2016年3月アーカイブ

3つの効力感を検討した論文を発表しました

この研究は、大阪府吹田市在住の中高年期または高齢期の方々を対象として、主観的幸福感と夫婦関係との関連を検討しています。

配偶者がいる方々の場合、主観的幸福感を感じるためには、夫婦で支え合うこと、さらにいえば、配偶者を支えることができ、配偶者に支えられ、配偶者とともに支え合えるという感覚が大事でしょう。

この研究は、これらの感覚に、効力感の考え方を適用しています。

まず、自分が配偶者を支えることができるという感覚を、配偶者の支援に関するセルフ・エフィカシー (self-efficacy: 自己効力感) であると設定しています。

つぎに、配偶者が自分のことを支えることができるであろうという感覚を、配偶者による支援に関するアザー・エフィカシー (other-efficacy: 他者効力感) と設定しています。

そして、配偶者とともに支え合えるという感覚は、配偶者との互助支援に関するリレーショナル・エフィカシー (relational efficacy: 関係効力感または関係効力性) と設定しています。

1,646名 (回収率41.1%) から返信が得られ、1,206名を対象として分析を行った結果として、以下のことが分かりました。

1) 性別によって、3つの効力感の得点が異なる

2) セルフ・エフィカシー、アザー・エフィカシー、およびリレーショナル・エフィカシーは、関連している

3) 3つの効力感は、主観的幸福感と関連している

今後は、主観的幸福感と3つの効力感との間に存在するメカニズムの検討を行うことが期待されます。そして、夫婦関係における効力感を向上させるための支援を行うことも望まれます。

ちなみに。「~エフィカシー」という横文字が多くて恐縮しています。これらの研究は、わが国ではほとんど行われておらず、私が日本語に訳してしまうと、その訳がわが国に定着してしまう恐れがあります (それはちょっとコワい、笑)。そこであえて、英語表記を日本語読みした表記にしておきました。

出典は、以下のとおりです。論文を読んでみたい方は、私までご連絡ください。

荒井弘和・中原 純・塩崎麻里子・藤田綾子 (2016). 中高年期・高齢期を対象とした夫婦関係における効力感と主観的幸福感との関連 老年精神医学雑誌, 27, 92-96.

春は異動の季節。私の周りにも、異動する人がたくさんいらっしゃいます。

ところで、アカデミックポジションへの推薦に関して、こんな研究がありました。

Madera, J.M., Hebl, M.R. & Martin, R.C. (2009). Gender and letters of recommendation for academia: Agentic and communal differences. Journal of Applied Psychology, 94, 1591-1599.

この研究では、研究者のアカデミックポジションへの推薦書におけるagenticまたはcommunalな特性の性差を比較しています。

その結果、女性は男性よりもcommunalに記述されており、男性は女性よりもagenticに記述されていることがわかりました。

また、communalな特性は、推薦書に基づくアカデミアにおける雇用の決定とネガティブな関連を持っていました。

とくに、推薦書のウェイトが高いアカデミアにおいては、上記の結果は非常に重要であるとされています。

日本では、アカデミックポジションに就職する際、推薦書の位置づけはそこまで高くないと感じていますが (書類の位置づけはさほど高くないと感じます)、これから状況が変わるかもしれませんね('-'*)

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