学会発表での座長の役割を考える

最近、学会に参加していて、学会発表の口頭発表のセッションについて考えることがありました。

口頭発表のセッションでは、意見や質問を述べる時間が設けられています。会場の参加者から意見や質問が出ないとき、座長が予定調和的に「発言がありませんので、それでは座長から...」と発言するケースが散見されます。

私は、このことは好ましくないと考えています。

座長の役割は、質問や意見を言うことではありません。座長の役割は、発表を聞いている参加者から質問や意見が出やすい場をつくり、論点を明確にして、議論を組み立てることです。

私たちのようなベテランになれば、意見や質問の一つや二つはすぐに言えてしまうものです。そして、参加者も座長からの意見や質問を期待してしまったりします。正直に告白すれば、会場に沈黙が訪れるとき、私も座長が何とかしてくれるだろうと期待してしまっています。

しかし座長は、そういう時こそ我慢して、会場を沈黙が包み込む状況に負けてはならないのだと思います。座長はプレゼンターではなくファシリテーターであると肝に銘じ、笑顔で沈黙に耐えて、場づくりに務めるべきなのでしょう。

とは言いながらも、残念ながら私は、修行が足りずに、上手に座長を務めることができません(ごめんなさい...涙)。

みなさん、口頭発表の際は、演者の発表内容だけでなく、(セッション後に)座長の運営についても意見を出し合いましょう。

そして、あちこちで、洗練されたセッションが運営されるように、みんなで力を合わせましょう。

日本体育学会@静岡大学で発表しました

9月8~10日に静岡大学ほかで開催された日本体育学会第68回大会に参加しました。行き届いた大会運営をしてくださった関係者の皆様に感謝申し上げます。それにしても、スタッフの方の人数の多さに驚きました。

私は「武道種目に取り組む者は対戦相手との握手行動を実施しない」という研究を発表しました。ポスターをアップロードしますので、お時間と関心のある方は、以下からご覧ください。

2017体育学会ポスタ_荒井弘和.pdf

発表を聞きに来てくださった皆様、どうもありがとうございました。

健康心理学会@明治大学で発表しました

9月2~3日に明治大学駿河台キャンパスで開催された日本健康心理学会第30回記念大会に参加しました。とても快適な大会運営をしてくださった関係者の皆様に感謝申し上げます。

私は「女子大学生アスリートは化粧行動を行っているのか?」という研究を発表しました。ポスターをアップロードしますので、お時間と関心のある方は、以下からご覧ください。

2017健康心理学会ポスタ_荒井弘和.pdf

発表を聞きに来てくださった皆様、どうもありがとうございました。

恋人のいる大学生アスリートは幸せか?

Arai, H. (2017). The effect of romantic relationships on collegiate athletes' lives with special attention to gender differences. European Journal of Physical Education and Sport Science, 3(7), 38-50. (本文)

という論文を発表しました(全文英語)。

「アスリートは恋愛せず、競技に集中すべきだ」という人もいますし、「恋愛しているときの方がパフォーマンスは良い」という人もいます。スポーツ雑誌やドキュメンタリー番組のテーマとして、アスリートの恋愛は扱われることがあります。

そこで、わが国の大学生アスリートを対象として研究を行いました。分析の結果、交際相手がいる方が、主観的幸福度は高いことがわかりました。さらに、男子アスリートにおいては、交際相手がいる方が、競技生活と日常生活間がポジティブに影響し合っていることがわかりました。女子アスリートでは、交際相手との関係に満足しているほど、主観的な幸福度が高いと示されました。

端的に言えば...男子アスリートは、交際相手がいること自体が幸福度と関連しており、女子アスリートは、交際相手との関係性が幸福度と関連しているということになります。

