2015年4月アーカイブ

2015年度が始まりました。今年度もどうぞよろしくお願いします。

さて昨年度末、Journal of Physical Education and Sportという雑誌に、Outcome expectancies for collective psychological performance among collegiate athletesという論文を発表しました(全文英語)。

近年、チームを評価する変数としてのコレクティブ・エフィカシーに注目が集まっています。コレクティブ・エフィカシーとは、「私たちのチームは、~することができる」といった感覚のことです。荒井 (2011) 評価尺度が開発されています。

ところで、コレクティブ・エフィカシーは、心理学で有力な行動理論である社会的認知理論 (Bandura, 1977) を集団に適用した考え方です。しかし、社会的認知理論の主要な変数の中で、集団への適用が検討されていない変数があります。それは、「結果予期 (outcome expectancy)」です。結果予期とは「自分自身の行動の帰結として得られるものに対する予期 (Bandura, 1978, 藤生, 1991)」です。

結果予期が重要だという根拠として、セルフ・エフィカシーよりも結果予期の方が行動意図と密接に関連するという指摘 (Maddux et al., 1982)、臨床場面では、ポジティブな結果予測を持たせることによって治療効果がより有効なものとなる可能性が示唆 (Lee, 1984)、特に行動の初期において、結果予期が重要な役割を担っているという指摘 (Gao et al., 2008) があります。

そこで本研究では、心理的パフォーマンスに対するコレクティブ・エフィカシー (荒井, 2011) に対応する「集団の結果予期」として、「集団の心理的パフォーマンスに対する結果予期」を設定し、10項目から構成される評価尺度を開発しました。

さらに、「集団の心理的パフォーマンスに対する結果予期尺度」の再検査信頼性を検証し、「集団の心理的パフォーマンスに対する結果予期尺度」を用いて、集団の結果予期がどのような要因と関連するのかを横断的に検討しました。

この研究では、集団に対する結果予期を「最後まであきらめずにがんばることで、試合に勝てると思う」などの項目で評価していますが、これは、集団の心理的パフォーマンスに対するコレクティブ・エフィカシー(例:最後まであきらめずに、がんばることができる)と対応する形になっています。

そもそも、社会的認知理論の研究において、結果予期の研究は少ないのが現状です (Williams et al., 2005)。まして、集団の結果予期に関する研究は皆無です。集団における結果予期に注目してるという意味では、世界で唯一の研究かもしれません(大げさか?いやたぶん大げさではないよ、笑)。

おかげで発表直後から、海外からの問い合わせが数件来ています。そういうコミュニケーションも、刺激になりますね。

尺度の項目や具体的な結果に関心のある方は、軽い気持ちでご連絡ください(^^ゞ

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