと思ってしまっていました。

しかし、それはおそらく誤りだと思わされました。

心と身体の反応にも、もっと敏感になることを促す必要がありそうです。そして、心と身体の反応に敏感になっている状態が「マインドフルネス」なのだろうと思います。

自分が心と身体の反応を軽んじてきたことに反省し、これからそこを改めようと思わされています。

他に勉強になったことは...スクールワイドな予防が重要というお話から、「クラスをどう変えるか」ではなく、「学校をどう変えるか」という視点の重要性を理解しました。また、今までは、「人」に対してのアプローチが主流だったと思うのですが、今は「組織」に対するアプローチが求められているのだと理解できました。

渡辺先生、すばらしい論文をご紹介くださり、ありがとうございました(^^ゞ

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