今後も私たちの研究室では、アスリートの人生を総合的・全体的に考えて研究を行い、その成果を国内外に発表していくつもりです。

日本心身医学会でシンポジウムを行いました

6/16-17に札幌で開催された、第58回日本心身医学会総会ならびに学術講演会に参加して、シンポジウム「スポーツ心理学と心身医学の協働によるブレークスルーの探索」を実施しました。
スポーツ心理学がさらに発展するためには、心身医学の知見を活用することや、 日本心身医学会の先生方と緊密に協働することが必要だと思います。そこで、このシンポジウムを企画し、開催させていただきました。
土屋裕睦先生(大阪体育大学)には、スポーツをめぐる最近の動向をご紹介いただいた上で、日本スポーツ心理学会の現状と課題、そして、心身医学とスポーツ心理学との協働の必要性・方向性を提示していただきました。
立谷泰久先生(国立スポーツ科学センター)には、わが国のトップアスリートに対する心理サポートの仕組みや、臨床心理士および心療内科医・精神科医と協働で心理サポートを行った事例についてご報告いただきました。
精神科を専門とするスポーツドクターである井上誠士郎先生(石金病院)には、アスリートの心理的な問題を扱っている「スポーツメンタル外来」での実践と、精神疾患・精神障がいのある方のフットボール実践である「ソーシャルフットボール」の取り組みをご紹介いただきました。
意見交換の時間では、勝つこと・強くなることだけが,スポーツ現場で求められているわけではないということ、スポーツが持つ教育的・発達的・健康的な機能を置き去りにすることなく、 幅広いスポーツの可能性について対話することができました。
本シンポジウムにご参加くださった五十数名の先生方に感謝申し上げます。そして、本企画の実施をお認めくださった会長の坂野雄二先生、本企画を陰で支えてくださった金澤潤一郎先生をはじめ、大会事務局の皆様にお礼申し上げます。

追記:本シンポジウムの詳細は、冬に刊行予定の学術雑誌「心身医学」をご覧になってください。

平成26―28年度科学研究費補助金 基盤研究(C) の研究成果として、「大学生アスリートを対象としたメンタリング」をリーフレットにまとめました。ちらからご覧ください。

わかりやすさ重視で作成しています。さらに研究成果が得られたら改訂したいと思っていますが、3年間の研究期間終了時点の成果となります。

世界中見渡しても、アスリートのメンタリングについてはほとんど資料がなく、困っていました。端的に言うと、みんな「メンタリングした方がいい」って言っておしまいみたいな感じです(汗)。

今後、メンタリングに関する研究がさらに進み、アスリートに対するメンタリングが普及することを願っています。

先週末は、スポーツメンタルトレーニング指導士会の全国研修会があり、私も参加してきました。兄井彰先生(福岡教育大学)はじめ、主催してくださった九州・沖縄支部のみなさま、ありがとうございました。

その際、私たちスポーツメンタルトレーニング指導士が、試合・大会に帯同する意義について議論がありました。たしかに、帯同する必要がない試合・大会も多いと思いますが、国際大会となると、帯同が強く期待される場合もあると思います。この点は、土屋裕睦先生(大阪体育大学)も、みなさんと共有しておきたいと強調されていました。

ところで、もう1年前になりますが、2016年3月9日に、国立スポーツ科学センター(JISS)で「JISS医科学セミナー」の講師を担当させてもらいました。その際、「スポーツメンタルトレーニング指導士は国際大会に帯同するべきか?」という今回の問いに関連するプレゼンも行いました。

そこで、プレゼン資料の一部を添付しておきます。こちらからご覧ください。

昨年末に、大学生アスリートを対象としたメンタリングの論文を発表しました。

Arai, H., Suzuki, F., & Akiba, S. (2016). Perception of Japanese collegiate athletes about the factors related to mentoring support. Journal of Physical Education Research, 3(4), 12-24.

この目的は、大学生競技者を対象として、メンタリングの関連要因を検討することでした。わが国における大学生競技者205名を対象として、インターネット調査を実施した結果、以下のことが明らかとなりました。

1) 「メンターがいる」大学生競技者は多い (205名中182名)。

2) 関連要因との関係はメンタリングの要素によって異なる。

3) メンタリングとその関連要因との関係は性によって異なる。

本研究の具体的な内容は、以前のブログを参照していただけるとわかりやすいかと思います。この学会発表が、今回の論文の元になっています。

スポーツの文脈におけるメンター・メンタリングについては、「スポーツ指導者の資質能力向上のための有識者会議」などで課題として提示されているものの、わが国における研究は全く進んでいないと言って良いでしょう。

共著者として尽力してくださった鈴木郁弥さん、秋葉茂季先生、どうもありがとうございました(^-^ゞ

昨年夏のことになりますが、2本の卒論が「地域イノベーション」に発表されました。2本とも、荒井ゼミの卒論をブラッシュアップした論文です。

佐野萌子・鈴木郁弥・佐野信・荒井弘和 (2016). 親が子どものスポーツ活動に参加することと地域におけるソーシャル・キャピタルとの関連―NPO法人川崎市法政トマホークス倶楽部の事例― 地域イノベーション, 8, 47-59.

本論文の目的は、NPO法人川崎市法政トマホークス倶楽部に子どもを通わせている親を対象に、子どものスポーツ活動への参加度合いと地域コミュニティにおけるソーシャル・キャピタルとの関連を検討することでした。本研究によって、子どものスポーツ活動に参加することで得られる、地域を含む家族外の人々との交流にメリットを感じている人ほど、人への信頼が高いことなどが示唆されました。

島村亜弓・鈴木郁弥・荒井弘和 (2016). 大学生を対象としたお土産購入に関連する要因の検討 地域イノベーション, 8, 61-73.

この研究では、研究Ⅰとして、大学生を対象とした半構造化面接を行い、お土産に対する認知を明らかにし、得られた結果から尺度を作成しました。つづく研究Ⅱで、大学生を対象とした質問紙調査によって、お土産購入頻度に関連する要因を検討しました。その結果、お土産の購買行動には、トポフィリアやコミュニティ・アイデンティティが関与している可能性が示されました。

私のゼミには、スポーツ心理学以外の研究を行う学生もいます。最近では、コミュニティ心理学の研究を行う学生が定期的に在籍してくれていて、佐野さんや島村さんのように、すばらしい研究を仕上げてくれています。

ちなみに私は、前任の大阪人間科学大学で「コミュニティ心理学」の授業を担当していました。当時はむしろ、スポーツ心理学が副業で、コミュニティ心理学や健康心理学が本業でした。

これからは副業として、コミュニティ心理学や健康心理学と付き合って行けたらと思っています。

佐野さん、島村さん、あらためて掲載おめでとうございます( ^ー^)ノ

共同研究者として、スポーツを対象としたアクセプタンス&コミットメントセラピー (ACT) の論文を「行動療法研究」に2本発表しました。

深町花子・荒井弘和・石井香織・岡浩一朗 (印刷中). スポーツパフォーマンス向上のためのアクセプタンスおよびマインドフルネスに基づいた介入研究のシステマティックレビュー 行動療法研究

本研究の目的は、アクセプタンスおよびマインドフルネスに基づいた介入のスポーツパフォーマンス向上への効果について、 系統的に概観することでした。国内外の複数のデータベースにて、 「マインドフルネス」や「パフォーマンス」などの関連する検索語を用いて検索を行いました。その結果、11件の研究を採択し、本研究ではそれらをレビューしています。しかし、日本では該当する研究は見られませんでした。

深町花子・石井香織・荒井弘和・岡浩一朗 (2016). 大学生アーチェリー選手のパフォーマンス向上へのアクセプタンス&コミットメントセラピーの適用事例 行動療法研究, 42, 413-423.

本研究はACTのスポーツパフォーマンス向上への効果を検討しています。対象者は 21 歳の大学生アーチェリー選手であり、60分の介入を13セッション実施しました。対象者は、ACTのエクササイズを実施し、 ACTのプロセスの1つである「体験の回避」の問題点を理解し、「価値」に基づいて実際にそれを生起させていくことを確認しています。介入の結果、アーチェリーの得点は向上しました。本研究の結果は、ACT が心理的柔軟性の改善によってパフォーマンスを向上させる可能性を示唆していると考えられます。

ちなみに昨年末は、島宗先生が招聘してくださった、ACTの第一人者でいらっしゃる武藤崇先生(同志社大学)の非常に興味深い講演も聴くことができました。武藤先生、どうもありがとうございました。

今年は、ACTについて学びを深め、実践に活用する年にしたいと思っています(^^)/